第二話 神田家の長女 鉄血にして熱血にして冷血にして冷血にして冷血のクソ女の巻。
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「ただいま~...」
唐突に居間の襖が開いた。
そこには黒髪ミディアムヘアーの黒スーツのもうすぐ29歳の...いや まだ20代の年増...いや女性が立っていた。
これが神田家の長女【一姉】である。
「おぉ、一姉...」
「あっ今 年増っつったか?」
ドキ~~~~~ン!!!!
「な、何でだよ!?言うわけねーだろっまだ死にたくねぇ!!」
チッ相変わらず勘がいい
「ほう まぁいいわ。父さんも三咲も元気してた?」
一姉が俺に殺気を放ちつつ親父と妹に向き直った。
「三咲はいつも元気じゃぞえ、一姉も息災で何よりどす。」
一姉の俺への殺気が一段と濃くなるが、もう無理です はい。この言葉遣いは治りません...
そこへ酔っぱらった親父の不用意な一言が放たれた。
「おいっ一美ぃコノ野郎!!いつになったら俺に孫の顔『ドゴォッ』ぉぉっっ!!!?」
「はい親父死んだ~ 一姉のカカト落とし決まった~ カウント 10・9・8・7・・・」
「しず兄よ、数えるのが逆どすえ。それではテンカウントでなく命のカウントダウンじゃ...」
っつか そんな暴力的だから嫁の貰い手がいねぇんだよ一姉は。だったらいっその事こっちからーーー
[ 婿を狩りに行こうぜ!!]
...まぁモンハンなら狩られるのはモンスター側の一姉なんだが...
アレっ?なにコノ矛盾!?
そんな下らない事を考えてたら一姉とバッチリ目が合った...
「下らない事考えてんじゃないわよ。」
「べ、別に考えてねーよ!」
くっそ、何でその冴え渡る勘を男選びに使えね~のかな、きっと悪意にしか反応しないのかな?それが天職っぽいし...
それもそのはず 、
長女《神田 一美》 20代 独身
身長179㎝ B89 W62 H93
えっ?スタイルがいいって?あぁ悪い、言い方を間違えた。
B〔バックドロップ〕 89万パワー
W〔ウェスタンラリアット〕 62万パワー
H〔ヘッドバット〕 93万パワー
って意味です はい。
ちなみに一姉のK〔キンニク バスター〕は200万パワーです。あらやだ 本家の超人強度を軽く超えてんじゃないの?
そんな一姉は、実は警察官でありキャリア組で管理職の【警視】である。
銭形の父っつぁんの1つ上の階級であり、警視庁捜査第一課に配属し 主要課の統括役や重大事件では捜査指揮を行うといったエリートなのだ。
ーーーっが、バリバリ現場に出やがり『事件は会議室で起きてるんじゃない現場で起きてんだ!!』のモデルは一姉じゃないの?と思わせる程にアクティブらしく、
しかもご存知の通り悪意には やたら鼻が利き、検挙率もマジ〔ぱないの〕で周りの上司・同僚・部下は一姉に一切何も言えないらしい。
余談だが、現場に来た一姉を新米刑事と勘違いして三日間コキ使った所轄のベテラン刑事が、後にその所轄の警察署長と共に菓子折り片手に土下座しに来たのは有名な話らしい。
そりゃ常識で考えたら警視が現場には来ねぇよな。まぁ今の涎を垂らしながら鍋を見つめるコノだらしない顔を見りゃ勘違いもするだろうが...御愁傷様。
「うぅ~久しぶりの三咲のゴハン!!ハッハッもう食べていい?」
「一姉様よ、まだ煮たってはおらなんだ、暫し待たれよ。」
「一姉ぇハウス!!」
「殺すぞ しずお...」
ヒイィッ!!!?
クッ警察の犬がっっ.....
「というか、一姉様よ。どうせ同じ都内に住んでおるのだから実家に戻ってくれば良かろう。最近は仕事も忙しく月に一度も帰っておらぬぞえ、食生活が心配でならんわい。」
「何言ってんの、忙しくて家に帰れないから職場の近くに住みたいのよ...それに実家だと男連れ込めないしね。」
三咲が気にかけるが全力で拒否る一姉。
「...つ~か男『ベシイィィッッ』うぐぉえっ!!?いやまだ何も言ってねぇよ!!!」
コタツの中で一姉の A〔アリキック〕30万パワーが炸裂した。つ~かその年で独身とか近所の目を気にしてるんだろうが。
確かに一姉が帰ってくると御近所の主婦らがやたらお見合いを勧めて来たりするものな...なんて思っていたら、一姉が不意に不穏な事を口にする。
「それに、とし兄が帰ってくるんだから家狭くなるでしょ。」
「「へっっ!?」」
俺と三咲は目を見合わせた。
俺の名は しずお三世。
かの値高き魚介を解凍する美咲の庇護だ。
日本の警察の一姉が男に血まなこ、
まっ弟の俺が言うのもなんだけど 狙った獲物は数知れず、
ところがこれが掴まえられないんだなぁ。
それが神出鬼没の警察官。
次回 超職人大家族。
そんな長女と長男は最悪の一本だ。
「日本のヒーローは異世界に喧嘩を売る。」も連載してるぜぇ。