表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達にゲームを勧められてしまった話  作者: しらすめし(遅筆屋Con-Kon)
4/57

強い大バサミを手に入れてしまった

〈2023.1.13、追記〉

スタッグビートルアームズの表記を一部修正・削除。

 

 スタッグビートルアームズ:大きな鋏がついた、特殊な形状のガントレット。紅眼攻殻虫からのドロップ品。STR+20、STR補正1.5倍、VIT+10。専用スキル〈形態変化〉を獲得。装備武器変更不可。取得条件:初期装備武器で、紅眼攻殻虫を空中で撃破する事。



「強い……」


 巨大クワガタからのドロップ品は、破格の効果がついた強力なものだった。


 STR値アップに倍率の追加補正、レベルアップ時の成長率にも補正がかかる。しかもVIT値も若干アップするというオマケ付きだ。


 だが、スキル〈形態変化〉というものがどういうものなのかよく分からなかった。


 使用しようとしてみたけれど、どうやっても発動しないし、今は置いておこう。後でヒロアキにでも聞けば良い。


 取得条件も中々にえげつない。空を飛べるスキルとか聞いた事は無いし、大ジャンプしてからの強力な一撃をお見舞いするくらいしか思いつかない。


「それにしても、大バサミかぁ…………。………………ん?」


 ふと、最後の一文に目が止まった。



 ―――装備武器変更不可。



「あ……? ……ぁぁぁあああ?」


 え、ちょっと待ってくれ。


 変更不可(・・・・)


 装備武器の変更不可。それはつまり、武器スロットがこの武器に固定されてしまったという事で……。


 それはつまり、今後はこのスタッグビートルアームズと一蓮托生という訳で……。


 うーん……。


「……ま、いっか」


 初めての固有武器だし、ナックルスタイルにもそこそこの愛着が湧いてきている。


 それに、左手に大バサミの武器とか見た目的にも目立つし、何よりカッコイイしな!


 個性は大事だ、うん。


「これからは、この大バサミを活かした戦法を考えておかなきゃな……」


 左手のハサミで敵を挟んで動きを封じて、右手でタコ殴りにする……、とか?


 割と良いかもな、それ。


「あ、でも足遅いからなぁオレ……」


 AGIにSPを振っていないオレには、素早い敵はまず捕らえきれない。相手がプレイヤーともなれば、尚更か。


 どうしよ、今後はAGIにも振っていくか……?


 しかし、今さらそこにポイントを振っても中途半端になる可能性が高い。


 それに、オレはゲームセンスも低いしな。


 今はただ、自分なりの戦闘スタイルを構築していくだけだ。


「さて、と。……ちょっと魔物を狩っていくか」


 まだ時間もあるし、この武器の性能を試してみたい。


 オレは再び魔物を探して回った。






「お、いたいた」

「グルルル……」


 見つけたのは、ブラックウェアウルフという人型の狼の魔物だった。右手には剣が握られていて、ちょっと強そう。


 魔物が武器を使うとは、生意気な……。


「グルルアアアァァァッ!」

「んっ!」


 振り下ろされる剣の一撃を、左手の大バサミで受け止める。小盾代わりにも使えるみたいで、結構良いな……。


「でぇいっ!」


 右手のガントレットでウェアウルフを殴る。


 すると、ウェアウルフのHPゲージがいつもより少し多めに動いた。


「おおっ! やっとまともなダメージを与えられるようになってきたかっ!」

「グルルァァッ!」


 些細な事に感動しつつ、ウェアウルフの攻撃をあしらっていく。


「ふんっ!」

「グァ……!」


 ガントレットで剣を弾き、ウェアウルフの体勢が崩れた。


「チャンス到来っ! うおおおおっ!」

「グァウッ!」


 左手のガントレットについた大バサミで、ウェアウルフの胴体を挟み込む。


 そして。


「せぇいっ!」

「!?!?!?」


 左手に力を込め、ウェアウルフを真っ二つに挟みちぎった。






 ◆◆◆






「あー、疲れた……」


 ウェアウルフを倒した後、オレはログアウトしてゲームを終えた。


 バトルの時はめちゃくちゃ集中するから、凄く疲れるな……。


 時刻は、午後7時を回っている。


(そろそろ夕食の時間だな……)


 そう思っていると、いきなりドアが開かれた。


「お兄ちゃん」

「何かな? 妹よ」

「ウザっ」

「……」


 勝手に入って来といて辛辣な一言を言い放つのは、1歳下の麗しの妹・(カガリ)だった。


 運動神経抜群で頭脳明晰な、よく出来た妹であるのだが、中学に上がった頃から態度が急変。


 事ある毎に毒を吐く、トゲトゲしい性格に変わってしまった。


(これが反抗期ってやつかな……)


 オレは妹を見ながら遠い目をした。


「それで、何の用だ?」

「ご飯が出来たから、呼びに来ただけ」

「あぁそう、分かった。今行く」

「ちっ。…………いい歳してゲームに夢中になってるなんて、キモっ」

「…………」


 ―――バンッ!


 カガリは小声で猛毒を吐き捨てながらドアを閉め、下へと降りていった。


 今の一言、とてもヒロアキには聞かせられないな……。アイツ、筋金入りのゲーマーだし。


 ったく、どうしてこうなったんだか……。


「……はぁ」


 オレは気怠い気分のまま、ヘッドギアを机に置いて部屋を出た。



現在の主人公のステータス。


【フリント】

LV:10


HP:1500/1500

MP:50/50


STR:105

VIT:150

INT:50

DEX:50

AGI:50


〈スキル〉

振動拳、形態変化(現在使用不可)、物理反射


〈装備〉

スタッグビートルアームズ、ビギナーメイル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ