ハーベル救出作戦
「ガルマ、玉の材料になる鬼龍はどうすればいいんだ?」
「そりゃ自分で捕まえるしかないよな」
「マジか!」
「ああ、大まじめだ」
「分かった、何とかするよ」
俺は、早速ガルマに鬼龍の生息場所を聞いて捕獲に向かった。
「ガルマ、手伝う気なしかよ」
「鬼龍ってどのくらいの強さ何だろう?魂をどうやって具現化するのかも試してみないとな•••」
俺は、弱い魔物で何度か魂の具現化を試してみた。
それで分かったことは、丸い魂、つまり敵意のないものは具現化できない。
敵意のあるトゲトゲの魂は、死ぬ時に身体から魂が抜ける瞬間に丸に戻ろうとする。その瞬間だけ魂が不安定になりこちらへ引っ張り出すことができるようだ。躯体となる玉へその魂を定着できれば成功するはず。
それには、敵意のある鬼龍を倒し魂の抜ける瞬間を狙って躯体へ定着させなければならない。
なかなか難しそうだ。俺は、鬼龍を見つけては何度もチャレンジしたが、鬼龍を倒すのは容易いが、定着が上手くいかなかった。
「くそ、また失敗か?何がいけないんだろ?玉の素材に問題はないはず•••」
結局最後まで理由は分からなかったが、10回に1回ほどしか成功できず、20匹以上試して何とか二個作ることに成功した。
「やっと二個めか!」
「ひとつは納品用で、もうひとつは何とかリーフィアに届けなければ!」
「ガルマ、やっとひとつ完成したよ」
「おお、思ったより早かったな。まだ2週間だぞ」
「2週間もかかっちゃったよ」
「いやこれはすごいぞ!」
「早速、納品に行ってきてやる」
「ありがとう」
ただ転送箱に入れただけじゃリーフィアには届かないから、新たにリーフィア専用の転送箱を作れないか考えることにした。
「ガルマ、転送箱って作ったことあるか?」
「転送箱?ああ、ある」
「どうやって作るんだい?」
「そんなに難しくない、その辺にレシピがあるから作ってみろよ」
「分かった」
俺は、レシピを研究して行き先が特定の人物に固定できるように改良した。
「よし、これでどうだ?」
試しに手紙を送ってみた。
「リーフ、ハーベルから手紙がきたみたい!」
「リーフィア何言ってるの?来るわけ•••って来てる!」
「どうやって?」
「早く読んでみて!」
手紙の内容は、無事であることと鬼龍玉についての説明、そして何とかそれを使って人間界へ戻して欲しいというものだった。
「よかった、元気にしているみたいね。しかも、鬼龍玉のことも知っているみたいでひとつはもう作ったって」
「さすがハーベルね」
「でもこちらからは返事が出せないし、どうしたらいいのか」
「ハーベルだからきっと何とかしてくれるよ」
俺は、無事手紙が届いたことを信じて転送箱へ鬼龍玉を入れた。
「リーフィア、リーフィア、ハーベルから鬼龍玉が届いたよ」
「これでふたつが揃ったね」
早速、龍人族の長にもうひとつを借りて、クラリッサに言われた通りにふたつの鬼龍玉を使って人間玉を完成させた。
「えっと、使い方は•••クラリッサ、お願い」
「任せて!」
クラリッサは、慣れた手付きで魔法陣を描きあげると、中央に人間玉を置いた。
そして、リーフィアが片方の玉をもち、もう片方にはリーフィアがいつもつけている天界の指輪を置いた。
なにやら、呪文を唱え始めると、
周りの空気が変わった。
濃い魔素が立ち込めたかと思うと、魔法陣の中央から人影が現れた。
「あれ、ここは?」
「ああ、ハーベル•••」
「やった!成功だわ」
「リーフィア、手紙受け取ってくれたんだね」
「よかった!」
俺は、リーフィアと抱き合ったまましばらく動くことができなかった。
少しして落ち着いてくると、
「クラリッサ、君が手伝ってくれたんだね。ありがとう」
「ハーベル、私だって頑張ったんだよ」
「ありがとう、リーフ」
「ずっと連絡ないから心配だったよ」
「ごめんね、リーフィア」
みんなで涙を流しながら喜びあった。
「そういえば、何で師匠は若返っているの?」
「クラリッサ、今頃?」
「だってずっと聞ける雰囲気じゃなかったから•••」
経緯を説明しながら、和やかにお茶を飲んでいると、
「ああ、ネルにも伝えてあげなきゃ!」
「あまりの嬉しさに忘れてた!」
テルミットで連絡すると、泣きながら喜んでいるのが分かった。
「一時はどうなるかと思ったよ」
「よく魔界で何ヵ月も無事にいられたね」
「それが聞いてくれよ!」
俺は、魔界での暮らしについて詳しく話して聞かせた。
次回 【もういいかな?】




