第27話 頼みごと
頼みごとがある、とお父さまは突然切り出してきた。
回りくどいのは時間の無駄だから、いいのだけれど、怖い。
「頼み事ですか? 私にできることなら協力いたしますが。私はリー……」
「クミンの家庭教師を引き受けて欲しい」
お父さまは、ユハスさまが私の名前を出しかけたのを、かき消すように言葉を重ねた。
ユハスさまはなんと続けるつもりだったのだろう。
私は――――のあとに、なんと。
「クミンさまの? 家庭教師をですか?」
少し困ったように、ユハスさまは私を見た。
私も、苦笑いでしか返せない。
「お父さま」
ユハスさまは忙しいお方。
それなのに、そんなことを頼むなんて。
そう言おうと、呼びかけたお父さま。
やっと私を視界に入れた。
「リーディア、お前からも頼んで欲しい。お前の妹なんだよ、クミンは」
静かに穏やかな、口調。
でも、私は圧を感じた。
私は認めたくないものを、認めて飲み込めと。
「お姉さまも嬉しいでしょ? 私が一緒に学ぶの」
その笑顔は、どこまで純粋なの?
屈託のない笑顔のように見えて、毒のあるように見えるのは私が穿っているから?
にこにこと本当にそうしたいと、望んでいるという顔をしているけれど。
最初は、私にその話が来た。
とことこと離れにやってきたクミンは、勉強に来たというのに道具さえ持ってこなかったので、私の本を読ませてみたところ単語を間違えて覚えていて、読みも拙ければ理解も薄いようだった。
私なりに優しく指導したつもりだったのに、あなたは私に虐められるとお父さまに嘘をついて、怒ったお父さまは私に学園などお前には必要ないと命じた。
あなただけが通うことになるのに。
そして、ユハスさまが家に通うことになる。
「リーディア、クミンだって我が家の大事な娘だ。教養を与えたいのだよ」
嘘です。
大事な娘は、クミンだけだったでしょう? お父さま。
私も大事だったら、ユハスさまをとなんて言わないはず。
「ユハスさま、どうか……」
断ってください、無理ですと。
お誕生日会の時は、話を遮るようにしましたよね。
そんな面倒なこと、本当は引き受けたくないはず。
未来が変わっていれば、頼まれたところで断るかもしれない。
でもユハスさまは、困った顔をしていたけど、あの日と同じ言葉を吐いた。
「では、任務の合間に、こちらへ赴きます」
この言葉を、前よりずっと早く聞くことになった。
本年度最後の更新です。
風邪をこじらせて、高熱だったのでインフルかなと昨日は病院に行ったら、カルテ紛失で4時間待たされるという事態に具合悪くなったわ。
コロナもインフルも陰性だったのだけれど、待合室に一緒の方々はほぼインフルかコロナの診断でしたので、移ってなければいいけど……。
みなさんも、暖かくのんびりとした冬休みをお過ごしください。
私も休みます。
続きは、年明けの新学期が始まるころかな……。
来年もよろしくお願いします。




