- 幼馴染のよっちゃん -
「あ、そうだ!場所だけじゃなくてダミーを増やそう、沢山このラジオがあれば黒ずくめの連中も混乱するだろうー
ハハハッ グッドアイデアだっ!」
早速、ダミー製作の出来る心当たりがある友人に依頼をする事にした。
彼も幼馴染で、親子で模型作りのプロ…よっちゃんだ。
原型さえ型取れば、どんな物も複製できるし幾つでも可能と教えてくれた事を思い出した。
ダミー製作の依頼を彼に電話をした後、裏サイトのデータも保存しようとパソコンの電源を入れる。サイトはまだ消えていない、今のうちならそのままマニュアルを保存出来る。
マニュアルのデータも、幾つかのメモリーへ保存する。物理的な保存と、ネット上のわたしが持っている保管ページへ…
この日、これで一日を費やしてしまった。
日が暮れてきたが、これからダミー製作を依頼した彼の元へ出かける。早くしなければまた、あの黒ずくめの男たちがここへやって来るだろう、その前に手を打たなければならない…
ダミー依頼するよっちゃんの家までは、自転車で15分程だ。届いたばかりの代物を開封もせず、そのまま持ち自転車のカゴへ入れペダルを漕いだ。久しぶりの自転車は運動不足の太腿にくる、こんなに自転車って体力要るんだなぁ…と自分の体力の無さを思いながらよっちゃん家へ着いた。
スタンドを掛け、玄関の呼び鈴を鳴らす。
「おーい、よっちゃーん居るかぁ?」
「おぅおぅ、今開けるわぁー」
ガチャガチャッ…ガラガラガラーッ
「急で悪いなぁー頼むよコレ!」
「あーいいよ!どうせ暇だし。」
よっちゃんは快く引き受けてくれた。
複製が出来上がるまでは最短で2日はかかるらしい、仕方ないけど待とう。
その場で開封して、依頼する現物を見せた。外側だけ、外観だけ数個くらいなら明日にでも出来ると良い返事を貰い、わたしも向かってきた道とは違う道を選んで帰路についた。
自宅に戻り、現物は目の前に無いふりをしながらマニュアルの複製の作業を行った。
保存したメモリのひとつは、勤める自分の会社宛てに。
もうひとつは、データとして自分の二台目のスマホへ保管することにした。パスワードも通常よりも厳重に設定しておく。
そしてもう一か所は…これからこのサイトを全て熟読してわたし自身の頭の中へ入れるようにした。
記憶が無くならない限り、わたしはいつでもラジオと小道具、パーツだけで改造出来るようにと心得た。
随分と大ごとになり、第三者から見ればバカバカしく思えるがこうなったら命がけでもわたしの念願の夢を叶えてやる!そう思ったからだ。黒ずくめの男達に奪われてしまう前に、改造の準備も持ってるだけの物で進める事にした。工具もマスターとサブを用意して、いざという時に片方の工具を持ってこの家を出ればどこでも改造が出来る。
これでは、これから仕事どころではなくなるかもしれない…少しやら気にもなるが、夢が直ぐ目の前にある事を思うと、選択肢は…ラジオになる今のわたしだった。
つづく