第2話 種族について
ガラガラ…
「失礼しまーす」
俺が連れて行かれたのは保健室のようだ。
さっき声をかけてくれた三つ目の男の子とポニーテールの女の子が付き添いで一緒だ。
「1年A組のライ・ドミニクです。」
「同じく1年A組のアイリ・ガルシアです。」
どうやら三つ目の男の子が「ライ」と言う名前で、ポニーテールの女の子が「アイリ」と言う名前のようだ。
「そっちの男の子は?」
「えっと…白銀正光です。あ、白銀がファミリーネームです!」
保健室の先生らしき女性に聞かれて慌てて自己紹介した。
「マサミツくんねぇ、変わった名前だし見かけた事ないけど、どこのクラス?」
「それが、さっき授業してたら校庭にいきなり現れたんだ!」
ライが説明をしてくれた。
よく見ると保健の先生も耳が尖っており、ゲームとかで見たエルフのような見た目だった。
(これってもしかして異世界…?)
ふとそんな気がした。
言葉は何故か通じてるようだったが、何故通じてるのかは自分でもわからなかった。
「君、記憶はある?どうやってここに来たか覚えてる?」
そう聞かれると、ここまでの経緯を話した。
こことは違う世界に住んでた事、母と父が殺された事、そして不思議な玉によってここへ来た事を。
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「なるほどね、大体事情は分かったわ。」
保健の先生は何か心当たりがあるような表情をしていた。
「お前も大変だったんだな〜」
涙目になって同情してくれるライと心配そうに見つめてくるアイリ。
「それじゃあ、一度校長先生呼んでくるから3人はここで待ってて。」
そう言い残すと保険の先生は足早に保健室を出て行った。
「マサミツくんの種族は何?」
ずっと心配そうに見つめていたアイリが口を開いた。
「種族?」
この質問でここが異世界だと言う確信を得た気がした。
「多分人間だと思うけど」
何故かわからないけど多分と答えてしまった。
恐らく自分でも心当たりがあったのだろう。
異様に頑丈な体と回復力だ。
もしかして自分は人間ではなかったのか、そんなワクワクと不安が込み上げて来た。
「多分って自分の種族がわからないのか?」
少し呆れたような顔でライが問いかけた。
「今までいた世界には人間しかいなかったし…ちなみに、ライくんとアイリさんの種族は?」
「俺はサイクロプスと人間のハーフだ」
「あたしは、人狼と人間のハーフ」
ん?サイクロプスも人狼も魔物ではないのか…?
それに、2人ともハーフだけどこの世界はハーフが普通なのか…?
いろんな疑問が頭に浮かんだ。
「俺は上級魔法の雷魔法が得意なんだぜ」
「あたしは、母親が召喚士だったから召喚魔法が使えるの」
待て待て待て、魔法??魔法って言ったよな?
「この世界に魔法あるの?」
思わず聞いてしまった。
「え!魔法知らないの?」
「マサミツくんの世界には魔法なかったの?」
2人とも驚いたような顔をしている。
「僕がいた世界にはなかったよ。あるのは物語の中だけだったよ。」
取り敢えず雷魔法が上級魔法なのと、召喚魔法が特別な魔法だって事は何となく察した。
そんな話をしていると保健の先生が戻って来た。
「校長先生、彼が例の子です。」
ハゲたチビのお爺さんがやって来た。
「君が…えーっと……………」
「…………………」
「あ、そうそう、マサミツくんだね」
どうやら人の名前を忘れていたようだ。
「はい」
頷くと続けて校長先生が口を開いた。
「話は聞かせてもらったよ。恐らく君は天魔戦争の時に人間界へ逃げた何らかの種族の子だと思う。」
天魔戦争…その言葉には馴染みがあった。
母は売れっ子の漫画家だった。
その母が描いた漫画に出てくる戦争の名前だった。
天使と悪魔が戦争をし、その中で1人の天使の女性と悪魔の男性が恋に落ちて人間界へ逃げ、幸せに暮らすと言う物語であった。
「まさか…」
「どうやら心当たりがあるようじゃの」
もし、漫画の話が実話であれば俺はとんでもない種族になってしまう。
人間しかいない世界にいた自分でも、天使と悪魔の間の子と言うのがどれ程ヤバいものか容易に想像がついた。
「このオーブに触れると自分の種族がわかるが、見てみるか?」
校長先生は少し大きな水晶を取り出して、目の前につき出した。
自分の目でちゃんと確認しないといけない。そんな気がした。
「触りますね」
恐る恐る触ると水晶に何か文字が浮かんだ。
「天使50% 悪魔50%」
予想した通りだった。
「え!!」
ライとアイリが同時に叫んだ。
2人は目を丸くしながらこちらを見ている。
保健の先生まで凄い剣幕でこちらを見ている。
どうやら自分はとんでもない生物のようだ。
「君はこの学園に入る資格がある。ここには寮もある。君は今日から3年間この学園に通いなさい。」
そう言われると少し安堵した。
今は帰る場所もないし帰り方もわからない。
正直両親の復讐すらできない状況だった。
ここで勉強すれば元の世界への戻り方や、復讐する為の力が手に入る。
そんな気がしていた。
「取り敢えず今日は疲れているだろ、2人とも彼を寮まで案内してやってくれるかい?」
「わ、わかりました!」
「では、明日朝9時に校長室に来なさい。」
「はい!」
別れの挨拶をすると、俺とライとアイリは保健室を後にした。
こんにちは、水曜日です。
読みづらい所や分かりづらい所はないでしょうか。
文章力に不安を覚えながら書いております!
何卒引き続き読んでくださると嬉しいです!