ザ・ドラゴン・バトル
更新頻度が少なくなってきている中、それでもお付き合いいただいている読者の皆様に感謝致します・・・。
「おぉりゃあっ!」
階段を駆け上がり、質素なデザインのドアを蹴破って中へと突入した。
天空竜の塔、最上階の部屋。
天井は無く、蒼穹の空がどこまでも広がっている。
その部屋の一番奥には……。
「グルルル……」
「うわぁお……」
巨大な銀翼の竜が、じっとこちらを睨みつけていた。
「あれが、天空竜スカイワイヴァーンか……」
聞いていた通り、やはりデカい。
全長はおよそ7メートル、体高も3メートルくらいはありそうだ。
てか、あんなサイズのドラゴンなんて倒せるの……?
【スカイワイヴァーン】
Lv:52
HP:??????/??????
ギャー!
体力が膨大過ぎて表示出来なくなってるーーー!
レベルは意外にも低いけど、そんな事は気休めにもならない。
正直、勝てる気がしない……。
「あの……、引き返しても……?」
「えっ、無理ですよ……?」
「ボス部屋は一度入ると、ボスを倒すか味方が全滅するまで出られません」
「ソウデシタ……」
くそっ! 勢いで突入するんじゃ無かった!
せめて事前情報を聞いてから入るべきだった……。
「まぁ入っちゃったものは仕方ありません! さくっと倒しちゃいましょう!」
「さくっと倒せる気はしないけど……、ええいやってやるよ!」
オレはヤケクソ気味に開き直り、スカイワイヴァーンに向かって突撃した。
「うおらああああっ!」
「え、ちょっ! フリントさん?!」
サクラちゃんの制止を振り切り、がむしゃらに走り抜ける。
そして……。
「おおおおっ! ヤケクソパァーンチッ!」
「グル……ッ!」
思いっきりジャンプし、スカイワイヴァーンの顔面に全力のパンチを叩きつけた。
「げぇ、1ダメージしか入ってない……!」
まぁ、予想出来ていた事ではある。
元々、物理攻撃は聞きづらい事は聞いていた。
加えてオレのステータスは防御偏重型、多少はマシになったとはいえ、攻撃力は300にすら届いてない。
打撃が効かないのは、火を見るより明らかだった。
「ちっ……」
「グルルルオオオォォォッ!」
「へ……?」
「「フリントさんっ!!!」」
後退しようとした矢先、スカイワイヴァーンの右前足が頭上高く掲げられ、そして全力でオレ目掛けて振り下ろされた。
「くっ!」
回避が間に合わないと見てスカイワイヴァーンの振り下ろしを受け止めようと防御を固めるも、STR値が圧倒的に足りてないオレが受け止め切れるはずも無く……。
「ぶっっ!?!」
―――ズッドオオオオォォォォン!
オレは、勢いよく叩き潰された。
「「フリントさん?!!」」
「グルル……、……?!!」
「「え……?」」
「ってぇ……なぁ……っ」
右前足に思い切り押さえつけられ、身動きひとつ取れやしない。
が、HPゲージを見てみると、オレのHPはたったの1しか減っていなかった。
…どうやら、オレのVITはスカイワイヴァーンのSTRよりも高いらしい。
「は、ハハ……」
ドラゴン、弱くね?
「この……っ!」
「グロロォォォ……ッ!」
おそらくはスミレちゃんの強力な攻撃を受けたのだろう。
強烈な振動がこちらにも伝わり、スカイワイヴァーンがよろけてオレを押さえつけていた右前足が持ち上がった。
「今だ……っ!」
チャンスとばかりにすっくと立ち上がり、全力で2人の元へと避難した。
「2人ともありがとう……。おかげで助かった……」
「無事で良かったです……!」
「もう……、考え無しに突っ込むからですよ!」
「ごめんごめん」
「でも、HPは全然減ってませんね……。潰されてたのに……」
「さすがフリントさん、ですね! 普通のプレイヤーだったら即死してますよ、アレ!」
「でしょうね……」
ダメージこそ大した事は無いものの、そのSTRはさすがドラゴン、といった力強さだった。
物理攻撃は振り下ろし以外は受け止める方向で行くか。吹っ飛ばされてもすぐに戻れば大丈夫だよネ!
「ガアアアアアアアアッ!」
「って……?!」
思ってる傍からスカイワイヴァーンの口がバクりと開き、内に見える紅い炎の球体が徐々に膨れ上がっていった。
「アレは……」
「火炎攻撃ですっ!」
「火属性の中範囲攻撃です! 魔法攻撃に分類されます! 単発攻撃とはいえ、INTが低いアタッカーは一撃でやられますよ!」
「単発? 単発なの? 連続じゃなくて?」
「は、はい。そうですけど……」
「なら……!」
オレは2人の前に出て、左手の大バサミを構えて防御体勢を取った。
「フリントさん?!」
「ちょっ、無茶ですよ?!」
無茶とは思うが、多分耐えれそうな気がする。
魔法攻撃という事は、INTが低いプレイヤーはHPで受ける事になる。
そのHPが膨大にあるオレなら、単発攻撃の火炎攻撃くらいなら耐え切れると踏んでいる。
火炎放射器のような連続放射攻撃だったら出来なかった事だけど、単発であるなら、可能性はある!
「ガアアアッ!」
ブレスのチャージが完了し、スカイワイヴァーンのブレスが勢いよく撃ち出された。
それをオレは、正面から受け止めた。
「ぐぅおおおおおおおぉぉぉぉ……っ!」
足を踏ん張り、腰を入れ、両腕に力を込めて必死で耐える。
そして、何とか火炎攻撃を耐え切る事に成功した。
「…っぷはあっ! はぁ、はぁ……」
「ふ、フリントさんっ! 大丈夫ですかっ?」
「本っ当に無茶するんですから! 死ななかったのが不思議なくらいですよっ!」
「ホントにね……」
おそるおそるHP残量を確認してみると……、おやまぁビックリ。
全体の半分程度しか減っていなかった。
まぁオレのHP総量は10000を優に超えているので耐え切れたが、普通のプレイヤーなら確かに蒸発してそうなダメージ量だ。
「でも、これで攻略法が見つかっただろう……?」
「え?」
「オレのHPは半分しか減っていないし、スカイワイヴァーンのブレス攻撃は連発出来ない。だったら、オレが前に出てスカイワイヴァーンを引きつける。サクラちゃんはヒーラーだから適宜オレに回復支援、スミレちゃんは最後方から遠距離攻撃でちまちまと削っていく……。これで行けるんじゃないかな?」
「「あ……!」」
よくよく振り返ってみると、オレたちは今まで、そこまで連携を意識して戦った事はほとんど無かった。
オレが前に出てひたすらモンスターの攻撃を受けつつカウンター返り討ち。サクラちゃんとスミレちゃんは撃ち漏らしたモンスターを各自迎撃する程度。サクラちゃんに至っては、ヒーラーであるはずなのに全然回復魔法による支援が必要ない有り様だった。
それも、全てはオレが全くダメージを受けなかったからだ。
だが、今相対しているボスは違う。
オレの鉄壁の防御を無視して、膨大なHPをごっそりと削ってくる程の強敵。回復支援が無ければそう何発も受け切れるものじゃないが、今はヒーラーであるサクラちゃんがいる。
オレには出来ない遠距離攻撃をスミレちゃんが担当してくれるのなら、たとえドラゴンが相手だろうと絶対に倒せる!
「オレたちの初連携、あのドラゴンに見せつけてやろうじゃないの!」
「はいっ! 一発たりとも無駄にはしませんっ!」
「回復支援は任せてください! このところ、自分がヒーラーである事を忘れそうになってましたので、この機会に感謝しますっ!」
そこは忘れないでくれ、サクラちゃん……。
「それじゃ……、いぃぃくぞおおおおっ!」
「「はいっ!」」
オレたちの、初めての連携プレイによるドラゴン討伐が始まった。




