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第59話 遭遇

 お茶にお菓子、夕方には食事もここに運ばれてくるという。

 なんという好待遇なのかしら。

 この部屋から出ずに、食事がとれるなんて。


 別の言い方をすれば、部屋から出るなということらしい。

 広い邸宅と言っても、軍や監視貴族もいるから私が自由に出歩いて誰かに会う危険は避けたいらしい。

 監視がつかなかっただけ、良かったとしよう。


 スハジャはいい蜂蜜がとれることから、それをふんだんに使用した焼き菓子はとても美味しいことで有名だ。

 数種類が詰め合わさって籠に入れられて運ばれてきたときは、小躍りしてしまってモアディさまに睨まれた。


 だけど、こうしてお菓子を前にすると思い出す。

 なにも伝えられずにこんなところまで来てしまったけれど、クリアリはどうしているかしら。

 お菓子が食べられなくて、拗ねていないかしら。

 向こうに帰ってクリアリを出したとき、もう天秤の力を貸さないなんて言いだしたらどうしよう。

 説明すれば大丈夫よね。

 ぷりぷりと、怒った顔のクリアリが浮かんで、大丈夫と言い切れない。


「早く会いたいなぁ」


 この焼き菓子、絶対クリアリの好きな味。

 帰りに買ってもらえるかしら。

 思えば、金銭をわずかしか持ってきていない。

 モアディさまに言ったらいいのかしら、イリはなんとなくケチそうだから無理そう。


 美味しいおやつをつまみつつあれこれ思っていたら、コンコンと扉をノックされた。


「はいっ」

 膝に落ちた菓子クズを払って、扉のほうに歩く。

「モアディさまに、湯あみに案内するよう言われております」

 この声はリチャードさんの方ね。

 呼びに来たのがマドックさんじゃなかったことに、ちょっとだけホッとした。

 あの人、ことあるごとに突っかかって来るから苦手意識ができてしまった。


「静かにお願いしますね。時間も短くお願いします」


 湯あみへと案内される最中も、周りに人がいないかを確認されながらだった。

 モアディさまはなんて言って、警戒するようにしているのだろう。

 私、ただの身の回りの世話役なのに、変だと思われると思うのだけれど。

 お菓子まで届けてもらってるし。



「ちょっと止まってください……」

 湯あみ所に着く前に、ぴたりとリチャードさんの足が止まった。

 なんだろうと脚を止めると、行く先の方から声がしている。

 この声は……。


 思わずただの下女が知らないはずの名前を口にしてしまいそうで、自分の手で自分の口を咄嗟に塞いだ。


 ユハスさまがなぜここに!?

 任務に向かったのだからいるのは当然としても、いま遭ってしまう?

 魔法をかけられていても、危険だ。

 お腹が痛いとでも言って、湯あみを断った方がいいわよね。

 このままいくと、顔を合わせることになる。



「モアディはいつ始めるのだ。やっと来たと思ったらのんきに湯あみなぞっ」

 それは、はじめて聞くユハスさま舌打ちだった。

 なんの話?

 気になった私は、お腹が痛いというのを引っ込めた。


「いつ結界を張る気だ。遅れて来たくせに、悠長すぎるだろう」

 ユハスさまと、話し相手のもうひとりはまさか。

「まったくだ。あの魔法師め、いつも偉そうにしていて目障りだ」

「ジュンリカさま、いずれ時期を見てあいつも…しましょう。くっくっく……」


 声をあげそうになるのを、こらえた。

 

 ユハスさまが仕える、あのジュンリカさま!?

 第二王子ジュンリカ!


 護衛もなしでなにをこんなところにふらふらといるの!?

 あ、ユハスさまが護衛なのか。

 でもなぜ。


「ユハス、お前にはもうひとつ頼みたいことがある」

「はい、ここでは誰が聞き耳たてているかわかりません。部屋に戻りましょう」


 どきりとした。

 まさにここに聞き耳を立てているふたりがいる。

 カツカツと足音が近づいてきて、焦ったリチャードさんは私の手首をつかんだ。

 そのまま強く引っ張ると、私の耳に口を寄せた。

「こちらへ。足音を立てないように」

 内緒話のような小さい囁きだったけれど、伝わった。


 さっきの会話をモアディさまの部下が聞いていたとなったら、私たちは口封じに殺されかねない。

 なんで私はこうも死に近づいてしまうの?


 避けても避けても、ついて回る「死」。

 ほとほと嫌になる。


「ここに隠れましょう」

 なんの部屋かわからないけれど、その部屋しかなかったからそこに滑り込む。

 息をひそめて、扉の向こうを歩き去る足音を確認する。



「はぁ」

「ふぅ」


 ふたり同時に息を吐き出したから、緊張が一気に解けて笑ってしまった。

「バレたら大事でした」

 リチャードさんも笑いだしたのだけれど、なにかに気づいて、んぐっと息をのんだ。


 え? どうしたんですか?

 私の後ろになにか?



私はいつもwinのノートでこれを書いてupしているのですが、なんか挙動が怪しいので次のノートを考えなきゃです。

ipadで書けないかな、と試行錯誤。慣れていないから変換とか戸惑って遅くなっちゃう。

冬に買い替えるから譲ってあげるよ、と言われているんだけどそれまでにいま持ってるminiで練習しておかないと。

それまで、このノート、もってくれるかしら。

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