わざわざ待ってやる義理もない
『それでは、バトルロワイヤル、スタァートッ!』
司会の合図により、ついに試合が始まった。
オレのスタート地点は廃墟と化した教会内なのだが……。
「まぁ、出るか……」
時間は有限、来るかも分からないのにわざわざ待ってやる義理もない。
さっさと出て、他のプレイヤーを探すとしよう。
オレはスタスタと歩き出し、ボロボロのドアを開けた。
「先手必勝ッ! チェアアアァァァッ!」
ドアを開けた瞬間、ロングソードの剣士プレイヤーからの襲撃を受けた。早速か!
「そらそらそらァッ!」
剣士プレイヤーは真っ直ぐに剣を振り回して来るが、その剣を振る速度よりもオレの素早さの方が上のようで、反射神経を頼りにひょいひょいとかわしていった。
舐めるなよ、体力は無いけど反射神経には多少の自信があるんだよ。ドッジボールだって、だいたい最後まで残ってたんだからな!
「くそっ! どうして当たらねえ!」
「お前が弱いからだよ、っと!」
「あぐぁ……ッ!」
相手の剣を右手で弾き、左手の大バサミでプレイヤーの首を掴み取った。
「これで、ジ・エンドだ」
「くそっ、くそおおおおォォォォッ!」
首を斬り落とし、剣士プレイヤーを消滅させた。
「最初のポイントゲット、だな」
それにしても、やっぱりこの装備は凄い。
とても早く動けるし、攻撃力も上がってる。
一撃で首を斬るって、以前の装備では出来なかったからな。新鮮な気分だ。
「よし、行くか」
幸先の良いスタートダッシュをキメたオレは、意気揚々と教会を後にした。
「後ろから失礼ー」
「え? ぐあっ!」
道を歩いてる途中、視界に映ったプレイヤー目掛けて左手のバンカーショットを放ち、背後から奇襲した。
相手は3人だが、それくらいの人数差を覆せないようではこの先生き残れない。
ここいらで、多人数戦闘をこなしておきたかった。
「まずひとり」
「ぐああああっ!」
真っ二つに切断し、大バサミを引き戻したところで、残りの2人と対峙した。
「誰だいった……、い?」
「どもー」
「メ、メイド……?」
相手はどうやら困惑してるようだ。無理もない。
初戦の相手が何もリアクションが無かったのが不思議なくらいだ。
「通りすがりのメイドです。よろー」
「お前のようなメイドがいるかッ!」
お約束のコメント、いただきました。
「でも、ちょっとアリかも。可愛いし……」
「うぉい! 見た目に騙されるんじゃねぇ! あいつの仇だ、行くぞ!」
「ちょっと気が引けるけど、仕方ないかッ!」
「ちっ」
色仕掛けで距離を詰めようと思ったけど、そうそう上手くはいかないか。
そうするくらいなら、初めから奇襲をするなよって感じだが。
「うおおおおっ!」
「ほいっ」
「んなっ!」
プレイヤーの剣を、右手でガッシと掴み取った。
こっちはガントレットなんだし、SPはVIT全振りだし、いけるだろうと思ってたら、本当にいけてしまった。
ダメージも1しか通ってないし、これは余裕そうだ。
「なんで、ダメージが通ってないんだ……っ!」
「させねえっ!」
「!」
横から黒い矢が飛んできてオレの頭に直撃したが、それはカンっという音とともに弾かれた。
「痛いなぁ、もー。痛くないけど」
「何で、ダメージが通らねえんだよ……?!」
それは、攻撃力が低いからなんじゃないかなぁ?
「ふんっ!」
右手に思いっきり力を込めると、掴んでいた剣がバキリと折れた。
おお、やれば出来るもんだ。
「お、俺の剣が……!」
「という訳で、悪いな。また出直してきてくれ」
「がっ!」
左手の大バサミでプレイヤーの首を挟み、ジョッキンと斬り落とした。
「あとひとり……」
オレは残る弓使いのプレイヤーに向けて歩き出した。
「う、うあああああッ!」
火矢、毒矢、普通の矢、鋼の矢……。
プレイヤーは様々な矢を次々と放ってくるが、どれもオレには突き刺さる事無く、弾かれては地面にボトボトと落ちていった。
「捕らえろ、バンカー!」
射程圏内に入ったところで、オレは大バサミを放ち、プレイヤーの胴体を掴んだ。
「あぐぁっ!」
「それじゃあな」
「あ……」
胴体を引き裂き、プレイヤーは消滅。
オレは大バサミを引き戻し、左手に収めてから探索を再開した。
これで4ポイントか。
先はまだ長い……。




