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第十八話 猫?



 モグモグ...



 そ~いや猫?の名前をちゃんと聞いていなかったな。まぁ今更な気もするが一応聞いとくか。


「なぁお前の名前って何だ?」


 俺が猫?に話し掛けると、


「この子の名前はサン!私達の家族よ!!」


伊玖おまえには聞いてねぇ」



 伊玖をたしなめると猫?は、リスのように頬をパンパンにしながら喋り出す。


『わたち名前ないれすモグモグ...わたちがモグ..もっとちぃさい時に、ゴクン。恐い病気があって違うトコからお父さんと逃げてきたんれすが、今いるトコきて食べるもの探してお父さんが森いってずっと帰ってこないれす。そのときはわたちがちぃさくて名前とか覚えてないれすが、今いるトコの人たちはわたちがちぃさいから《ちぃ》と呼ぶれす。』



 .....うん、ゴメン。



 皆が箸を止めて泣いていた。



 ...が恐い病気と聴いて部屋の隅で目を光らせ笑う強化系のウボォーさんがいたのは今は見て見ぬふりをしておこう。


 そして一年に一回の大晦日にしか泣かない親父も額に手を当てる。


「馬鹿野郎 コノ野郎!! これは泣いてんじゃねぇっ これは目に...涙がみただけだ!!」


 泣いてんじゃねぇか...普通は目にホコリがとかじゃね~のかよ。



「食べぇ食べぇ、どんどん食べぇ!」


 三咲お婆ちゃんが猫?の皿にオカズをモリモリよそっていく。



「はいお年玉! これで好きなもの買ってねっ?」


『?』


 二姉が猫?にお年玉をあげるが多分この世界じゃケツ拭く紙にもなりゃしねぇぞソレ...



「よし分かったわ! チィちゃんは今日からウチの子よ家族よ!! 一緒に農業やろうねっ?」


 宇海オバさんがチィちゃんを農家の養子に.....えっ? 嘘っっやった!? じゃあ後継ぎ問題は解決だね!!


「忙しくなるわ、帰ったらチィちゃんとしずおの部屋を用意しないと。」


 待てぃっ!? ちょっと宇海オバさん?ナニをなし崩しに俺をひきいれてんだコラ!? どこぞの某サイヤ人よりも身勝手の極意を使いこなしてんじゃねぇ! ...くっダメだ、まだスーパーになるには怒りが足りぬか俺よ。



 俺はグヌヌッッと宇海オバさんを睨んでいると、とし兄が横から俺の皿のオカズを盗ってった。


「しずお~ソレ食べないなら貰うよぉ~」


「それはっっクリキントンの事かぁ~~~!!!」


「黙れ しずお」


「はい」



 何かずっと黙って考え込んでいた破壊神かずねぇに一蹴されると、一姉はそのまま猫?に向き直り話し掛ける。

 

「ねぇ チィちゃん、チィちゃんはここが何処どことか分かる?」


「 ~~?? ここは村からすこし離れたトコロれす。」


 まぁこの猫?の年齢は分からんが、身長や喋り方からして5~6才位な感じがする。ましてや親もいなく伊久がいってた軒先暮らしなら学もないだろうし、この世界の事を詳しく聞いても無駄だろう。


 となると、その村の連中って奴らに話を聞いた方が早そうだな。


「そ~いや伊久、お前って村へ行ってチィちゃんさらう時に村の人と話したんだろ?」



        カッ グリンッッ



 俺が言うやいなや、一姉の怖い顔が阿修羅かおみっつに見える程に素早い残像を残して伊久の方を見た。


「伊久...あなた.....」


 ヤバイヤバイヤバイッ例え身内でも犯罪行為を見逃すほどキュリー夫人はキュウリじゃないし、ピーターパンはパンじゃないし、一姉と佐藤くんは甘くない。


「いやっ違うんだ一姉っっ 間違えた俺の言い方が悪かった! ほらチィちゃん? 何だっけ? 何でウチに来たんだっけ?」


『 ? ...あっ!チィは拉致されたれす!!』



 ガチャチャ~~ンッッッ



「しずお...アンタまさか.....」


 一姉の覇王色に俺や豪兄に伊久が思わず茶碗を落とす。


「違~~~う!!? 違うでしょチィちゃん?! ほらっ、と..とも...?」


『チィは友達のウチに遊びに来たれす!!』



「「「良くできました。!!」」」



 俺や豪兄達が盛大に拍手をするが一姉はこちらを一切 信用する気はなく、懐から手錠ワッパを出した。


「ほ、本当だよっ一姉さん! 伊久とチィちゃんは友達になったんだ!?」


「黙れ豪士。裏切り者が今さら信用しろだ? 私の事を陰で笑ってたんだろうがっっっ!!!!」



 ひでぇ被害妄想だが、その事については正直なんも言えねぇ。


 豪兄にとっては優しさというか気を使い、いずれ一姉に恋人が出来たハッピー時期タイミングを見計らって穏便に彼女の瀬奈さんを紹介しようと思ったんだろうが、このさき一姉に恋人が出来ない可能性だってあるんだしビビってねぇで勇気を出して一歩踏み出し彼女を紹介すれば良かったんだ。


 アントンこと猪木も言ってるだろ?



 この道をゆけば どうなるものか、


   危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。



 踏み出せば その一歩が道となり、


   その一歩が.....【未知】となる。



 迷わずけよっ! 言えばあの世さっっ!!



 って豪兄ぃゴメン!!やっぱ言えないよね!!?



 そんな豪兄を不憫に思った俺は一姉にーーー


「おい一姉っ言い過ぎーーー」


「黙れ」


「ハイ。」

 

 こっぇ~超怖ぇぇ~~..... 俺は蛇に睨まれたカエルのように縮こまり一姉から目線を反らす。


 豪兄の為に《退かぬ》《媚びぬ》とは思ったが、結局《カエル見ぬ》だった。


 こんな恐い思いをするならば愛などいらぬ!!



 したら二姉が助け船を出してくれた。


「姉さん本当よ、チィちゃんは伊久ちゃんと三咲とお友達なの。だから一緒に家で遊ぶって。」


 さすが二姉、遊びに『来た』とか言わないところが一姉の扱いを分かっておられる。それなら一姉の嘘発見センサーに引っ掛からない。



「ふぅん、それならいいけど。それで村があるなら確認しに行ってみたいわね...ここが何処ドコなのか知らない事には何も始まらないわ。」


 まぁチィちゃんや王蟲を見るにぶっちゃけ漫画やアニメみたく異世界に来てしまったとは思うのだが、何の確証もないし取りあえず黙っておこう。


 もしかしたらココは地球で人が滅びた未来の世界で獣人がのさばっているとかいう可能性もあるしね? ...そ~いえばそんな映画あったな。フリーザに滅亡させられない方の猿の惑星だっけか?


 あと、うたわれるも...うたわれるもォ~~駄目だ思い出せねぇ.....俺がネコネちゃんしという事すら思い出せねぇ。


 とにかく暫くは静観しておこう。



 空条 しず太朗だ。


 一姉にこの世界の冒険に誘われたので全力で

拒否ったら一姉の殺気に一瞬で場が凍りつき

時を止められちまった。


 まさかザ・ワールドの能力を持っていやがったとは....いや、違う!


 これは更に上位の能力 「ザ・ドワール」か!?


 やれやれだぜ!!



 次回 超職人大家族、


俺の敗因はタダ一つ、テメーは俺をチビらせた!


 見てね?

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