表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達にゲームを勧められてしまった話  作者: しらすめし(遅筆屋Con-Kon)
2/57

初めてログインしてしまった

「おお、コレがゲームの世界か……」


 凄い、まるで現実世界のようだ……は、さすがに言い過ぎか。


 でも、……悪くない。


「えーと、メニューコマンドは……。あ、こうか」


 正面に手をかざすと、半透明のボードが出現した。


 タッチパネルよろしく、これをタップする事でコマンド入力出来るようだ。


 オレはそこからマップのアイコンをタップして開いた。






 マップを頼りに、オレは森の中までやってきた。


 この世界めちゃくちゃ広くて、覚えるのが大変だ。


 しばらくはマップとお友達だな……。


「っと、早速来たか」


 茂みから飛び出して来たのは、角がついたやや大きめのネズミだっ……ネズミ?!


 でかっ?! 下手すりゃ1メートルくらいあるぞ!


 あ、でもそれなりにデフォルメされていて、ちょっと可愛い……。


 などと思っていたら、いきなり角で攻撃された。


「痛っ! ………くは、無いな。そりゃそっか」


 ゲーム内において、衝撃感覚はあっても痛覚は無い。


 痛覚なんてものがあったら、それはもう大変な事になる。ちょっと攻撃が掠っただけでも大惨事だし、それが腕や足の切断ともなれば、想像を絶する痛みが襲う。


 これで猛毒を受けようものなら、それはもはや拷問同然。精神的にもダメージを受け、社会問題にまで発展しかねない。


 リアルさを追求するにしても、痛覚が再現されないのは当然の事なのである。


「ダメージは受けてない……。自分の防御力が相手の攻撃力の4倍以上あれば、ダメージはゼロになるのか、ふむふむ……」


 今のオレのVIT値は90。つまり、あのネズミのSTRは22以下という事になる……、のか?


 これはとても嬉しい。


 つまり、防御力に全振りしていけば、将来は魔物の通常攻撃を大抵無力化出来る訳だ。


 全振り万歳。


 角付きネズミはさっきから角で突撃してきているが、オレのHPは1すら減っていない。どころか、ネズミの方が徐々にHPが減っている始末。


 反動ダメージか……。そんなのもあるんだな。


 これ以上は可哀想だし、楽にしてやろう。


「ていっ」

「ぷぎゅっ!」


 ガントレットによる鋼鉄パンチで、角付きネズミは無事昇天した。


 角付きネズミの身体は光の粒子となって分解され、それがオレの身体に流れ込むようなエフェクトが出た。


 魔物を倒すとこうなるのか……。


「お、レベルが上がった」


 経験値を取得し、レベルが2になった。やっぱりレベルアップは嬉しいもんだな。


 そして、新しいウィンドウが続けて出現した。


「ん? ……『スキル〈物理反射〉を獲得しました』……?」



 物理反射:相手に物理反動ダメージを付与する。ダメージ値は、相手のSTRを参照する。



 という事らしい。


 さっき角付きネズミが反動ダメージを受けてたから、きっとあれがスキル取得の条件だったのだろう。


「ありがとうネズミくん。君の犠牲は、無駄にはしない……」


 というか、スキルってあんな感じで取得出来るんだな。


 やり込み型MMORPGというアイツの言葉は、こういう事を言っていたのか……。


 そりゃ、こんなのはやり込みとひらめきが無きゃ分からないよな。これだって、たまたま偶然取得出来た訳であって、オレ自身はこういうのがあるって知らなかったし……。


 確かに、やりがいはあるかもしれないな。


「もうちょっと奥に進んでみよう……」


 危険は無いと判断したオレは、さらに森の奥へと進んで行った。




 ◆◆◆




「ギャフゥッ!」

「うるさ……っ!」


 フォレストボア、攻撃力はそれほど高くないのか、奴の突進攻撃のダメージは通っていない。


 だがこいつ、めちゃんこ硬い!


 こっちの攻撃が、ダメージ1しか通っていないのだ。


 オレの攻撃力は、あのイノシシの防御力よりも低いらしい。悲しい……。


 まぁ、これはVIT全振りの宿命のようなものだ。甘んじて受け入れるより他にない。


「うおおお!」


 オレはフォレストボアに向かって突撃し、ひたすら殴りまくった。


 数分間の激闘の末、フォレストボアは無事昇天。これでオレのレベルは5になった。


 経験値は旨いが、ドロップ品は無かった。残念。


 スキルも取得出来なかった。そうそう旨い話があるはずは無いが、期待してなかったという訳でも無いだけに、ちょっぴり凹む……。


「……今日はこれくらいで終わっておくか」


 かれこれもう3時間くらい経っている。


 この続きは、また明日にしよう。


 オレはメニューボードを開き、ログアウトボタンを押して終了した。


初期ステータスです。


【フリント】

LV:1


HP:900/900

MP:50/50


STR:65

VIT:90

INT:50

DEX:50

AGI:50


〈初期装備〉

ガントレット、ビギナーメイル


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ