第84話 とある闇魔道士がめくるカード
カードは正解しか導かない。
我ほどの力があれば尚更。
「それは本当なのか?」
いまの仮の主は訊ねる。
「はい、ユハス殿の周りに良からぬ巡りがございます」
「私の?」
信じられないと、ユハス殿の顔色が変わる。
「自覚はないでしょう、貴方の意思ではなくあくまでもそばにいる人の話です」
大体の目星はついていた。
ユハスは貴族ではあるが、下級だ。
ジュンリカさまの隣に立てるまでになったのは、頭脳とその立ち回りがあっただけだが、喉から手が出るほど爵位が欲しい男だ。
その野心は嫌いではないが。
「女だ。緑の服をまとった女のカードが出ている。手に天秤を持っている」
このカードは本来、審判のカードだ。
正疑を司るカードだが私が占うと、違った意味を持つ。
次にめくったカードには、嵐が描かれている。
「ユハス殿の周りにいる女が、ジュンリカさまの晴天に暗雲を連れて来る」
ジュンリカさまについたのは、カードが導いたからだ。
この方の後ろに、星が出た。
だが最近カードをめくっても、星は出ない。
なにかが、災いの影を落とそうとしているのか?
「誰だっ! その女はっ。心当たりはないのか!」
「あ、ありません。女遊びなどもしていないし、私は公爵家………」
「公爵? 公爵とはカイゼン公爵家か?」
あぁ、あの噂の。
奥方が亡くなってすぐ子連れの後妻を娶ったという。
酒場では、奥方のいた頃から関係を持っていたともっぱらの噂だ。
奥方の忘れ形見を離れに追いやり、新しい親子で暮らしている、ひどい男だとみないい酒の肴としていた。
その公爵家とユハス殿が関わりがあるなら、二人に絞れる。
我のカードも万能ではない。
そのどちらでもない可能性もあるが。
「どちらでしょうね、天秤を持つ女は………」
「とある」とついてると閑話休題ですが、これはこれでキーです。
先日更新したものが短かったから、これと合わせてね、ごめんちゃい、とかわいこぶる歳でもないのだけれど。
やはり毎週でも更新しないと、自分でもソワソワします。




