第86話 とある女神の長椅子
今夜とは、何刻のことか。
そして、なにしに来るというのか。
私を城へ囲ったのは、たぶんモアディさま。
その説明をしてくれる、といったことかしら。
『それだけかしら』
もぐもぐと、とても贅沢に砂糖とバターを使った焼き菓子を頬張り、女神さまは疑う。
ここに来て、使用人にこんなのが欲しいと口頭で伝えたら、城お抱えの調度品係さんが台座を、お針子さんがふかふかの座面を、二人がかりで仕立ててくれた。
ドレスの切れ端で作ったのだと言う。
出して見せた瞬間、クリアリは目をキラキラとさせてこの長椅子に飛び込んだ。
「台の方は、後で作ってくれるそうよ」
『まぁ、台まで来るのね。それは楽しみ』
「…………」
にっこり微笑むクリアリに、いろいろ聞きたいことはある。
『茶菓子は台所係にいえばすぐ用意してくれるし、私の長椅子もお針子さんに相談したらすぐ動いてくれるわよ』
そう助言したのはクリアリ本人だ。
「なぜ城のことに詳しいの?」
神器といったって、誰かが呼び出さなければクリアリは自由に城の中を行動することはできないはず。
お母さまが話した?
その可能性はあるけれど、違う気がする。
『それは、アーリアが……』
じーーーーーー。
クリアリの目をじっと見つめると、クリアリは仕方ないと肩をすくめた。
『もうアーリアはいないし、いいわよね』
「お母さまなの?」
『そうよ』
クリアリは観念したのか、ふぅとため息をひとつついた。
でも。
『長くなりそうだから、後日ね』
「えぇぇーーーー!!」
もったいぶってると文句言いたかったけれど、確かにいつ訪問者が来るかわからないのだった。
クリアリには、もう城にきたことや仕事のことを言えたし、気になるけれどいったん戻ってもらうことにした。
「わかった。絶対だからね」
『ふぁい、ふぁい』
もう! 口にものを放り込みながら返事する女神なんて、聞いたことがないわよ!!
こんにちわ。
いつも大体水曜日更新なのですが、小話なのでフライングです。
ミニチュア家具持っていますか?
うちにはあるんだけど、とても精巧でこれが大きかったらなーっていつも思います。




