彼女と妹
「おい、人の部屋に入っていきなり何やってんだ」
「エロ本探し」
「残念ながら俺の部屋にそんなものはない」
きっぱりと言ってやった。
「えー祥馬ってそーゆーの興味ない系?」
「おいおい、この時代エロ本買うやつなんてほとんどいないんだぜ。スマホでいくらでも動画や画像が見れるからな。おい、なんだそのあからさまにひいてる目は」
今日は有紗が俺の部屋に来ている。今日俺の家には両親も春菜も出かけている。つまり、この家にいるのは俺と有紗の二人だけである。
あの海での一件以来、俺たちは毎日のように連絡を取り合い、さらに仲良くやっている。春菜にはまだバレてはいないが、最近の俺の行動を怪しく思っているらしく、よく探りを入れてくる。
「意外と綺麗にしてるのね」
「まぁな…」
有紗が来ると聞いて慌てて散らかってたものを押入れに詰め込んだので、押入れを開けられたらおしまいだがな。
「まぁこうして急に彼女が来るとなったら私なら押入れに詰め込むけどね」
そう言うと有紗は押入れを開け、無情にも詰め込んだものが流れ出て来た。
「やっぱりね」
「あはは、バレたか」
「すごい祥馬らしい」
それから俺たちはしばらくゲームしていたが有紗が漫画を読みたいと言ったので漫画を読むことにした。ベッドの上でダラダラと漫画を読んでいると眠くなって来てしまった。少しの間ウトウトしていると漫画を読むのに夢中になっている有紗の存在を忘れ、眠ってしまった。
どのくらい経っただろうか。俺が目を覚ましたのは、部屋の扉が勢いよく開かれた時。
「ただいまー祥馬。玄関に靴があったけど誰か来てんの?」
勢いよく扉を開けたのは春菜だった。
「おかえり〜。おっと結構寝ちまったな」
目を擦りながら伸びをするとお腹のあたりに重りを感じた。
「あっ祥馬起きた〜。おはよ〜」
有紗も目が覚めた。しばらくぼーっとしていたが、俺の目がはっきり覚めたのは、妹の友達と一つ同じベッドで寝ていた事実を妹に知られたということに気づいた時だった。
「有紗!なんでここにいるの?」
春菜は心のそこから驚いたような声で聞いた。
「春菜!これには深い訳が」
我ながら安いセリフを吐いてしまったと思った。
「えー。祥馬が付き合ってるのって有紗だったの?」
俺の安いセリフを無視してくれて、いきなり真実をつついて来た。
「ねぇ二人とも正直に言って」
ここまでか。有紗と目配せをした。有紗もはっきりこっちを見て、一つ頷いた。
「そうなんだ。俺は有紗を愛してる」
「私も祥馬を愛してる。だからまぁそうだよ。付き合ってる」
俺たちがはっきり言うと春菜は。
「やっぱりね。最近祥馬の様子おかしかったから、何かあるんだと思ってたけど、まさか有紗と付き合ってるとは」
春菜は笑いながら言っていた。
「もちろん、私は二人を応援するよ。昔から仲良かった二人が付き合うのはとても素晴らしいことだと思う」
ここまで言うと春菜の顔は急に暗くなった。
「でも、私には言ってほしかった。二人が付き合ってることを私に秘密にしてたのが残念だったよ」
春菜は部屋を静かに出ていった。取り残された俺たちは。
「やばいよね。あれはけっこう怒ってるよね?」
有紗が恐る恐る聞いて来た。
「ああ。でも普通、兄の恋人情報を妹に教えるか?」
「普通はしないと思うけど…きっと昔から三人で遊んでたから、仲間外れになっちゃったと思ったんだよ」
それだけ言うと有紗は部屋を出た。慌てて追いかけると春菜と有紗はリビングにいた。
「バスケしよう」
突然有紗が言った。春菜は「えっ」と呟き、ポカンとこちらを見ている。しかし、有紗はそんなことお構いなしに手を掴み、外に連れ出した。
外に出ると有紗の家の前にあるバスケットゴールの前に有紗、その前にボールを持った春菜がいる。
「言いたいことはたくさんあるだろうから、バスケで語れ」
春菜は無言で頷き、ドリブルを始める。そこから三十分以上もone on oneが繰り広げられた。二人の実力はほぼ拮抗。有紗の怒涛の攻めを春菜は華麗に防いでいる。こんな狭い路地でかなりレベルの高い戦いが行われていたが決着はついた。最後に有紗のレイアップが綺麗に決まった。
「やっぱり有紗はすごいよ」
息を切らしながら春菜が言った。
「当たり前だろ。愛の力だ」
「だけど勘違いすんなよ。私が好きなのは祥馬だけじゃない。春菜もバスケも愛してる」
「うん。知ってる。今、やっててすごい楽しそうだった。こんな風にマジでやり合うのってまだバスケちゃんとやり始める前以来だよね。こっちもすごい楽しかった」
「今までは仲間同士だったが高校からは敵同士になる。春菜に負けないようにがんばるという高校での目標が出来て良かったよ」
「こっちこそ、今度は負けないよ」
どうやら、本当にバスケで語り合ってしまったらしい。スポーツ選手の友情とでも言うのだろうか。
「あのさ。少し聞きにくいんだけど、さっき二人はベッドでナニしてたの?」
そういえばこいつは最悪のタイミングで部屋に入って来たのだ。すぐに勘違いを解かねば。
「ナニって…あれだよーあれ」
有紗が全力でふざけ始めた。
「あれってか…マジか、最低だなうちの兄は」
顔をトマトのように真っ赤にして、俺を責めて来る。春菜は根っからスポーツ少女の超絶ウブだった。




