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第35話 忘れられない光景

「夢見という力を持った者がいることは、文献にあります」


 思い当たることにうなずきながら、モアディさまは言った。

 良かった、知らない文献だけど助けになりそう。


「その文献には何と書かれているのですか?」


 モアディさまが味方に付いてくれたら、スハジャ行きを阻止しやすくなる。

 そんな甘い期待があった。


 でも。


「詳細はわかりません。魔法以外の、聖なる力を記した文献本だったと記憶していますが、詳細には書かれていませんでした」


 聖なる力が、そんな本になるほどいろいろあるの?

 魔法師以外の、特別な力を見たことがないから、少し驚いた。

 うちの町に聖女もいないし、そんな聖なる力に触れる機会がない。 


 クリアリは、聖なる力と言っていいのかしら。

 人ではないから、その本に書かれてはいないだろうけど。


「夢というのは、そうあればいいとか、実は一度どこかで見聞きしたことを見た、と言うのが多いものです。あなたも、そうなのでは?」

きっぱりとそう言われて砕けた。


「私は……」


 どうしよう、信じてくれない人をひっくり返すのは、かなり難しい。

 なにかこの後に起こることで、そんなに大きくない事件はなかったか。

 大きい事件を口にしたら、不信感が大きくなってしまう。


「どう夢に見るんだ? お前は聖女ではないというし、そんな力があるようにも見えない。あったら、あんな父親にいないことになんてされてないだろ」


「イリまで知っているの?」


 イリの口から事実を話されて、私は驚いてしまった。

 街の人も知っている話だけれど、イリまで?

 イリと興味本位の噂話と結びつかなくて、意外に――違和感に感じた。



「なにか他に見たことは?」


「えっと……私が毛皮を買ったりしたのは夢に見たからです」

「どんな風に?」


 まるで尋問ね。

 イリは腕組を外さないし、モアディさまは刺すような視線だし。


「人々が凍えている様子を見ました。建物は凍り付き、積まれたたくさんのご遺体」


 あの光景は二度と見たくないのに、脳裏にこびりついて離れない。

 老人、子供から死んだ。

 無くなった子供を抱いて、泣き叫ぶ母親と無言で墓穴を掘る父親。

 そんな光景があちこちで見られた。

 最後は、墓も足りなくなったほどに。

 

「思ったより具体的ですね」

「じゃあなんでもっと毛皮を買わない? 稼ぎたいなら貴族相手に商売したほうがいいだろう」


「だって!!!」


 私は叫んでしまった。


「だって、街のみんなが死んでしまうっ。貴族なんて、お金で自分を護れるけど、街の人は違うっ」


「わかった」

「え?」


 組んでいた腕を解き、イリはまっすぐ私に座りなおした。


昨夜はなかなか寝付けなくて、朝起きるのがつらかった……です。

お布団らぶ、ずっと抱いていてって目覚ましなっているの止めてもう一度寝ました。

遅刻です。

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