四話
次の島に着いた頃には日が傾いてさっきほどに暑くはない、
電車が止まったところは駅と言うより電車を整備するところのようだ。
「ここではダンジョンのチュートリアルをしてもらいます。
ですが、ダンジョンはサブ要素なので、興味がなければ
私に言っていただけたらスキップできますよ」
「いえ大丈夫です、始めてください」
「わかりました、まずはここの説明をします
と言っても大したギミックとかは無くて、
今いる所から反対の所まで敵役の機械と戦うだけです。
スタートするためにここにあるタッチパネルに触れてください」
目の前にあるタッチパネルに触れると、背中にさっき作った刀が出てきて
台側から緑色の液体が入ったシリンダーが出てきた。
「これの液体は何ですか?」
「これはシールドシリンダーと言って腕にセットすると、
自分に透明なシールドが出て
ダメージをもらうたびにシリンダーの液体が減り、無くなったら負け。
言わばゲームでよく見るHPバーのような物ですね
試しに近づけてみてください」
腕に近づけると吸い寄せられるようにくっついて、
緑色のバーのホログラムを投影した。
「これで準備ができましたのでさっそく攻略しましょう」
「あなたは一緒に来ますか?」
「ついては行きますが説明をするだけで
戦いには参加しませんのでご了承ください」
説明が終わったので刀を抜刀し
少し振る練習をしてからダンジョンの奥へ向かった。
しばらく歩いていると向こう側が青く明るかったので
近くの物陰に隠れて覗いてみると、
カメラのレンズみたいな目のついた青い人魂が浮いている、
デコイズCPにあれについて質問してみる。
「もしかしてあれが敵ですか?」
「はい、あれがこのダンジョンの敵です、
アドバイスが欲しかったら言ってください」
「なら、お願いします」
「わかりました、あの人魂の攻撃方法は、突進してくるだけなので
避けてから攻撃をするのがよいですよ」
なるほど早速実践してみようと
物陰から出て人魂の突進を待ち構える、
人魂がこちらを見つけて突進してきたので
横に軽く避けて「えいっ」と刀を当てると、
一瞬だけ目がバッテンになって人魂の上に緑色のバーが出て少し減る、
また突進してきたので避けてから次は両手で刀を持ち
「ふんっ!」
強く振り下ろすとバーが一気に減り
HPが無くなったのか目がバッテンになって消えた。
「初めての勝利おめでとうございます」
そう言ってデコイズCPが拍手してくれた。
これなら私でもクリアできそうだ、
そうして道中の敵を試行錯誤しながら戦い奥へと向かった。
進んでいると途中、床に六角形のパネルが並んでいて
その上に一つずつ物が浮いている変なものを見つけた、
デコイズCPがそれに近づいて話始める。
「これはアイテムと言ってダンジョンにこんな感じで配置されており、
使用すればこちらをサポートしてくれます。
主なアイテムはバブルシールド、モフモフボム、
攻撃支援羽、回復用シリンダー、再配置可能端末ですね。
ですがたまに施設管理者が自分で作ったアイテムを置いていたりしますね」
「アイテムはどういった効果があるのですか?」
「では一つずつ説明します、バブルシールドは
文字通り使うと泡のような時限性のシールドが展開されます。
モフモフボムはピンを抜いて投げると、
耐久性のある巨大な毛玉が展開されます。
攻撃支援羽は羽についているボタンを押すと、一定時間
使用者の周辺を飛行して敵を発見すると攻撃をしてくれます。
回復用シリンダーは腕にくっついているシリンダーに刺すことで回復できます。
再配置可能端末は味方を復活させるアイテムです、
端末の横にあるボタンを長押しして使います。
施設管理者独自のアイテムたちについてですが、
すみませんがそちらは入手時に試して効果を確認してください。
効果の説明は以上です、あと支給アイテムは腰にくっつけることが出来て
いつでも使えるから見つけたら取っておいて損はないですよ」
せっかくなので全部持って奥へと向かった。
整備場の終盤辺りまでたどり着いた、
そこはコンテナが積み上がっていて高低差が激しく、
今までの人魂とコンテナの上に
白色の人魂が四体ずつ配置されている。
「あの白い人魂は何ですか?」
「あれですね、あれはゆっくりと追尾する炎と
早くまっすぐ飛ぶ炎の二種類を出してきて厄介ですが、
人魂自体には自衛する武装がなくまた倒すと炎も消えるので、
見つけたら真っ先に倒すのがおすすめです」
なるほどだがコンテナに上る所に青い方がいて
それをどかさないと上れそうにない
「遠距離攻撃を守れるものは‥これの出番かな」
とバブルシールドを起動して時限性なので急いで走る。
青い人魂達を刀でどかしてコンテナに上り
白い人魂が炎を撃ってきたがシールドがあるので、
お構いなしと突っ込み重い一撃で倒し
次の白い人魂へコンテナを伝って行き二撃で倒す、
また走りながら刀を構えて次の白い人魂に振り上げるが
近づきすぎて人魂がシールドの中に少し入ってしまい
炎を一発受けてしまう、
「イテッ」少しひるんでしまったが持ち直して刀を振り倒す、
よしあと一つとコンテナを渡っていた時に
時間切れでシールドが消滅してしまった。
白い人魂の炎が飛んでくる
「しまった、足場が狭くて回避できない‥こうなったら」
と刀を構え、飛んでくる炎を打ち返すように刀を振って軌道をそらす
「よしっ、これならいける」
打ち返しながら走り近くまで来たところで追尾する火の玉が放たれたので、
刀を両手で持ち
「はぁぁぁ!」
火の玉を人魂に打ち返しひるんだところに強い一撃を入れる、
倒したのを確認するとコンテナに腰掛けふぅと一息つく。
下を見るとスルーした青い人魂が群がっていた
「そういえば居たなぁ‥よしっ」
刀を再び握りコンテナから飛び降りる、
着地すると人魂が一斉に突進してきたので横にステップしてから
一つずつ切り倒し、少し落ち着いてから奥へと向かった。
反対側まであともう少しの所まで来たが、目の前に
今からボスと戦うだろうなぁという感じのフィールドがあって、
そこに一際大きい人魂が居てそこから普通サイズのやつが四体出てきた。
「もしかしてあれはボス的な奴ですか?」
振り返りデコイズCPに話しかける。
「そうですねあの大人魂はここの最後の敵で
色に関係なく今までの攻撃方法を駆使して
戦ってきますのでこちらもそれにあった弱点を突いてください」
いよいよボス戦かと固唾を飲み、回復用シリンダーで全回復して
攻撃支援羽も起動させ、モフモフボムもいつでも使える状態にした。
一息ついて刀を強く握りフィールドに入ると
人魂達がこちらに気づき一斉に突進してきた、
モフモフボムのピンを抜き手前にモフモフを展開して
片手で持ち盾のように使い突進を受け流し、
吹き飛ばしたところを攻撃支援羽が追撃して倒してくれた。
人魂をすべて倒し大人魂とのタイマンに持ち込めたが、
攻撃支援羽が時間切れで消えてしまう。
大人魂はさすがに受け流せないので今まで通り横に避け刀を振り下ろす、
割とダメージが入るので、このまま同じ方法で倒し切れそう
しかし、大人魂の体力ゲージが4分の3以下になったとき
「うわっ」
いきなり大人魂が衝撃波を出しフィールドの端まで飛ばされてしまった。
そして大人魂が人魂を再び4体作りだし、2体突進してきて
その後ろから大人魂も含む3体が炎を打ち出し始めた。
炎の弾幕が激しいので一旦モフモフを置いて、
遠距離を防ぎつつ突進してきたやつを安全に倒しておこう
モフモフを立てかけ敵を待ち構える。
片方を倒しもう片方相手にしていた時
想定していなかったことが起きた、モフモフが燃えている。
何故モフモフが燃えている、
受け流していた時は大丈夫だったのに
敵を倒してから少し考え結論を出す、
そうか遠距離攻撃で出す炎の仕業か。
しかしこのままでは持つことができず
近づきながら遠距離攻撃を防ぐことが出来ない、どうしよう。
またしばらく考え大胆な方法をひらめく、
刀を燃えているモフモフに突き刺し鍔の部分で引っ掛け
傘のようにして、遠距離を防ぎながら進む。
各個撃破して残るは大人魂になったので
ひるませる為に刀を振りモフモフを大人魂に飛ばすと、
意外なことにモフモフがくっついて
大人魂がスリップダメージを受けている、火の玉なのに炎がきくとは
今がチャンスと大人魂がモフモフを振り落としている隙に近づいて、
冷静に炎を避けつつダメージを与えていく。
体力ゲージがあと僅かなところで大人魂が、
最後のあがきと言わんばかりに炎をばらまきながら
縦横無尽に突撃し始めたので、先回りして
「おりゃぁぁぁぁ!」
すれ違いざまに切ると大人魂が消え、奥へ続く道が開いた。
やっと反対側までたどり着いた、そこは埠頭のようになっており
整備場から伸びる線路が地平線の先まで続いている。
刀を置いて海風に当たりながら座り込み景色を眺める、
しばらくしてからデコイズCPが話始めた。
「ダンジョンクリアおめでとうございます
今から終了用の端末を出しますので足元に注意してください」
そう言うと下から最初に触った端末と少し違う端末が出てくる。
「ダンジョンをクリアすると施設管理者がこうやって出しますので
腕にあるシリンダーや使わなかったアイテムを台にある返却口に入れてから
タッチパネルに触れると終了することが出来ます」
さっそく色々返却口に入れて画面に触れると、
いつの間にか入り口の方の画面に触れていて刀も消えていた。
狐につままれたような顔をしているとデコイズCPが
「ダンジョンはどうでしたか?
ちゃんとクリアしているか気になったら、手帳の形のアプリの中に
スタンプとして記録していますので確認してみましょう」
と言ったのでアプリ探して見てみると、
最初のページに海の上を走る横向きの電車のスタンプが押されていた。
「それがこのダンジョンをクリアした証です。
では今から次の駅に向かいますよ」
と言い電車に乗ったので自分も乗り座席に着くと、
出発して整備場を突っ切り次の駅へと向かった。




