1/7
プロローグ
かつて人々は、故郷を捨てた。
自らが破壊した星を捨て、長き旅路の果てに、新たな星を見出した。
セカンドアース
人々は、新たな星で、旅の疲れを癒すかのように、穏やかな眠りにつく
ここは牢獄のエデン。人々が眠る星。
「今日も暑いわね!」
陽の光というにはあまりに強烈に、それは降り注ぐ。まるで何かの意思を持っているかのように、大地を焼き続けている。
見渡す限りの砂の波が、うねりを止めたまま列をなしていた。
「さてっと…………」
彼女は佇む。どこまでも続く砂漠の海原へ、橙色の瞳を輝かせながら、何かを探すように視線を向ける。
刹那、遠方に小さく映る、大規模な砂煙が巻き起こった。
「いた!」
深緑色の短く揃えた髪を翻し、長く旅路を共にした、ラウンドバイクに飛び乗る。動力源に力が漲り、主人からの命令を、今か今かと待っている。
「今日こそやっつけて、シャワーを浴びて、ふかふかのベッドで寝る!」
彼女は疾駆する。風を切り捨て、砂煙を纏いながら。先に待つ邂逅を目指して。