魔界のお仕事
「はっ、寝ちまった!」
「お客さん、朝だよ!起きなさい」
「さあさあ、朝御飯食べて!」
「いただきます」
「あんた、これからどうするんだい?困っていることがあったら、何でも相談に乗るよ。さあ、食べた食べた」
「ありがとうございます」
とは言え、実は人間なんて口が裂けても言えないし、かといって悪魔だからって戦うのも違う気がする。しばらくは、悪魔のふりしてここらで暮らしてみるか?
「おいしかったです。すいません、ご相談があるんですが?」
「なんだい?」
「この辺りで、働き口はありませんか?しばらくでいいのですが?」
「そんなことかい、じゃあ中央広場へいってみるといいよ。大きな建物があるから、そこがギルドだよ」
「何から何までありがとうございます」
「大したことじゃないよ。あんた名前は?」
「ハーベルと申します」
「変わった名前だね。ハーベル気をつけてお行き、人間には気を付けるんだよ。あいつら狂暴だからね」
「は、はい」
人間が狂暴?なにいってるんだろ?
「じゃあ、ありがとうございました。ギルドへいってみます」
「またおいで」
軽く会釈をすると足早にその場を去った。
「一体どうなっているんだ?人間が狂暴ってどういう?」
道すがら周りの風景を見ていると、平和そのものだった。
「とりあえず、先立つものがなければ何ともならない」
しばらく行くと、大きな町に着いた。この辺りか?宿屋のおかみさんが言っていたのは、
ギルドらしき建物に入って見ると、周りは悪魔だらけだが、全く恐怖を感じない。それどころか受付嬢が優しく声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。今日はなに用でしょうか?」
「手っ取り早く稼ぎたいんだが?」
「どんな特技をお持ちですか?」
「魔···」
魔法のことは言わない方がいいかも?
「魔道具を作れます」
「職人さんですか?それでは、このクエストなんかどうでしょうか?」
魔道具職人急募!と書かれている。
「じゃあ、これでお願いします」
「ギルドの登録証をお願いします」
「まだ登録してないんです」
「分かりました。では、登録を先に済ませましょう」
受付嬢は、怪訝そうな顔をしながらも何とかギルド証を発行してくれた。
「では、こちらの工房へ行ってください」
「ありがとう」
俺は、言われるままに工房までやって来た。
「すいません•••、すいません!」
「うるせいな!なんか用か?」
「ギルドの紹介で来たものです」
「おお、職人か!」
「待っていたぜ、俺は、ここの工房長のマギルって言うんだ」
「お前さんは?」
「ハーベルと申します」
「ほう、人間みたいな名前だな、まあいいや」
「ところで、何が作れる?ここでは、主に生活に役立つものを製作している」
「こんなものしか?」
「なんだいこのガラクタは?」
「どうやって使うかも分からんな、使い物にならんな···ギルドのヤツもっとましなの送ってこいよ」
「すいません。ここではどんなものを作っているんですか?」
「まあいい、こっち来い!」
工房の奥へ連れられていくと、そこには10人以上の職人が一生懸命作業をしている。
「おい、ガルマ!コイツを使えるようにしてやってくれ!」
「はい!工房長」
「ガルマさん、よろしくお願いします。ハーベルと申します」
「ハベル?じゃなくってハーベルって伸ばすのか?人間みたいだな!」
「あ、いやハベルです」
「おお、それならいいや」
「じゃあこっち来てまずは見ていろ!」
そう言ってガルマは、やりかけの作業を続けた。
一般的な、魔力を使った魔道具の作り方のようだ。俺は、あまり作ったことはないが、以前、師匠と行った図書館でいろいろ学んだからな。
「ほら、簡単だろ?ただし、作業は丁寧にやれよ!」
「ガルマさん分かりました」
「ガルマでいいよ」
そう言って、作業を進めていった。
「ハベル、やるな!驚いたよ」
「工房長、ハベルのヤツなかなかやりますよ。作業も丁寧だし」
「おおそうか、あれ?そんな名前だったか?」
「はい、ハベルですよ」
「おお、そうか···」
それから、しばらくこの工房で働くことになった。食事も部屋も付いているのでとても助かった。
次回 【我慢の限界】




