表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

413/445

4.いつものバカ騒ぎ(1)

オールキャラさいごのバカ騒ぎです。

ところが。

収容したはずの大イノシシは搬送中に逃げ出した。

情報不足だったが、一定条件で覚醒してしまうタイプだったらしい。

収容車両を破壊すると、文字通り猪突猛進で四車線の大通りをつっきっていく。


追いかける白服の警官たち。

その際、急ストップをかけた車も足場になったが、誰も文句を言わない。

こんな光景は、ニュースとしては実はありがちだったりしたからだ。

対天使のはずの特殊部隊はこんなふうに、街の治安維持をずっとしてきたわけで。


天使との戦いを何度も目の当たりにしてしまっていたオレには、なんとなくほのぼのとした事件にしか見えないのはちょっと、まずいかもしれない。


「おーやってんな」


ダンタリオンが現れた。


「お前、ここ今、車両通行止めだけど思いっきり越権行為で入って来ただろ」


大使館専用の運転手付き高級車。悪魔がなんで車をフルに使ってんだよ。とつっこみどころは他にもある。


「捕り物劇は久しぶりだな。最近、半空中立体戦しか見てなかったから平行移動で追いかけてるのが面白そうだと」

「公爵、それ司くんが聞いたら怒りますよ」

「むしろあれ、魔界のヒトのペットらしいから大使館に放り込んで来ればいいんじゃね?」

「……牡丹鍋はあまり好きじゃない」


誰も食えとは言ってない。

前をふさがれた大イノシシは、驚きの小回りの効きでUターンしてこちらに戻ってきた。突然の動きに、後方組が進路をふさごうとするが、更に加速しているそれはギリギリ包囲網をすり抜けて……


「やばい、こっち来る。なんとかしろよ」

「大丈夫だ。ここ道脇だし突進の経路上じゃないから」

「何もしない気満々かよ!」


というか車両通行止めはここから少し後方で。大通りの十字路にバリケードが張られているが、その先は普通に交差点。何だろうと思いながらも行き来する人が少なからずいる。

横断歩道を行き来するヒトが……


「これヤバいよ! 車両も吹っ飛ばす勢いだよ! ダンタリオン!」

「しょーがねぇな。ちょっと協力して……と思ったけどやっぱやめた」

「なんでだよ!」


とつっこみながらもダンタリオンの視線の先を追う。と。


「アスタロトさん!?」


ちょうどビルからビルの間の歩道を横断する、見慣れた姿。

こちらには興味がないようだが、大イノシシが突っ込んでいるスピードを考えると……


通行止めをしている車両が吹っ飛んだところで、ようやくこちらに気付いたかのように足を止める。なんでもないような表情で顔を上げたのが見えた。

次の瞬間。


何が起こったのか逆方向に吹っ飛んでいたのは、イノシシの方だった。


「ほらな。オレが出しゃばらなくてもなんとかなっただろ?」

「ただの接触事故だよ、アスタロトさん普通に街歩いてただけだと思うけどそれ、被害者だよ」

「たまたま被害者候補があいつでよかったな。一気に解決……ん?」


とまた何かが起こったらしい。吹っ飛んで近くに降ってきたそれは……なぜか道路に落ちるとともに大分裂をした。


「うり坊! かわいい!」

「いや、数多すぎ! これ! 逃げられたら! どうするんだよ!!」


蜘蛛の子を散らすように足元になだれ込んできたそれを避けながらオレ。アスタロトさんがやってきた。


「ごめん、何が突進してきたのかわからなかったから弾いちゃって」

「すみません、これどういう事態なんですか。ていうかなんで分裂!?」

「あ、そいつ分裂タイプのやつだったのか。そんなのいたの失念してたわ」


おい、知識の悪魔。お前半分以上加害者状態だぞ。

合流した特殊部隊に、生態を教えているダンタリオン。聞きかじったところ、覚醒状態で強い衝撃を与えると分裂して逃げようとするらしい。


「どーすんだよ! 捕獲無理だよ!」


特殊部隊だけでなく緊急招集をかけられた付近の警官たちも含めて捕り物劇が始まっている。今度は、質より量のやつだからうまくすると一人で3匹くらいは確保できる。

捕まえると片っ端から収容車に戻していく。


「……司さんこれ」

「収拾がつかない」


そもそも何匹いるのか事前情報に欠けるので、見逃す個体もいるだろう。本当にうり坊サイズなので害がある大きさではないが……今度は、ペットの主が「失せ物届」をする羽目になってしまう。


遠い目をしている司さんのところに、今度は護所局のマークをつけた黒塗りの高級車が止まった。


「よーぅ、秋葉ちゃん、何してんだ?」

「局長! 何してんだじゃなくて何しに来たんですか!」

「近く通ったら無線入ったから見学にな」


あなた最高責任者。見学言ってる場合じゃない。そんなやつばっかりかオレの周り。


「見ての通りプチアニマルが大量に脱走状態ですが、どうします? 周辺に協力放送でもかけますか? ゲーム的な感じで」

「なんでお前はゲーム化するんだよ」

「ゲームなら一般人も楽しい趣向だと思って捕まえてくれると思うんだ。でもただ捕まえてくださいだと関わる理由がないと思うんだ」


忍……心理を踏まえたお気遣いの提案だったのか。はっきり言ってわかりにくい。


「それも悪くないけど、おぢさん助っ人もちゃんと連れて来てるからだーいじょうびっ」


……昭和のネタかなんかですか? よくわからないけど、助っ人、と言われてみると後部座席の局長の隣には、清明さんが乗っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*関連作品*
 アニメ動画まとめ→ https://youtu.be/DUFpxGlWz6c
 派生作品
  季節短編集:https://ncode.syosetu.com/n7535gr/ 
  せかぼくラジオ(日常小話):https://ncode.syosetu.com/n9500gu/ 
  スピンオフ魔界日常編「S-side」:https://ncode.syosetu.com/n5218hc/ 


*シャイな方はこちらで応援お願いします(*'ω'*)
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ