そして王都へ
「それで? なんだって坊主は一人で
あんなとこに居たんだ?」
健斗は話しかけてくる彼に着いていきながら
人里を目指していた。
「ちょっと道に迷ってな...」
それらしい言い訳も思い付かなかったので、
これが無難な答えだろう。
「そりゃ災難だったな。 あそこの森は
危険な魔物がたくさん出やがるから
近づかない方がいいぞ」
言われなくても二度と行きやしないさ。
と思いながらも彼に着いていくと、
だんだんと砦のようなものが見えてきた。
「なあ」
「どうした坊主」
健斗は砦を指差しながら
「あれ人里ってレベルじゃないよね? 」
「俺は一度も人里とは言ってないぞ?」
「あんな森の中で故郷とか言われたから
人里(村とか町)だと思ってたんだが...」
それを聞くと、彼は溜め息を吐き
「ここら辺で人が居るのは要塞王都グラムか
ティバレ村くらいだろ? 少しは推測出来ると
思うが」
「うん、無理」
いきなり異世界に飛ばされた健斗にそれを
求めるのは酷であるが、そんなことは
知らない彼は首を傾げることになった。
「世間知らずってやつか...ところで、
お前の目的は旅か?それとも要塞王都で
生活するのか?」
「旅はしたくないな、出来れば生活したいが」
「そうか、じゃあグラムに着いたら
ちょいと手助けしてやるよ」
「グラム?」
「...あそこの砦の奥にある要塞王都の名前だ」
「へぇ」
ーーーーー
「おお! すっげぇ!」
グラムに着いた健斗は早速興奮していた。
エルフや獣人など、ファンタジー要素溢れる
人々を見て、目を輝かせていた。
「すげぇだろ? 異種人族がこんなにも
たくさん居るのはグラムくらいだ。
普通はこんなには多くない。
それだけ多種族との壁が薄いんだ」
健斗は辺りを見渡し
「にしても要塞王都って肩書きのわりには
一度入ったら結構自由なのな。
商売を見てると朝市みたいだ」
「朝市ってのが何か知らんが、商人は
かなり厳し目の検査を受けてるから
その分それなりに自由に商売出来るって
わけだ」
「なるほどな」
「さて、坊主。 そろそろ俺は仕事が
あるから行かなきゃなんねぇが
お前は世間知らずで心配だから餞別だ」
そう言って彼は小さい衣袋とナイフを健斗に
渡した。
「袋の中には金が入ってる。 何日かは
大丈夫だろうよ。 それと、ナイフは
護身用だ。 大事に使えよ」
「悪い、助かる」
「いいってことよ。 あと、もしも困ったことが
あれば俺のところに来な。
俺はここでマラリスって名前の服屋を営んでる
トリスってんだ。ここの奴等にマラリスの
場所を聞けば俺のところに辿り着ける」
「何から何までありがとな」
「礼を言う暇があるならとっとと
仕事でも見つけて来やがれ!」
トリスは笑いながら健斗の背中を押した。
「じゃあな坊主、いつかまた会おう」
「ああ、元気でな」
そう言って彼等は別々の方向へと歩きだした。




