第十二話 いつになったら異世界いくねんっ!! 母ちゃん編。
ーーーーっと、長い家族紹介もそろそろ終わりだがもう一人忘れてはならない人がいる...道玄おじさんの奥さんだ。
正確には【元】奥さんの千鶴さんなのだが、一昨年 千鶴さんの仕事の関係で海外赴任する事になり、当然 道玄おじさんも一緒に着いて来てくれると思ってたが道玄おじさんが拒否った為 喧嘩になり離婚した。
とはいえ、それ以外の家族は別に千鶴さんとは仲が悪いわけではないので日本に帰ってきた際は普通に家に遊びに来るのだが、今年の大晦日は仕事で帰って来れなかったのだ...残念っっ!!! 主にお年玉が。
「さぁ皆 席についたの、ではこれより千・神家の忘年会を始めようとするかえ。乾杯!!」
「「「「「「乾杯っっっっ!!!!」」」」」」
いつも会う者、中々会えない者も今年の出来事を思い思いに語っては酒を呑み、そして三咲の料理に舌鼓をうつ。
俺達家族はホントに仲が良い...
親子 兄弟 親戚などで啀み妬み傷つけ合うなんて話をニュースで見たりするが、とてもじゃないが信じられん話だ。
だってこんなに楽しくて幸せなんだぜ?それを手放すなんてありぇねぇ。
難しい事じゃない...己れの気持ち一つで簡単に手に入るもので、でも何物にも代え難い大切なものだ。
ただ互いに尊べばいい...
イップマン師匠もそう言っていた。
それだけでこの最高の時間がソコにあるんだから...
そしてそんな幸せな時間はあっという間に過ぎて最後はいつも母さんの話になる.....
「明日は恵子義姉さんの七回忌ね...」
道玄おじさんがポツリと呟いた
「あれからもうそんなに経つのか...僕は未だに信じられないよ...」
衛叔父さんが顔をしかめながら言った
「私も...私は今でも姉さんがひょっこりはんしそうで...」
ん? 宇海叔母さん?
「恵子叔母さんは本当に楽しくて優しい人だった」
「僕が音楽の道を決めたのは恵子叔母さんが応援してくれたからなんだ...」
豪兄と鳴兄がしんみりしながら話す
「三咲ちゃんのゴハンも美味しいけど恵子叔母ちゃんのもスゴく美味しかった...」
「外国の珍しい虫たくさん貰ったよ」
伊玖と望が想い出を語る
それを見て一姉や二姉に三咲、そして親父やとし兄が...とし兄?ダメだ酔い潰れてやがる。
まぁとにかくウチの連中はそれを見てただ優しく笑っていた...
前にも話したがウチのマミーは...いやママは、じゃねぇオフクロは天才料理人で世界を旅してた事があった。
そしてなんやかんやで親父と結婚してからは育児に専念していたが、やがて とし兄や一姉が成人して子供にあまり手がかからなくなってからは番組や料理学校など自分の仕事をしだす様になっていった。
それから何年か経ち、母ちゃんは仕事で貯めた金を持って国内外で災害や紛争にあった地域に行っては人々に炊き出し等のボランティア活動を積極的に始めるのだが、
元々世界の料理を勉強するため世界を飛び回ってた時にそういったボランティア活動を既にしていたのだ。
だが結婚して子供が生まれてからは中々そういった活動も出来ずに もどかしい思いもしただろう...
なので俺達家族は今まで家庭の為に頑張ってきた母のやりたいようにさせてあげようと応援もした。
だが、母は行方不明になった...
それは母が国内から国外へのボランティアを主にする様になって、その時に拠点として活動していた国がソマリア連邦共和国だ
アフリカの東部にあり、元々はイギリス・イタリアの植民地なのだが1960年代に独立しクーデターが頻発、1970年代には長期の内戦が続く無政府状態のリアル北斗の拳だった。
その余りに酷すぎる治安の悪化にアメリカ軍が介入するも治安回復どころか多数の犠牲者を出し、あのアメリカ軍が撤収した程である
それでも2012年以降に正式な政府が樹立して多少マシにはなるのだが内戦は今だに【昼ドラ】の如く泥沼化している
ちなみに土曜【午後5時】放送の【夕ドラ】でも、のび太くんが一向に成長しないので 此方も絶賛 泥沼中だ...
タッタラタッタ タッタラタッタ タ~~
タァイムゥ マシィ~ン~~~!!
という訳で話は戻るが、ソマリアの治安悪化は何も内戦被害だけではなく飢餓の問題もある。
蔓延した貧困により観光客のみならず地元民ですら強盗等の標的の対象にされ夜間はおろか昼間ですら出歩くのは危険という...
更には武装テロ組織の存在もあり海賊までいる。
『全員悪人とかアウトレイジかコノヤロウッッ!? 木村、帰ろう。』
っていうか そもそも行くなって位の超危険な場所で、外務省の発表によれば渡航危険度はレベル1が注意、レベル2が不要ならば渡航しない、レベル3は渡航中止だがソマリアはレベル4の退避勧告となっている。
つまり世界各国の中でも最も危ない場所の1つなのだが、俺発表では本気で一姉をガチギレさせた場合【退避無駄】の【幻のレベル5】があるとだけ言っておこう...
何処へ逃げようとも クルッ キットクルッ
まぁそんでテレビや新聞にネットや雑誌など各メディアから人道支援も大事だが何故そんな所へ行くのかと叩かれたりもしたもんだ
だが俺から言わせると...いや母さんを知る人なら皆が口を揃えて言う、すぐ言う、ゴイゴイスー!
『そんな場所だから行ったのだと!!』
それにおっ母つぁんはよく口癖で言っていた...
『私はヒーローなんてガラじゃない、他にいるならとっくに代わってる...だけど私しかいない、だから私がやるしかないんだ』と...
それこそ いつかは『 マザーファッカー イピカイエー 』と叫ぶと思ったほどだ。
そんなダイ・ハードのジョン マクレーンの様なマイマザーだからこそ俺ら家族は心配などしていなかったが、母がソマリアに着いて一週間が過ぎた所で行方不明となったのだ...
はじめの三日間は現地人に炊き出しなどのボランティア活動をしていた母だが、日本人がいるとの情報を聞きつけた武装テロ組織に拉致されたと、同じボランティア活動を行っていた人達から何経由かは知らんが日本政府へ一報がありウチら家族へと連絡が来た...
そりゃ日本人は金持ちというイメージを持たれているので護衛もつけず現地をフラついていれば誘拐されるのも当然と世界中のマスコミにも超がつく程ドエラく騒がれたーーー
ーーーーが次の日、テロを阻止する任務の為にソマリアへ潜入し消息を断っていたイギリスの諜報員 MI- 6(シックス)の人とひょっこり戻り、更にドエラい事になったんだケドね!
何でも母が昔、ソマリアでボランティア活動をしていた時に紛争で親を失った子供達を保護し一年ほど『食』『住』の面倒を見ていた事があったらしいのだが、その時の子供達が何十年かたって武装テロ組織の幹部になっていたらしい...
んでその幹部らが母さんの事を聞きつけて当時の礼をと V.I.P.待遇で迎え入れたってのが真相なんだが、勿論 母は人様を傷つける仕事したらアカンと幹部達に大説教をかまし、ちょうど捕まっていたイギリス諜報員の人を解放させて戻って来たとか...
これは後日談だが、その幹部たちは後に別のテロ組織らの資金や構成員に拠点等の情報と引き換えに他国へ亡命し、世界中で幾つものテロを未然に防ぎ、又幾つものテロ組織壊滅へと貢献したとか何とか。
つーかお母様ってCIAにも知り合いが居たのね?
という訳で、ソマリアでのボランティア活動は超強力で凶力な協力者がパワー型のスタンドになったので母ちゃんの身に危険が及ぶことは無くなった。
結論から言うとその後、こち亀の両津の如く誰とでも仲良くなる母は、海賊とも仲良くなり海賊船でソマリア近海のキハダマグロの漁に出港しそのまま行方不明となってしまう...
それはもう政府の連中から住民にテロ組織に海賊と色んな人達が垣根を越えて母を探してくれたらしいのだが、結局見つかったのは沖合いで母達が乗っていた船だけだった。
その船には武装した船員も乗っていたので、争った形跡もなければ金品もあった事から別の海賊や第三者に拉致された可能性は低く、考えられるの沖の高波にさらわれたのではとの見解がなされたーー
ーーー勿論 疑問はあった。海賊という海で生きる者達が全員波にさらわれるマヌケなはずはない。
その海賊を知る人達はそれこそ可能性は低いと言うが何か不測の事態が起きたのだろうと考える他なく、そして沖合いで船も無しに生きてるはずもないと海での遭難事故として死亡認定された...
確かに危険を覚悟しなければいけない場所といっても右遥か斜め上的な母との最後に何か腑に落ちない感じもしたが、一応もし本当に万が一の事があった場合に供養をしないのもどうかと母のいない葬式もおこなわれた
でもこんなの間違ってるっ あんなに誰かの為に必死に頑張ってきたのにっっ...
国 に 母 が帰れないとかお菓子だよ!!
いやオカシイよっっ!! ...オイシいよ?
まぁ俺はお婆ちゃんっ子なのでポタポタ焼き派だが、それから六年が過ぎても未だに母も同乗していた海賊らも見つかってはいない
やっほ~~ 冴羽 しずちゃんでぇ~す!
お酒の飲み方で、升の中にグラスが置かれて
その中に並々とお酒が注がれる事を「もっきり」
って言うんだって!
だからそこにお酒の「マッコリ」を注げば
「もっきり」の飲み方で「マッコリ」を飲む。
略して もっこり飲みぃ~~!
ん~~~ボキちゃんにピッタリ!!
次回 超職人大家族。
「自分にとっての母は」
WXY アソコの叫び 確かに受け取った!!!