第九話 神田家ジュニア 親父の弟編。
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そして、次のゲイスト...いやゲストがやって来る。
「やっほ~衛ちゃん宇海ちゃん お久しぶり~元気してた~?あら~望ちゃんも伊玖ちゃんもおっきくなったわね~ っていうか鏡ちゃんも東京にいるのに全然会えないわね?」
居間に入るなりウチの ゲイ光灯...いや蛍光灯よりも明るくマシンガンお姉ェトークするのは、親父の弟の奥さん....ではなく親父の弟の道玄おじさんだ。
《 神田 道玄 52歳 》
初めに言っておくが、オネェ言葉でナヨナヨしているが結婚もしており二人の子供もいる。
そして道玄おじさんは、ウチの親父...つまりは兄貴と違いモッサリしてなく細身の筋肉質で、ブランドのベストのスーツにネクタイをしたスタイリッシュな男前なのだ。
それもそのはずで、道玄おじさんはゲイ...芸能人のヘアメイクやファッションコーディネートの他に特殊メイク等も出来る何でもござれの超スーパースタイリストでその業界からは引っ張りだこなのである。
前にハリウッドスターが映画の宣伝の為に来日した時に、道玄おじさんが担当スタイリストに抜擢されたのだが腕も良く英語も堪能で、そのハリウッドスターから次回映画出演の際は又 道玄おじさんに担当のスタイリストになって貰おうかとリップサービスを受けたのだが、本当にお呼びがかかった。
しかも特殊メイクも出来るとの事でそちらの仕事も手伝ったら、ハリウッドのアカデミー賞で『メイクアップ&ヘアスタイリング賞』を受賞しやがった。
そこで前に話したがウチの二姉の『強力な後ろ楯』と言うのがこの道玄おじさんである。
二姉が中学の時にファッションに興味を持ち、その勉強をしたいと道玄おじさんのスタイリストの仕事を手伝う事になるが、勿論 生半可な気持ちなら姪っ子でも道玄おじさんは断っていただろう...
しかしそこは根が真面目で日頃の行いが良い二姉なのであっさりと弟子入りを許された。
そして二姉は、ファッションコーディネートをするなかで『こんな服や小物があったら...』と独自の感性が頭角を現し やがて自分で服を作る様になり、
担当になった芸能モデルやタレントが二姉の作った服でテレビ出演しては話題になったりと、大学生の頃には業界関係者から投資するので洋服ブランドを企業しないかと打診され今に至る。
心無い人には二姉は『道玄おじさんの七光り』で成功したと言う人もいるかもしれないが、成功は二姉の努力と根性の賜物.....『七光りである。』
道玄おじさんのお陰でスタイリストのノウハウを学び、業界関係者とパイプを結べたのも二姉の真面目さと人柄.....『七ヒカリである。』
投資の話も道玄おじさんの姪っ子だからではなく純粋に二姉の信用と腕.....『ナナヒカリである。』
「はい、しずおはご飯チョイ大盛りだよね?」
「あぁ、ありがとう二姉。」
二姉が俺の茶碗にご飯をチョイ大盛りでよそってくれた.....『コシヒカリである。』
なんつって勿論コシヒカリ以外冗談で、確かに道玄おじさんの付き人もコネだし姪っ子という事での忖度や信用という後ろ楯もあったかも知れない。
だが、道玄おじさんはプロとして姪なだけで推したりはしないし、最終的には道玄おじさんの手を離れ手の届かぬ所で二姉のブランドがパリコレデビューを果たし世界的評価を得たのだから、遅かれ早かれ自分の力だけで夢を叶える事はできたと思う。
「あら?どうしたの しずおちゃん?ボ~ッとしちゃって...」
「ん...いや、道玄おじさんて良い人だよな~って。俺も道玄おじさんの子供がよかったな...」
「あらまぁ嬉しい事言ってくれるじゃない!少し早いけどコレお年玉よっっ!!」
「えっ?こんなに?ありがとう道玄おじさん!!」
.........五万だった。
そして、衛おじさんと宇海おばさんが静かに道玄おじさんへの執念を燃やしていた...いや、俺は婿かないよ?
しず助ナリ。
キテレツは物を作るのが得意ナリなら、
当然 物を修理するのも得意ナリ!
だから みよちゃんって女の子にブタゴリラ君と呼ばれても平気でいられるブッ壊れたブタゴリラの心も何とか直して欲しいナリよ?
次回 超職人大家族。
鳴兄の初めてのチュウは暫く先の一本ナリ。
あと日本のヒーローは異世界に喧嘩を売るも連載してるから絶対見るナリよ。