表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

01 ありきたりなプロローグ

二ヶ月でラノベ1本分くらいの話を完結させます。

よろしくお願い致します。

 東京都内には、言わずとも知られているお嬢様学園が存在する。


 都内ではその学園を知らない人はおらず、ほとんどの人が周知している。

 街中で、その学園の制服を纏っている生徒を見たら(みな)が振り返り目で追ってしまうほどである。


 あらゆる分野で突飛しているので、全国でも名が知られている。

 なぜならその学園からは毎年、ピアニスト、アナウンサー、弁護士、外資関係といった普通ではなることが難しい職業に進む人が多いからである。


 もちろん勉学においても他を置いてけぼりにしている。

 偏差値は七十近いと言われており、ほとんどの生徒が某有名大学や海外の名だたる大学へと進学していく。


 そして、何よりも規格外なのが学園の施設のレベルだとか。

 私は見たことがないからよく分からないけど、とにかく大きくて豪華と聞く。まるでお城のようだとか。

 本音を言えばそういう所に生徒として通ってみたいとは思うけど、現実的に無理だから生きている間に一度目にするくらいはしたいと思っていた。


 そんな。


 そんな私とは一生縁がないようなお嬢様学園に、ご縁があって今年の夏から通うことになりました。



 ……………………メイドとして。


 喜んだらいいのか悲しんだらいいのか分からないけど、少なくとも就職に困っていた中でアルバイトだとしてもお時給が高い上に高待遇で、綺麗な場所で働けるようになったことは喜ぶべきことだと思う。


 このお仕事に、この私を推薦してくれた友達の明美(あけみ)には感謝しないと。

 ありがとう、明美。


 生徒としては通うことは当然無理だけど(年齢的にも私19歳だし)、メイドとしてだけど一度は行ってみたかったお嬢様学園に通えるのだから幸運だ。


 そうだ、そう思うとワクワクしてきた。

 一体全体、どんなところでどんな人達がいてどういうことをしているのかどんな場所なのか。早くこの目で確かめたい。きっと漫画の中のような世界なのだろう。


 明日、七月一日が私の初出勤の日である。


 そうそう、住み込みのお仕事だからもうこの部屋には帰ってくることはないのだ。


 自分の長く住み慣れた部屋を見回してから、なんとも言えない気持ちに包まれた。仰向けに背中からベッドに倒れこむ。


「メイドってどんなお仕事するんだろう……?」


 口に出してみて不思議になる。

 そういえば私は、自分が学園でどういったお仕事をするのかを全く知らないでいる。


 このお仕事は明美が持ってきてくれたし、面接の時は緊張しすぎてよく覚えていない。逆質問の時にどんなお仕事をするのかを尋ねると、女性面接官に笑顔で上手くはぐらかされたような記憶がある。


 少し心配になって明美に変なお仕事ではないか確認したところ全く問題ないとの太鼓判を押された。

 唯一の親友が、「大丈夫だよ!優凪(ゆうなぎ)にぴったりのお仕事だから自信持って!」と言ってくれるくらいだから信頼はしていいのだろう。


 どんなお仕事をするかは女性面接官の人に、「学生たちのお食事のお給仕といった業務になります。基本的には一人のお嬢様に専属のメイドとして仕えてもらいますよ。お嬢様と仲良くなれば楽しいお仕事ですよ」、みたいなことを言われたのを今思い出した。


 専属ってなんだろう?そういう意味だろう。

 てことは、お嬢様一人一人にメイドさんが仕えているっていうことになるのか。


 怖くない人に仕えることになりますように……。


 メイドさんがいっぱいいるなら寄宿舎で仲良い人もできるかな?寄宿舎は、メイドさんたちだけの寄宿舎ってことだもんね。


 どんな人と同室になるのか。


 不安がつきない。


 まあ、私自身早く独り立ちしたいなーと思いつつも、やりたいお仕事が見つかってなくてぶらぶらしていた矢先にこのお仕事に出会った。


 分からないことしかないし、上手くやっていけるか不安だけどできる範囲で頑張るとしよう。


 何かあったら、落ち着いて、視野を広くして冷静に行動する。

 そうすれば大丈夫。それに、気に食わないことがあればこのお仕事を私に推薦してきた明美に愚痴ればいいだけだ。


 うん。少しだけ気が楽になった気がする。


 明日も早いことだし眠るとしよう。


「この部屋で寝るのも最後かなー……」


 嬉しいような寂しいような気持ちで、重い瞼を閉じて深い眠りへと落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ