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付録のトランジスタRadio  作者: 音澤 煙管
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- 噂の代物 -




ちょっと前から、会社で噂になっている事がある。わたしも嫌いな分野ではないし小学生の頃から工作と言うものには興味があったが、この話はどう考えても工作や研究と言う域ではなさそうだ…


噂を聞いてからは早速、家のパソコンで毎日のようにこの事をネット検索してみるが見つから無い。まぁ、大体は予想はしてはじめからわかっていたが…

何せ70年前の雑誌付録付き、しかも洋書だ。

この本を今現在、丸々状態の良い未使用の物を全世界から探すと言う事は、ダカールの砂漠で軍事衛星カメラで0.01mmの狂いも無く米粒を見つけ出すようなものだ、半分ダメ元で暇さえあれば検索している。

付録付き雑誌は当時から欧米で普通に書店に並んでいたらしい、羨ましい限りだ。

わたしも過去には、付録目当てで買っていた類いの人間だった。大した付録ではないが、雑誌を買わないと付いてこない、これが付録、当たり前の事だが男心をくすぐる玩具と言ったところか…現在は昔ほど購入しては居ないが、コンビニで見かける物は女性向け雑誌がエスカレートしている様だ。

コスメやバッグなどはもう当たり前のような感じだ、凄い時代になった。


70年前頃は、当然のことながら今とは全く違う。戦後の時代も安定した生活になって、国民が皆幸せの暮らしをと願って生活していた。どの国も同じだろう…人類にとって、戦争は一番ムゴイの一言だ。それまでに築き上げてきたものを一つの野蛮な行為で全て破壊してしまう、それだけではない。

人命を奪い去り、家族や恋人を悲しさに晒す、やはりムゴイ行いだ。

酷い出来事を風化せず、戦争で生まれた物、軍事用に開発、利用された物を活かして生活の役に立てようと開発者や企業は挙って競い合った時代でもあった。


同じその頃、ある企業がトランジスタラジオの第1号機の販売に成功していた。

無線機と言うものは実在していたが、主に戦場での連絡網に使われていた。その送受信できる無線機の受信側の機器を改良し小型化に成功、一般向けに完成した。

開発までの道のりは長かった様だが、小型化により民間へどんどん普及していったそうだ。


この当時のトランジスタラジオ。

会社で聞いた噂では、実は違う開発チームが研究をしていたらしい。主に玩具メーカーとして開発していたある企業R社。行き着いたところは幼児、子供向け、女性向けにと老若男女を軸に考案していったそうだ。

開発メンバーの1人が、本来のラジオ受信だけの機能ではなく、緊急時送信できるモールス信号を取り込んだ。軍事用でも無ければ必要も無かった機能だが、先の戦争で大勢の犠牲者を居た堪れなく思いこの機能を付けたそうだ。

調べてみたら、この機能に使われたのがクォーツ石で、日本で初めて電池式自動の時を刻む腕時計の開発にも使われたもの、本国C社で有名の物だ。この事は、噂には出ていなかったがわたしは益々この付録に興味が湧いた一つとなった。知れば知るほどこの付録を欲しくなる、人間とはなんて欲が大きい生き物なんだろうか。わたしは、更にこの付録のトランジスタラジオを調べることにした…




つづく





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