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初デート

「という具合なんだ」


「マジで⁈それでオッケーしたの?」


「うん…」


卓也、秀人、隆史の質問攻めの結果、祥馬は全てを白状した。


「残念ながらこの旅行を彼女がいない者の傷心旅行というには裏切り者が出てしまった」


この旅行を企画をしてくれた隆史がそう呟いた。


「だが、親愛なる祥馬君に彼女が出来たことは実に喜ばしいことであり、我々は醜い嫉妬で祥馬君の恋路を邪魔することは断じて許されない。我々はこの恋路を温かく見守ると共に応援していこうじゃないか」


ここまで隆史が言うと


「そうだな、祥馬は俺が恭子ちゃんに振られた時も親身になって考えてくれたもんな」


俺が中学の時、初めて出来た友達の秀人も続いた。


「うんうん。でも、祥馬も有紗ちゃんと何があったかは随時報告をするべきじゃないかな?だって僕達友達だろ?」


最後に卓也がニンマリとした笑顔で余計な一言を付け足した。


「そうだそうだ!おまえ、有紗ちゃんとどこまでいったんだよ?」


「キスしたの?まさかやってはないよな?」


「どこかデート行ったの?」


再び質問攻めが始まる。


「落ち着けって。相手はまだ中学生だぞ。それに付き合ってから今日まで有紗とはほとんど会ってない」


「嘘だろ。付き合い初めって一番楽しいって聞くぜ。デートとかしろよ」


「いや、俺もしたいけどさ。なんか家が隣だと逆に会いにくいんだよ」


「そういえば春菜ちゃんは知ってるの?」


秀人はよくうちにくるから春菜のことはよく知っている。


「言えるわけないだろ。兄が妹の友達と付き合ってるなんて」


「とにかく、この旅行が終わったら一回デートしてみろ。今連絡しろよ」


「えーやだな。明日でいいよー」


「明日やろうはバカヤロウだ。こうゆうのは早い方がいい」


恋愛経験なんてろくにない隆史が連絡を促す。


『2月17日の日曜、なんかして遊ばない』


「これでいいのか?」


「そうだ。いつか遊ぼうだと予定はズルズル伸びて結局頓挫しちまう。日付けはこっちが決める。だが、何をするかは女の子に決めさせる。これが鉄則だ」


結局先ほど送ったメールは俺たちが起きている間に返って来ることはなかった。まぁ仕方ない、だってもう夜の二時だもん。


翌朝八時に起床するとメールボックスに有紗からのメールが入っていた。


『ごめん>_<その日は友達と遊ぶんだ…その次の週の日曜なら大丈夫だよ!!』


「まぁよかったんじゃないの」


「まぁ俺は春休みは大抵暇だから」


『オッケー!じゃあ来週の日曜で。なにしたいか決めておいてね〜』


メールを返し朝ごはんに向かった。


そして、運命の日曜日。


「よお。本当にこんなとこでよかったのか?」


「こんなとことは失礼じゃないか」


集合場所及び今日のデート場所、自宅から約五メートル。有紗のお家。


「今日はパパもママも夜まで帰ってこないから大丈夫だよ」


「そうゆう問題?てか、珍しいな。おまえが家でゲームをしようって言うなんて」


「まだ寒いからね。外に出る気しない。今はまだ冬眠の季節。こたつに入ってゲームするのが至高」


いつも隣にある家に入るのに俺は少々緊張していた。 有紗の家には数え切れない程入ったことがある。しかし、有紗の部屋に入るのは今日が初めてだった。


ベッドには可愛いシーツが敷かれ、勉強机には彩りの小物が置かれて、友達と撮ったと思われるプリクラが貼ってあった。有紗の部屋は思った以上に女の子っぽいものとなっていた。ただ、部屋の真ん中にドンと乱雑に置いてあるこたつは部屋の景観を損ねていた。


「おまえ、こたつで寝るタイプの人間だろ」


「うーん。でも何回かだよ。週三ぐらい」


「多すぎだろ。おまえの彼氏として忠告する。ベッドで寝ろ」


「わかったよ〜さぁなんのゲームする〜?

ウマブラ?パワスケ?」


二人でこたつに入り、テレビゲームをした。

もともと、ゲームが得意な俺と予想以上にゲームが得意な有紗はどれもいい勝負になり、想像以上に楽しめた。一時間やったら三十分休むあたり、長時間ゲームするのに慣れていると思われた。


「ねぇ、今度また三人でバスケやりたい」


不意に有紗が呟いた。


「えっなんて言った?」


「入野先生…バスケがしたいです」


有紗があのバスケマンガのマネをしながら言い直した。


「おまえはどこの不良スリーポイントゲッターだ。そもそも、俺とおまえ達じゃ、もう勝負にならないだろ」


中学に入って友達を作るべくバスケ部に入部した俺だったが練習はきつく、小学校からやっていたプレイヤー達との差を埋めることが出来ず、一年もたず辞めてしまった。ちなみにその時一緒に辞めたやつこそ中学の仲間で唯一今でも付き合いのある秀人である。

確かに部活を辞めた後、少しかじっていたバスケを教えた俺は有紗と春菜にとって先生のような存在かもしれない。しかし、バスケにのめり込んだ彼女達は中学に入りメキメキとその頭角を現していき、二人がエースとして引っ張り、見事全国大会に導いた。そのまま二人ともバスケで高校に進学することとなった。


「それでもあの頃みたいにかっこいい祥馬が見たいな。確かにバスケは下手だったけど、私達にとってはすごいかっこよかったんだよ」


柄にもなく、そんなことを言う有紗を俺はただ呆然と見つめることしか出来なかった。


「まぁ私が言えたことじゃないよね。いつまで経っても女の子っぽくなれないし、オシャレなんてしたことないし…なんで私と付き合ってくれたの?もしかして祥馬ってロリコン?」


最後にはいつものイタズラな笑った顔を見せて聞いてきた。


「おいおい。何勘違いしてんだ。別におまえが中学生だから付き合った訳じゃないんだぞ。俺はおまえだから好きなんだよ。そんなに自分を卑下するなよ。おまえは十分可愛いし、いい女だよ。逆にどうして俺なんかと付き合ってくれたんだい?」


「私はね…ずっと前から祥馬のこと好きだったんだよ。春菜が羨ましかった。私もこんなお兄ちゃんが欲しかったなって…でも、今なら祥馬が私のお兄ちゃんじゃなくてよかったと思ってる。だってこうして大好きな関係になれたんだもん」


笑顔で答えていたがその目には少し涙が光っていた。



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