五話
次の駅に着いた頃には日が沈み始め
空は紫色になりつつある。
「ここが終点ですよ」
と言いデコイズCPが電車を降り駅の出口へ向かう、
どうやらチュートリアルはそろそろ終わりらしい。
後をついていき駅から出て辺りを見渡す
駅前には円形の大きい広場があって、
反対側に街灯が照らす道があり
その奥で灯台の明かりが回っている、
一緒に広場の中央まで行くと
下からダンジョンで見たのと同じ端末が出てきた。
「最後は何をするのですか?」
「最後はダンジョンの施設管理人と戦う時の
チュートリアルで、私と戦ってみることです」
「えっ戦うのですか?」
「はいそうです、ですがチュートリアルなので
勝敗は関係ありません。
そしてこちらもダンジョンと同じ理由で
スキップが可能ですがどうしますか?」
「大丈夫です、続けてください」
「わかりました、ダンジョンの時と同じように
触れる事で始めることが出来ますので
準備が出来たら触れてください」
言い終わるとデコイズCPは広場の端に歩いていく
せっかく戦うのだから勝ちたいなと思いながら触ると、
ダンジョンと同じように刀と
シールドシリンダーが出てきたので
準備してデコイズCPを見る、
あっちもシールドシリンダーをセットし
電車のドアみたいな盾を構え、
「さて、始めますよ」
と言って青い火を出し正面を薙ぎ払い
そして盾で火を巻き取ると盾が燃え始めた。
盾に当たったりしたら高いダメージを受けそうだ
何か手立てはないだろうか、
そう思い相手を見るとあることに気づく
体力バーがじわじわ減っているのだ、
もしかして炎でスリップダメージ入っている?
それなら無理に攻撃をしない方がいいなと思い、慎重に行動することにした。
しばらく相手の攻撃を観察していると、
攻撃方法がダンジョンで戦った人魂達と似ていることに気づいた。
そして人魂達と同じように隙を見て攻撃しようとしたが、
今回はロボットではなく人同士で戦うので盾ではじかれたり
炎を警戒していてうまく間合いが取れずに、
攻撃を外したり回避されたりで
思うようにはいかない。
相手も構えながら近づいて盾で攻撃や
火の玉を飛ばしたりするが、
こちらが慎重すぎて刀で防がれる
そしてお互いに攻撃が当たらず
戦いがグダグダなままデコイズCPの体力が、
スリップダメージで半分まで削れる。
するとデコイズCPが盾を振り
炎を消した、やっぱ熱かったようだ。
「気を取り直して、それでは参ります」
と言った後、盾を構え突撃してきた
さっきまでお互い慎重だったのに
いきなりの行動変化に不意を突かれ、
慌てて刀を横に持ち防ごうとするが
「ふんっ」
素早く懐に入り込まれて盾で吹き飛ばされてしまった。
刀を突き刺してのけぞりを防ごうとするが
うまく地面に突き刺せずなんとか手でのけぞりを防ぎ、
前を見ると火の玉が飛んできているので
とっさに横にダイブして避け、起き上がり刀を拾う。
次はこっちの番だと飛んでくる火の玉をかわしながら
近づき盾の隙間を狙って突こうとするが、横に受け流されたので
少し後退して様子を見る。
デコイズCPが盾を構えながら近づいてきたため素早く横に移動して、
刀を振りかざすも盾によって跳ね返されてしまう。
やっぱり盾が厄介だな
何とかして盾を構えていないタイミングを作れないかと思い、
デコイズCPの動きを見るためにわざと攻撃を誘発させることにした。
しばらく見ていると盾を振った時に横ががら空きになることに気づいた、
あのタイミングなら攻撃が通るのではないだろうか。
試しに近づいて攻撃を誘ってから回避して素早く刀を振り下ろす
「イテッ」
デコイズCPが少しのけぞり頭上に体力バー出てきて意外と減った、
残り体力は思ったより多くないようだ。
「さすがですね‥ですが」
そうゆうと左手から火の玉を出して周囲にばらまき距離を離してから、
こっちに向かって盾を構えまた突進してくる
それならと横に回避して同じように攻撃しようとするが、
攻撃と同時に盾を振り上げ刀を弾かれてしまった。
「なっ」
不意を突かれバランスを崩し倒れこむ、
さらに追い打ちで火の玉が飛んできて防げず当たってしまった。
刀を突き立て起き上がり構えなおす
「同じ技は通用しないか‥なら」
構えていた刀をしまい相手の突進を待ち構えダメージ覚悟で
盾にタックルするとデコイズCPの体制が崩れて大きな隙が出来た、
すかさず背中から抜刀し
「とりゃぁぁぁ!」
重い一撃を振り下ろす
デコイズCPの体力が結構削れる、
デコイズCPが慌てて火の玉を出し遠ざけようとしたが、
それをしゃがんで避け斜め上に切り上げる
体力があともう少しの所まで減った。
デコイズCPが広場の端まで飛び体制を整えて
「はあぁぁぁ!」
またこちらに突進してきたので
「おりゃぁぁ!」
こちらもとどめを刺すために突撃する
「「うおおおおぉぉぉぉ!!」」
接敵し先にデコイズCPが盾を振り上げる
それを横に回避して両手で刀を持ち縦に構える
デコイズCPがそれを見て盾を上に構え
守りの姿勢になったところで、
すかさず横向きに持ち替え
「おりゃああああ!」
とフルスイングを当てる。
「ぐっ」
デコイズCPが大きく後ろに吹き飛び、
頭上のバーが蒸発するように無くなった。
「私の負けですか」
そう言うとデコイズCPはお互いの武器を消して、
「勝利おめでとうございます」
と拍手しながら言った。
緊張がほどけ
「ふぅ」
とため息をつき座り込む。
「お疲れ様でした、近くのベンチで休みましょうか」
と言ったので灯台に続く道のベンチに一緒に行き座る。
「チュートリアルが終わったから次は何処へ行けば良いですか?」
「あの灯台の入り口がエレベーターになっていてそれに乗ると、
いよいよコンパクトシティに行けますよ。ただし乗ると、
この群島には戻れなくなってしまうから散策したいなら今のうちに」
「いいえもう行こうかと思っています」
「わかりました、見送りますので灯台の真下まで歩いていきましょう」
立ち上がり軽く話しながら歩き始めた。
「そういえばコンパクトシティってどうゆう所ですか?」
「一見大都会な感じですが少し移動すれば海もあり山もある所ですよ。
まあ詳しいことはエレベーターの先の受付に居る
オメガロに聞いてみてください」
「私がエレベーターに乗った後CPさんはどうするのですか?」
「私ですか、私は君を送ったら別の人を迎えに最初の駅に戻りますよ」
そうやって話していると灯台の入り口に着いた
「色々と教えてくれてありがとうございました」
「いいですよ、それが私の役割ですから」
「それでは」
「じゃあね、楽しいシティライフを」
そうやって見送られながら私はエレベーターに乗り、
扉が閉まるまで手を振った。