ひとりでダンジョン攻略(2)
慎重に奥へと進んでいくと、何やら重厚な扉を発見した。
その手前、左右の壁の上には、人間大の大きさのトカゲのようなモンスターを模した像があった。
壁を直接くり抜いてあるのだろう、かなり精巧で美術館に飾ってあっても違和感は無いと思う。
それくらい、よく出来た石像だっ……。
「え……?」
一瞬。
ほんの一瞬だけ、石像の目がきらりと光った。
かと思えば、その2体の石像は徐々に艶かしく変化していき、パッと目の前に降りてきた。
【シュルメール】
Lv:36
さっきのゴーレムよりは少しレベルが低いものの、こちらは2体いる。
結局厄介な事に変わりは無い。
見た目は赤くてデカい大トカゲ、なのに瞳の色は青とかどうなっているんだか……!
「シャアーーー!」
1匹が素早い動きでのしかかり攻撃を仕掛けてきた。
動きが速い、回避は難しいか……!
「くっ……!」
左手の大バサミを盾代わりにしてモンスターの攻撃を受け止める。
すると、モンスターは口から黄土色のような色の煙を吐き出してきた。
「汚っ!」
その煙を浴びた途端、周囲の音が全く聞こえなくなった。どうやら無音になるステータス異常にかかったらしい。
凶悪過ぎる効果だな! ゲーム次第じゃ致命的だぞコレ!
音は聞こえないし、地味に視界も悪くなってる。これ以上面倒事はゴメンだ。
「くっそ……! 【ロックヴェノムアームズ】!」
オレは【形態変化】でガントレットを切り替え、周囲に毒の霧を発生させた。
相手が煙を吐くなら、こっちも霧を撒布してやる!
これで条件は五分。相手は毒でHPが減っていくからむしろこっちが有利だ!
「食らえ、【ヴェノムショット】! ダダダダダダダダーーーッ!」
両手から毒の弾丸をひたすら連射していく。
モンスターは素早い動きで回避行動を取っているが、さすがに毒の弾幕はかわしきれず、やがて2体とも猛毒状態に陥った。
後は相手のHPが無くなるまで耐えるのみ……!
「シャアアアアッ!」
「えっ!」
HPが3割を切ったところで、モンスターの動きが突如変化した。
壁に天井にと張り付きながら変則的に動き回り、死角に回り込んできてオレの腕に噛み付いてきた。
噛み付かれた瞬間、今まで動かなかったオレのHPバーが減り始めた。
「マジか、持続ダメージかよ!」
続いてもう1匹がオレの背中に回り込み、鋭い爪で引っ掻き攻撃を繰り出してきた。
その攻撃を食らったオレのHPバーは、またもじわりと削がれた。
「今度は防御貫通攻撃かよ……!」
おいおい、マジかよ……!
音は聞こえないし、視界も悪いし、追い詰めると持続ダメージと防御貫通攻撃のオンパレード。
耐久性が低い奴は数分と保たないぞこれ……!
「負けて、たまるかっ!」
オレは何とか噛み付いているモンスターを引き剥がした。そしてそのまま地面に押さえ込み、やがて毒の霧と猛毒ダメージでモンスターは消滅した。
疲れた……。
よくよく考えれば、大バサミで食いちぎれば良かった気がするが、今思いついても後の祭り。
それに、大バサミで1体倒したとして、もう1体がそれを学習して警戒されたら厄介だった。
やりようによっては素早い相手にも毒攻めが効く事も分かったし、今回はこれで良いか。
そろそろ戻……。
「あ」
正面の扉が、僅かに開いていた。
そういえば、まだボス戦が残っていたんだった……。
「もうひと踏ん張り、か……」
オレは例によって出現したモンスターのドロップ品を回収し、扉を潜り抜けた。




