表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/163

闇に這う者


 走る。

ただひたすらに走る。

途中の街で回復薬や食料などを買い込み、俺はタコ二郎に跨りながら殆ど不眠不休で街道を南へと走る。

険しい山々を越え、渓谷を渡り、道なき道を掻き分け爆走。

探知能力に優れた黒兵衛が耳をピンと立てながら

「もうすぐやで魔王!!」

と、タコ二郎の頭の上で叫ぶ。


「うむ、分かってる。俺も気配を感知した」

タコ二郎の腹を軽く蹴り、更に加速。

そして少し開けた場所へと出るや、

「おぉ!!我、発見セリ!!」

博士達のパーティーを遂に発見。

ちょっぴり疲れた顔のリッカが手を振りながら駆け寄ってくる。

うむ、取り敢えず無事で良かった。

良かったのだが……


「こ、こいつは……まぁ……」

現場は凄惨の一言であった。

戦闘の形跡が彼方此方に残っている。

パーティーの状況はと言うと、死者が二名に後は全員が負傷していた。

内、重体が一人に重傷者が二人と……

更に件の洞窟の入り口の片隅には、数十人規模の焼けた死体が転がっている。

敵を火系魔法で倒したのだろうか?

……

いや、違うな。

おそらく腐肉に誘われて寄って来るであろう野生動物対策で、後から死体に火を掛けたのであろう。

そして一際大きく目を惹くのが……洞窟脇で直立不動のまま立っている、微動だにしない謎の戦士だ。

朽ちかけた鎧にボロボロの剣を持った戦士である。

一見するとアンデッドの戦士にも見えるが、何か違うようだ。

種族は人間ではない。

獣人系……おそらく人狼に近い種族であろう。

固まり動かないその身体の周りに、黒い靄のようなものが纏わり付いている。

もちろんそれらも固まったまま動かない。

リッカが使用した俺様謹製のスクロールに因り、謎の戦士は時間ごと凍結されているのだ。


しかし、何がどうしてこうなった?

一体、この場で何が起こったのやらだ。


「おぉ……シング君」

薄汚れた包帯で片腕を吊っている芹沢博士が疲れた笑みを溢す。

かなり痛むのだろうか。

顔色も悪く、額に浮かんだ脂汗に薄くなった毛髪がへばり付いている。

負傷者と言うより遭難者のようだ。


「だ、大丈夫ッすか博士?ってか、あまり無事じゃないようで……今すぐに治療を」

俺がそう言うと、博士は力なく首を横に振り、

「いや、それよりも先に摩耶お嬢様を」


「了解」

俺は腰に抱き付いているリッカに回復薬などが入った袋を手渡し、その頭を撫でながら「リーネアと一緒にディクリス達の治療を頼む」と言って、大地に横たわる摩耶さんの許へと向かう。

摩耶さんは確かに生きている。

生体反応もスキルで感知している。

だが、微動だにしない。

しかもその身体の周りには謎の黒い靄が渦巻いている。

黒兵衛が心配そうに、彼女の周りをウロウロと歩き回っていた。


「ふむ…」

身体に多少の傷はあるが、どれも致命傷ではない。

全てが軽症の類……掠り傷程度だ。

しかし意識反応は無い。

軽く頬を叩いたりしたが、全くの無反応である。

魔力探知スキルにも引っ掛からない。

呪いの類や昏睡系魔法の反応も無し。

ただ、極僅かではあるけど、星幽界の福音スキルに反応がある。

となると、死霊術系統の何かか?

にしては反応が薄過ぎるが……

うむ、全く分からん。

そもそもこの黒いオーラのような物は一体なんだ?

あの石像みたいに突っ立ている謎の戦士の身体の周りにも漂っているし……

はてさて、どうしたもんかねぇ。


「ど、どうや魔王?」

黒兵衛が不安そうな声を掛けてくる。


俺は無言で黒兵衛の頭を軽く撫で、

「博士。一つ尋ねますが……この黒い靄のような物、あそこの黒焦げ連中にもあったので?」


「あぁ。奴等は全員、あの妙な物を身体に纏わり付かせていたよ」

痛み止めの薬を飲みながら博士が眉を顰めて言った。


「……なるほど。なぁ黒兵衛」


「なんや?」


「一つ尋ねるが……もし摩耶さんが死んじゃった場合、お前との契約は切れるのか?」


「は、はぁ?何をいきなり言い出すんや?」

縁起でもないこと言うなや、と言わんばかりに金色の瞳で俺を睨む。


「いやぁ~……正直、この黒い靄の正体が分からん。分からんが、これが原因で摩耶さんは意識不明の状態なのかも知れん。だから……ここは一度、摩耶さんには死んでもらって、この謎の黒い靄を祓おうかなと」

これが何かは分からん。

が、どうやら生者に対してのみ効果を発揮する代物らしい。

まぁ……間違っていたら、その時は改めて対策を考えよう。


「お、おいおい。また無茶な事を言い出しおってからに……」

黒兵衛が呆れた声を上げる。


「大丈夫。確実に蘇生させるから」


「ホンマか?」


「まぁな。外傷を伴う魔法で死んじゃった場合、蘇生率は肉体の損傷具合によって変わるけど、単純即死系魔法の場合は容易に復活できる。しかも一分以内ならほぼ百パーだ」

ま、特殊な即死系魔法の場合は別だけどね。


「チート野郎か、自分」


「一応、魔王ですから。それにこの世界でレベルアップしたってのもあるし……で、どうだ黒兵衛?契約魔法の効果は持続されるのか?」


「あ~……分からへん」

関西弁の使い魔は顔を顰めながら首を横に振る。

「そないな事は聞いた事あらへんし……そもそも復活魔法なんて、ワテ等の世界には殆ど存在しない類の魔法なんやで」


「そう言えばそうだったな。俺も人間界じゃ魔力濃度の関係からして使えないだろうし……で、契約が切れるとどうなるんだ?」


「それも場合によりけりやな。契約で無理矢理縛ってる場合とかは……」


「契約者に襲い掛かるとか?」


「そう言う話も聞いた事あるな。上級悪魔とかを使役している魔女は、常に細心の注意を払ってるって話や」


なるほど。

召喚系魔法の簡易契約に近いのかな?

ま、あれは厳密に言えば魔法じゃなくてあくまでも術式の一つなんだがね。

「で、お前さんは?」


「ワテ?ワテはまぁ、契約が切れても変わらへんで。ただ、緊急通信もそうやけど、摩耶姉ちゃんとの連携魔法とかは使えなくなるやろうなぁ。ま、もう一度契約すればエエだけの話しやけど」


「なるほど。つまり問題は無いと言うことだな。良し、ならばやってみるか。ってか、やらないと摩耶さんは助からないしね」

と言うわけで、俺は呼吸を整えつつ摩耶さんの胸元に手を翳す。

使うは低位の単純即死系魔法だ。

通常、この手の魔法は先ず掛らない。

例え魔法耐性が低い人間であろうと、簡単に抵抗レジストするからだ。

俺の邪視系スキルの方が効く位である。

しかし病気や怪我で身体が衰弱している場合や、自殺を考えるほど心が弱っている相手には良く効く。

即死系魔法と言うよりは、安楽死をさせる魔法と言った方が良いだろう。


さて……

摩耶さん、申し訳ねぇーです。

心の中で謝りつつ、精神を集中。

そして

「運命の環、安らかなテネリタス・モルス

無抵抗の者のみに効果を発揮する低位の即死系魔法を発動。

ゆっくりと上下に動いていた摩耶さんの胸元が動かなくなった。

と同時に生体反応も消え、身体を覆っていた黒い靄が大気に溶け込むように胡散霧消する。


良し。

俺は更に意識を集中し、

単純蘇生レッス・レークテ

僅かの間を置き復活魔法を発動。

摩耶さんの身体が淡い光に包まれると、大きく息を吸い込む音が聞こえた。

生体反応スキルも反応している。

成功だ。

「ほい、完了と……ん、ついでに眠り姫の誘い」

俺は胸元から彼女の額に手をスライドさせ、睡眠魔法を発動させた。

「……良し。完璧なり。んじゃ次は怪我人の手当てだな。重傷者は博士とヤマダの旦那か」

魔力の残量も今の所は余裕がある。


「おい、勇者は?」


「後回しだ。どうせ死んでるんだし。先ずは重傷者からだ」

ってか、実はこっちの方が難しい。

単純な傷なら低位の回復魔法で直ぐに治せるが、博士は腕を折っているし、ヤマダの旦那に至っては片腕を切り落とされてる。

ゲームのように回復魔法一つでどんな傷でも治すってな事は出来ないのだ。

「……ヤマダの旦那。落とされた腕は残ってますか?」

俺がそう尋ねると、土気色をした顔を歪めながら二刀流の剣士は首を横に振った。


ふ~む……となると、肉体再生系の上位回復魔法が必要か。

自己修復魔法は得意なんだけどなぁ……

「ま、何とかなるか」

呟きながら俺は旦那に近付き、落とされた腕の周辺にきつく巻かれている包帯を外す。


どれどれ……回復薬の効果で辛うじて血は止まってるみたいだな。

しかし、斬り口が鋭いなぁ……旦那ほどの剣士の腕を切り落とすとは、相手は剣聖か何かか?

「良し。ならばラルジュ(魔法威力強化)、そしてリジェ・クラティオ(失われし肉体への回帰)と」

手を翳し、回復魔法を発動。

ヤマダの旦那の腕周辺が淡く光り、失った腕がモニョモニョとゆっくりした動きで再び生えてくる。

見ていてちょっぴり気持ち悪い。

専門の治癒師ならもっとスピーディーに行えるのだろうが、今の俺のレベルではこれが精一杯だ。

元々この手の魔法の専門家じゃねぇーしな。

って言うか、復活魔法より魔力の消費が激しいわい。


「ふぃ…」

俺は一息吐き、腰に下げた七星剣より魔力の補填を行いつつ今度は博士の治療を行う。

見たところ単純骨折の様なので、ヤマダの旦那に比べれば治癒は遥かに楽だ。

俺は博士の腕に手を翳しながら尋ねる。

「しかし博士。一体、何が起こったんで?」


「私の方も良く分からないことばかりでねぇ」

博士は眉間に皺を寄せた。

そして軽く顎を動かし、

「先ず最初に襲って来たのが、あの連中だ」

視線の先は洞窟脇の炭化した死体の山々だ。


「あの黒焦げの……ふむ、普通の人間のようですが……何者ですか?」


「分からん。が、遺体を調べた所……シング君の言う通り、普通の人間だった。唯一つ不可解な点があるとすれば、先ほども言ったが彼等は全員、黒い靄のようなものを全身に纏っていた。しかも和系統……日ノ本の術は良く効いたんだよ。この世界の魔法や西洋系の魔法には抵抗していたみたいだがね。そもそも忍者のような格好をしていたしね」


「ほぅ……忍者とな。まさか日本からの転移者……とか?」


「いや、違うと思うねぇ。予想だが、単に憑依されていただけだと思うね。薄いが霊波も観測したしね」


「憑依とな」

僕ちゃんの嫌いな言葉の一つだ。

そもそも精神支配系の魔法等で相手を意のままに操ると言うのなら理解できるが、魂とか……霊の類がだ、相手に勝手に乗り移るとか……俺の世界の常識では考えられない。

実におっかねぇよ。

「と言うことは、何か霊的な存在が次元世界を飛び越え、この世界の人間に取り憑いたと……」


「ん~……それもまた考えられないねぇ」

そう言って博士はゆっくりと包帯を外し、強張っている筋肉を解すように揉み始める。

どうやら回復したようだ。

「ただ、シング君の発見したダンジョンに千五百年前に起こったとされる大災厄。そして陰陽師と言う言葉に怪しい精霊教会……黄泉の醜女……それらを繋ぎ合わせれば自ずと答えは出るがね。おそらく酒井女史も薄々は気付いている筈だよ」


「……なるほど」

ちなみに俺にはサッパリだ。

後で酒井さんに聞いてみよう。

「しかし日本の術が効いたと……同じ魔法なのに効果に差が出るモンですか?」


「検証をした事はないが……それも人間界特有の現象かもね。宗教による力って言うのもあるかもしれないねぇ」


「はぁ……そう言うモンですか」

そちらもサッパリ分からん。

相手によっては俺の魔法も効果が薄くなったりするのかな?

良く分からんわい。


「ところでシング君。魔力の方は大丈夫かい?」


「ん…」

俺は軽く息を吐き、意識を内面に向け自己ステータスを確認。

魔力は……ん~……結構ギリギリだな。

「七星剣の予備タンクから供給したとしても、後一回の復活魔法が限界ですかねぇ」


「思ったよりも魔力を消費するもんだね」


「元々専門外の魔法ですから」

そう言って小さく笑うと、地面に横たわる二つの死体に目を向ける。


さて、んじゃお次は……クバルトとか言ったかな?

この巨人系種族の男を……いや、ここは馬鹿勇者だな。

「やれやれ、本当にこのボンクラは……」

俺は勇者オーティスを見下ろし、ボリボリと頭を掻いた。

傍にいたシルクが不安そうな目を向けてくる。


そう言えば、こっちの巨人族の男はシルクの友達とか言ってたな。

「ん?心配すんなシルク。勇者を先に蘇生させれば、コイツが復活魔法を使うだろうよ」

ま、少しはこのボンクラにも働かせないとな。

と言うわけで、先ずは遺体の確認だが……胸元に大きな傷か。

見た感じ心臓を一突きって所か。

いやはや、なんて弱いんだか……勇者の名が泣くぞ。

しかし心臓を破壊されているとなると、単純系復活魔法じゃ駄目だな。

肉体修復系復活魔法で、死後二日ぐらいとなると……やはりレベルの低い魔法じゃ無理か。

「はぁ~……ま、取り敢えずやりますか」

俺は呑気そうな顔をしているボンクラ勇者の死体に手を翳し、

「中位回復蘇生……リ・アナヴィオス(深遠からの救済)」

勇者の身体が淡い光に包まれる。

ちなみにこの手の魔法の成功率は半々って所だ。

失敗すれば灰になる。

その時は……取り敢えず笑って誤魔化そう。

そんな事をボンヤリと考えていると、微かな呻き声と供に、勇者の口から大きく息が吐き出された。

胸の傷も治っている。

うむ、取り敢えず成功だ。


俺はウンウンと独り頷き、そしておもむろに目覚めつつある勇者の頭に拳を打ち付ける。

傍らに居たシルクが、

「ちょ…な、なにしてんのさ!?」

そう驚いた声を上げた。


「いや、何って……気絶させただけだが?俺が復活させたとなると、色々と話がややこしくなるだろ?」

ちなみに何で殴ったかと言うと、睡眠魔法を使うのは勿体無いからだ。

ってか、本当に魔力がギリギリだしな。


俺は疲れた溜息を吐き、腰に下げた雑嚢から魔力回復用の強壮剤を取り出して一気に呷る。

そしてふと良い事を思い付いたので、気絶している勇者の胸に掌を押し付け、「フンッ」と気合を入れた。

シルクが不思議そうな顔で尋ねてくる。

「何をしたんだい?」


「ん?なに……少しばかり精霊の力を分けてやったのさ。これで多少はパワーアップしただろうに」

この先も摩耶さん達と行動を供にするのなら、ちょいとばかり強くなっていた方が良いだろう。

せめて楯代わりになるぐらいはな。


「ふ、ふふふ…」

と小さく笑ったのは博士だった。

「魔王であるシング君に蘇らせて貰った上に力まで与えられるとは……勇者としては前代未聞だろうねぇ」


俺もそう思う。

「本当は自力でレベルアップして欲しいんですがねぇ……ま、中々にね」

このボンクラの努力や熱意は買う。

が、やはり才能が乏しいのは……こればかりはどうしようもないか。

俺はゴリゴリと頭を掻き、視線を博士やリーネア、ヤマダの旦那に向けた。

「んじゃ、詳しい話を……ってか、ヤマダの旦那ほどの剣士が腕を切り落とされるなんて、予想外ですよ。一体誰に……あの黒焦げ連中にですか?」


「……かなりの強敵でった」

復元した腕の感覚を確かめるように動かしながら、旦那は渋い顔で答える。

リーネアも柳眉を顰め、

「そうね。人間にしてはかなりの強さだったわ。魔法は使えなかったみたいだけど……戦士としての技量だけ見れば、歴代の勇者に引けをとらないかも」


「そんな連中が何十人もか」

そりゃ勝てんわ。

全滅しなかっただけでも運が良かった。


博士は薄くなった頭部を撫でながら小難しい顔で言う。

「最初は何人か生け捕りにして情報を得ようとしたんだがねぇ」


「……が、思ったよりも強かったと」


「何しろ数がね。それにマーヤの魔法も効果が薄く、ヤマダ氏やリーネア女史、それにリッカ君達も圧され気味でね」


「しかも勇者は何時の間にか死んでるし……って所ですか。いやはや、良く生き延びましたねぇ」


「ま、和系統の結界や術を駆使して何とかね。それで残った敵を何とか捕らえようとしたんだが……そんな時、アレがいきなり洞窟より現れてね」

博士は親指を立て、背後を示す。

そこには凍結魔法で封じられた謎の戦士。


「ほぅ…」


「そしていきなりこの連中を瞬殺だよ」


「で、次に博士達に襲い掛かってきたと?」


「そう言うことだ。ただねぇ……何と言うか、彼もまた連中と同じように憑依され、そして操られていたんじゃないかな。精神支配を受けている……そんな気配を感じたんだよ」

「確かに」

と言って頷いたのはヤマダの旦那だ。

「時折、何かに抗うような素振りを見せていたのは確かだ」


「ふむ……だとすると、あの黒い靄のような物が気になりますね」

あれが精神に影響を与えていたとか……かな?


博士も頷き、

「最初に襲って来た連中も同じだったしね。ただ、死んだら消えてしまったがね」

そう言って頭を掻いた。


「霊的な類ではないんでしょ?だったら……何でしょうかねぇ」


「この手に関しては私も専門家じゃないからねぇ……一番詳しいのは酒井女史だろう。ただ思うに、この黒い靄は黄泉の国の瘴気に近いかも。微かに死臭も漂うしね」


黄泉の国……確か冥界の事だよな。

ふむ、となると死霊術とか禁忌系の魔法か何かの影響かな?

僕チンも専門家じゃないから良く分からんわい。

「取り敢えず俺は、この謎の男を調べてみますよ。博士達はこのまま洞窟探検を。もう危険は無いでしょうからね。馬鹿勇者や摩耶さんには、謎の勇者スティングが助けたとでも言っておいて下さい。んで、探索が終わったら一度帝國へ戻った方が良いでしょう。また謎の刺客が現れるかもしれないですらからね。都市部に居た方がまだ安全でしょう。それとリッカ達は探索が終わったら取り敢えずマゴス駐屯地まで来てくれ」


「何かあったのかね?」


「どうにもねぇ……彼方此方で反抗勢力が一斉に動き出しましてね。現在魔王軍はてんやわんやな状態なんですよ」


「ほぅ…」

博士の眉間に軽く皺が寄った。

そして細い顎を擦りながら呟くように言う。

「各地でそれぞれ個別に抵抗していた勢力が時を同じくしてか。それはまた妙な話しだねぇ」


「ですよね。偶然にしては動きに統一性が見られるのがかなり怪しいですよね」


「裏で何者かが暗躍しているという事か。ふむ……今回、我々を襲ったこの連中と繋がりがある……と言うのは、少し穿った考えかな」


「どうでしょうか……奴等の正体が分からないですからね。それにそもそも博士達と俺……魔王軍との接点は誰も知らない筈です」


「確かにね」


「けど、僕チン的には多少は繋がりはあるんじゃなかろうかと……ま、勘ですがね」


「……なるほど。繋がりはある。が、敵もまた此方が裏で繋がっている事を知らない……と言うことかな」


「かも知れません。あぁ、それと帝都へ戻る際は大きな街道を通って下さい。多分、新しい仲間と出会える筈ですからね」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ