僕
僕にはこれと言って特徴が無い。それが僕の個性だった。
格好いい訳じゃなく、不細工と言うわけでもない。運動も出来なくもないが得意でもない。テストは並み。得意なことも無ければ不得意なこともない。それが僕だ。
僕は、それを個性が無いと言うことだと思っていた。周りよりも飛び抜けたことが無い僕は、没個性的で、どこかに埋もれてしまう。そんな存在なのだとずっと思ってきた。
保育園の頃、将来の夢に戦隊もののヒーローを挙げ、小学校ではその時やっていたグラブから、サッカー選手と挙げた。
中学校では、部活に入った。バスケ部だ。流行ったアニメに感化されただけの僕は、人数の問題からレギュラーに入った。地区予選では、いつも二回戦落ち。二回戦目は、いつもシード校と当たったからだ。最後の大会が終わっても、悔しくも悲しくも無かった。そこまで頑張った訳でもない。
勉強は、普通にやって来た。だから、テストの点数も並みだった。
「入れる高校は多いですよ」
いつだか、担任はそう言った。確か、三年の夏、三者面談の時だ。
親は、「そうですか」としか言わなかった。
入る高校は、決めてあった。家から徒歩二十分にある普通の高校。テストの点数も成績も入るには丁度良かった。
そして、この春。僕は晴れて高校生となった。喜びも人並みに、制服を身に纏い、入学式を向かえた。
僕の人生は、こうして普通に終わっていくのだろうと思っていた。将来は、サラリーマンとして生きていくのだろう、と。
だが、未来とは予想も着かないことが起こる。それが、突拍子の無いことでも。一秒前には思わなかったことでも未来は変わってしまう。
そして、僕の人生は間違いなく変わり、想像もしていなかった方へと進む。
僕は出会ってしまった。
僕らのヒーローに。