表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/46

エピローグ

王宮を離れ、馬車の揺れに身を任せながら、私はそっと目を閉じた。

窓の外に流れていく王都の街並みが、夕陽に照らされて橙色に染まっていく。


(――完敗、でしたね)


リディア嬢とアレクシス殿下――

あの二人の強固な絆は、私の及ぶところではなかった。


ふっと微笑が漏れる。

未練がないと言えば、嘘になる。けれど、それでもなお祝福したくなるほどに、美しい二人だった。


(やはり私は――ああいう才ある女性が理想なのだな)


外交に共に出られる。政務でも頼り合える。

ただ甘やかされるだけではない、対等に並び立つ存在。


「……とはいえ」


ぼそりと独り言のように呟く。


「国内には、なかなかそういう女性には出会えませんでしたが。――また、他国で探すとしましょうか」


思わず自嘲の笑みが浮かぶ。

だが、それが決して諦めでも悲観でもなく、ほんの少しの淡い期待を含んでいることに、自分でも気づいていた。


(……まさか、この時の私は知る由もなかったのです)


(あの望みが――まさに自国の中に眠っていたなどと)


馬車は静かに進んでいく。

揺れるカーテンの向こう、遠ざかる王都の塔が、まるで新たな幕開けを告げるように橙色に染まっていた――。

「後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました」に続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ