アセルガのクリームスピナッチと揚げエンパナーダ(3)
祝!100話到達!
なだらかな展開の今作をここまで閲覧いただき、本当にありがとうございます!
揚げエンパナーダの材料を考えて探して、買い物を済ませた。
朝にシオンちゃんが言ってた通り、八百屋には茎が白いタイプのアセルガが山のように積まれていた。嘘みたいに安かったから、俺が抱えられるだけ大量に購入した。
アセルガで何作ろっかなー。トルティージャは間違いなく作るとして、でも今日じゃない。
そういえば、クリームスピナッチってほうれん草が定番だが、アセルガでも作れるんだろうか。そしたらステーキの付け合わせがたっぷり食べられる。外食気分になって、アレ好きなんだよな。
メインを張るなら、やっぱ炒めもんか。蒸した小魚とでも、ほぐした魚の身とでもいい。俺の得意な米料理と組み合わせて、刻んで油で炒めたのを混ぜても美味しいし、栄養も取れる。ジャガイモと混ぜるやつも良いよな。
とはいっても、今日の夕飯のメインは、揚げエンパナーダだ。
「シオンちゃん、今日の夕飯だけどさ、付け合わせにクリームスピナッチ作っていい?」
「あら! 良いわね! じゃあ茎は明日の朝、ジャガイモと一緒に茹でて食べよっか」
「ああ! それも美味しそうだね!」
特売で狩ったアセルガの中には大きくなりすぎて茎が大きくなりすぎているものもある。クリームスピナッチに入れたって食感になって美味しいだろうが、次につながるメニューを提案してくるなんて、やはりシオンちゃんは天才だ。ほら、リンドもヒヒンって同意したぞ。
帰宅して、荷物の片づけとかリンドへのブラッシングとか、シャワーを軽く済ませたら、夕食の調理を始めた。まだ陽が高い? 生地は一度寝かせる時間が必要だからな。パンみたいに発酵させるわけじゃなくて、小麦同士の繋がりを作るために寝かせるんだと、マルバが言ってた。
そんなエンパナーダの生地の材料は、以下の通り。
・小麦粉
・パプリカパウダー
・オリーブオイル
・水
・塩
材料を全部ボウルに入れて、粉っぽさがなくなるまで手でこねる。粉気が無くなったら生地を丸めて、蜜蝋ラップして置いておく。大体1時間も置いておけば、小麦同士で繋がって伸びが良くなる。
生地を寝かせる間に、中に包むフィリングを作る。
昼に食べたのが魚だったから、今回は肉。実家の肉屋に寄ったら、潜み熊を捌いたときに出た端切れを安く譲ってもらった。今年も脂の香りが良いらしい。シオンちゃんは熊肉ステーキに夕食を変更するか迷っていた。
そんなステーキ肉に狩った端切れ肉をさらに細かく刻んだら、シオンちゃんが炒めてる玉ねぎとパプリカとニンニクの入ったフライパンに投入した。後は塩とか臭み取りの白ワインとかトマトピューレを入れたりするんだけど、そこはシオンちゃんに任せよう。
俺が次に手を付けるのは、アセルガ。ほうれん草に似た葉物野菜だ。中央の作業台で葉っぱと茎部分を切り分けていこう。
根元を包丁で切って、バラバラになった葉っぱたちを水を溜めた桶でじゃぶじゃぶと濯いで、水切り籠に置いていく。それが終わったら数枚まとめてにバシャバシャと水気を切って、まな板に置いた。
葉と茎の間に刃を入れ、三角に角度を付ける形で切り分けていく。切り分けた葉と茎は別々のボウルに入れて、葉の方が山盛りになったら、沸騰させたお湯で葉っぱを軽く湯がく。魔法で冷まして搾ったら、小指の指先ほどの幅に刻んだ。
玉ねぎをみじん切りにしたら、火にかけたフライパンでバターを溶かし、みじん切り玉ねぎを炒める。透き通ってきたら刻んだアセルガを入れて、塩とこないだ使って余った赤ピリピリ種の粉を振って、また炒める。
「えーっと。ここからどうすんだったか? ……チーズを加えて、小麦粉を振り入れて、牛乳を2回に分けて入れて、とろみがついたら生クリーム入れて胡椒、いや黄ピリピリ種、だな。よし」
簡単な事しか書いてくれていないレシピ本を覗き込みながら、クリームスピナッチの手順を踏んでいく。とろみは強めが好きだから、チーズは多めに入れるか。
粉っぽさがなくなるまで炒めたら、牛乳を半分入れて混ぜる。ねっとりしてきたらまた牛乳を入れる。これで全量入った。
最初は液体とねっとり部分で混ざるのか不安になるけど、挫けずに混ぜて馴染ませていると、チーズのおかげもあって、しっかり重たくきた。
全体にとろみがついて、水分も飛んでもったりしてきたら、生クリーム、黄ピリピリ種の粉を入れて混ぜる。味見をして塩で調節したら、大きめの器に移して粗熱を空気に任せて取っていく。
「あら、もう出来たの?」
「うん。たっぷり作ったから、エンパナーダの中身が肉中心でも、安心だね」
「心置きなく食べられちゃうわね!」
シオンちゃんが炒める鍋の中身を覗くと、熊肉の茶色の主張が強い。ここからトマトピューレが入るから赤くなるけど、肉がメインな事には変わらないと思う。緑が映えそうだ。




