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友達にゲームを勧められてしまった話  作者: しらすめし(遅筆屋Con-Kon)
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メイド服を渡されてしまった

「……出るか」


 ウジウジと回答を引き伸ばしてしまっていたが、オレは2日後のバトルロワイヤルイベントに参加する事にした。


 花天月地のギルドメンバー全員からも期待されているし、大会に出るのはこれが最初で最後だ。


 となれば、可能な限り対策したいところだが、これ以上の強化は望めない。


 レベルは固定、大会用にステータスポイントを再度振り直すシステムであるが故にレベリングは意味が無い。


 新しいスキルを獲得するか、さらに強力な防具を新調するしか無いのだが、どちらも今以上に増強するのはほぼ不可能。


 現状、他のプレイヤーの情報をかき集めるくらいしか出来る事が無い。


「ぶっつけ本番で行くか……」


 今のオレは、全身専用装備で固めてある。ボロボロの指輪は例外だが、ぶっちゃけガラクタ同然なので性能に影響は無い。


 STR補正1.5倍の武器と、VIT補正2倍の防具。


 これだけで、他のプレイヤーとは大きなアドバンテージを取れるのだ。行ける行ける。


 後は、オレのPS(プレイヤースキル)次第で全てが決まる。


 何処まで行けるか分からないが、まぁ、全力でやるだけだ。


「……ん?」


 ふと、オレはある妙案を思いついた。


「……待てよ? アクセサリーくらいなら……」






 ◆◆◆






「……という訳で、専用のアクセサリーを作って欲しいんですけど、出来ますか?」


 ユートピアにログインしたオレは、ギルドハウスでのんびりしていたユリネさんに相談を持ちかけた。


「はぁい、良いわよ。やっとフリント君が大会に出る事を決めたんだもの、良いものをプレゼントしてあげるわ♪」

「ありがとう、ございます……」


 何だろう。この、普通にありがたいはずなのに、手放しで喜べない感じは……。


「こんな事もあろうかと、良いものを用意しておいたのよね……」


 ユリネさんはストレージの項目を開き、アイテム一覧から何かを探し出した。


「あった、これこれ。はい、あげる」


 程なくして、ユリネさんからアイテムが手渡された。


 ひとつではなく、どっさりと……。



【決戦用クラシックメイド装備 MkーⅠ】



「…………何ですか、コレ?」


 送られてきたのは、まさかのメイド服。その中に、アクセサリーもそっと添えられていた。


「フリント君は大会に出るって思ってたからね。必死にアイテムを探し回って、昨日ようやく完成したの。今フリント君が着ている衣装とは真逆の性能だけど、気に入ってくれたら嬉しいわ」

「真逆……?」



【決戦用クラシックメイド装備・風】

 風のホワイトブリム:STR+15、AGI+15。風属性耐性・小。

 風のエプロンドレス:STR+20、VIT+35、AGI+25。スキル【メイドのたしなみ】獲得。風属性耐性・小。

 風のロングブーツ・黒:VIT+20、AGI+45、AGI補正2倍。風属性耐性・小。

 風のロザリオ・黒:AGI+5、CRI率+25%。風属性耐性・小。

 メイド専用ナイフ・風:STR+35、AGI+10、風属性攻撃。



「…………」


 性能を確認したオレは、言葉を失った。


 正直、ツッコミどころが多過ぎる。


「あの、聞きたい事があるんですけど……」

「何かしら?」

「何でただの防具なのに、STRがめちゃくちゃ上がるんでしょうか?」

「それは、その服を作るのにドロップ品の武器を合成したのが原因ね」

「それと、ブーツは良いとして、何で服やヘッドドレスまでAGIが上がるんですか?」

「それは、風属性のボスモンスターがドロップした装備品をベースにしているからね」

「……これ、何でメイド服なんですか?」

「私の趣味♡」

「…………」


 やっぱりか!


 この人、オレを着せ替え人形か何かと勘違いしてないか?!


「オレ、これを買えるだけの金持ってませんよ?」

「お金は要らないわよ、私が好きで作って、勝手にプレゼントしただけだもの」

「いや、でも、ここまでの労力とかを考えると……」

「良いから貰ってちょうだい。どうしてもと言うのなら、今度双子ちゃん達の専用装備を作る為の素材集めに協力してくれれば良いから」

「……分かりました」


 素材集めには絶対に付き合おう。


 オレは心の中でそう決意した。


 それにしても……。


 スキル【メイドのたしなみ】って何……?



スキル【メイドのたしなみ】

対象のHPを10%、状態異常全回復。他のプレイヤーに使用する場合、さらにMPを30回復。消費MPは1、クールタイムは5秒。


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