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琵琶湖の亡霊  作者: marron
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1話:1人での悶々

地方にある目立たない国公立大学。

それが、俺らの大学を示す最も妥当な評価だ。

頭がすごくいいわけでもないが、馬鹿にされるほど悪いわけでもない。

けれど、まあ理系に力をいれているからか就職率は妙に高い。

そんな大学の中にいる学生というのは、まあやっぱり中庸的なわけで、過激に大学運動なんて時代錯誤なものをやる気力なんてものもなく、ただひたすらに日常を謳歌しているわけだ。


しかし、まあそんな『一般的な日常』なんてものを維持するというのはなかなかに大変なことだと大多数の若者は大学在学期間中に思い知らされる。

そう、暇なのだ。


もちろん、課題がある、実験レポートがある、実習がある、暇なんて言っていたら教授陣に後ろからナイフで刺されるんじゃないかとは思うぐらいに忙しくはあるのだけれども、人との関係が希薄な大学生活というのは自分から努力をしなければ、しごく味気ないものになってしまうのだ。


だから、彼らは友達を作り、バイトを始め、そしてサークルを始める。


俺は、そんな大学生活のスパイスにすぎないサークル選びを間違えてしまったのではないか。


大学2年生の春休み、小さな封筒を前にしながら図書館でため息をついた。


春休みの図書館は人が少ない。

いるのは、研究室に早速追われている4年生や院生、それに近所のよく分からないおっちゃんやパソコン越しに戦艦っぽい娘と遊んでる一般的な暇な理系大学生活ぐらいだった。

俺は4人で使うであろうテーブルにだらしなく倒れながらこれからのことを考えていた。


俺が入っているSkyWingsというサークルは人力飛行機を制作するサークルだ。

といっても、人力飛行機と言われてもぱっとしない人の方が多いかもしれない。

実際出会い系サイトで話のネタにしようとしてもなかなか通じない。

けれど、日本人なら6割ぐらいの人はこの人力飛行機というものを実は見たことがある。

某詠売テレビさんが夏に放送する青春特番鳥人間コンテスト。

これを言うと、だいたいみんな分かってくれる。

そう、俺らはこの鳥人間コンテストを目指して人力飛行機を作っているサークルなのだ。


今年は落選が決定したが。



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