第十九話 いざ準備へ。
んで飯を食ったらその辺を探索する感じになっちゃった。
「じゃあゴハン食べ終わったら早速 行きましょう。メンバーは...」
「あっ俺はやめとく。」
一姉が言うより先に俺は拒否った。
「しずお...ほんとカワイくないわねアンタ。」
「可愛い子には旅をさせろって言うだろ? 俺は可愛くないから家にいる。」
「黙れ。私が来いと言ったら来い。そして走れと言ったら走れ、泳げと言ったら泳げ、空を飛べと言ったらドコまでですか?、だ。分かったか?」
ドコの軍曹ですか一姉!?
「それと豪士、アンタも来なさい。」
その言葉に豪兄がビクッと肩を上げる。ヤベェ、豪兄が消される。彼女を紹介しなかっただけで殺される。
なるほど、俺はアリバイ要員ですね? 二人きりだと怪しまれるますもんね?
「しずお...アンタ私を何だと思ってるの?」
ハイ、人の心を読める時点で人でなしの人でなしです。
なんつって、まぁ村までの案内に伊久を連れてくし何があるかワカラン世界で豪兄の強さは頼りになる。それに家の守備には親父と道玄オジさんがいるしな?
道玄オジさんって普段はオネェ言葉でナヨナヨしてるが、実はメッチャ強い。まぁオネェは強いし怒らせたら恐いというのはデフォだが、
ウチの親父は居酒屋で酔ってプロレスラー3人と喧嘩になり勝っちゃうくらい腕っぷしが強いのに、そんな親父とほぼ互角なほど強いのだ。
そして格闘世界で世界最強の裏十段と呼ばれる豪兄も道玄オジさんに一回も勝った事が無いのはここだけの話し。
「それなら私も行こうかね?」
何やら宇海オバさんもついて来るらしい。
前にも紹介したが宇海オバさんは、爺さんの農家を継ぐまでは環境省の職員であり自然系を扱う部所で働いていた。
その環境省 自然系職員を省内では《レンジャー》と呼ばれており、自然環境関連の全国調査、国立公園とかの保護地域を指定管理、失われた自然再生事業、野生鳥獣の管理、絶滅危惧種の野性生物の対応、自然と触れ合う為の施設整備など、自然環境保全に関する仕事は国内の活動のみならず国外にも及ぶ。
この自然系を扱っていた宇海オバさんの仕事を聞けば、娘の望や伊久の動物虫好きな性格も頷けるというか、しっかりと宇海オバさんのDNAを受け継いで...受け継い.....D・N・A。
あれっ?このバカ娘達どっかで拾って来たのかな?
とにかく宇海オバさんがついて来るのは心強い。
すると衛オジさんも同行すると言ってきた。
「僕も行くよ。こんな場所じゃ何があるかわからないし万が一を考えれば医者は必要だろ?」
そう言って衛オジさんは乗って来たトラックから医療カバンを取りに行った。親戚のウチに来るだけなのにそうゆう準備を欠かさないとはプロフェッショナルというかもう職業病だね。
すると鏡姉もーーー
「クハハッなら私もついてゆこう、先程 チィが言っていた事が気になるしな。もしそうなら私の出番だろう?」
うん、これはただの病気だね。
そして、
「私も行くよ?」
「絶対に来るな。」
問題児の中でも望が一番 危険だと思うのは多分 気のせいではない筈だ。コイツを連れていけば間違いなく藪をつついてヘビィな事になるのは必須だ。
...やれやれだぜ!!
しかし望は首を傾げながらとんでもない爆弾発言をする。
「 ...大丈夫? ゆるキャラくらいの【人食い蟻】とか【肉食ワーム】とか【雑食蜘蛛】とかいるよ?」
うおおぉいぃっっ!!? 何ソレっっそんなんいるのっ??! 全然ユルくねぇっていうか君ぃ朝の数時間でどんな冒険してきたのぉ!?!
望の言葉に皆が絶句した。なるほど...この異世界では望の昆虫眼というスキルは役立つということか.....
そして話し合いの結果、チィちゃんの村へは車2台で行く事にした。
年末年始はガソリンスタンドも休みってことで車のガソリンは満タンにしてあるし、宇海オバさん達はトラックと車で来てて、ウチの親父の軽トラとワゴンに一姉の車もあるし、道玄オジさんと豪兄に鳴兄の車もあり、ウチって平家だが庭はすこぶる広いのだ。
よし! では遠征メンバーは俺、一姉、豪兄、宇海オバさん、衛オジさん、望、鏡姉と案内人の伊久とチィちゃん、それと.....俺はチラリと見ると王蟲はマトリョーシカの横で置物と化していた。
ガシッッ!!「オメェも来るんだよ。」
俺が王蟲の頭?を鷲づかみするとイヤイヤしながら拒否っていた。絶対こいつウチに居着くつもりである...まぁ居心地が良いのは分かるが。
んで残りのメンバーは、宇海オバさんが持ってきた殆んど冷蔵庫に入らない野菜を保存食用として作業したりナンヤカンヤするらしい。
つ~事で、やっと異世界(多分)への冒険?が今から始まるのだ。
ワシは 浅草 しずお。
でぇい!ちきしょう!おうおう!下手に出てりゃあツケアガリやがって!一姉に頭下げるような豪兄さんと、豪兄さんの出来がスコーシばかりチゲェんでぇ!一姉に合わせてやった家族会議みてぇな下らねぇ能書きの段からグズグズ文句ばかり言いやがって!なにおう!彼女いまくり?ナッてやんでえ黙って聞いてりゃガタガタガタガタ好き勝手ぬかしやがってこのトーヘンボク!好きで女性ファンに追われて格闘技で怪我をさせられてる訳じゃねぇや!どれもこれも格闘家なるにゃ必要な苦労だったんだ!一姉にゃ分からねぇ「モテ」の苦労だベラボウめ!モテは流々!己を御覧じろ!だろ!
.....なんて一姉に言えたらなぁ。
次回 超職人大家族。
《 一姉には手を出すな! 》
御覧じろ!だろ!