周囲の視線とダンジョン
―――ざわざわ。
「……」
「「……」」
大通りを歩いていると、他のプレイヤーの視線がオレたちに集まっていた。そして何やらザワついている……。
そりゃそうだ。
他のプレイヤーたちは真っ当な軽鎧やプレートアーマーなどの無骨な装備品を身につけている中、クラシックロリータ衣装とドレスアーマーという華やかな外見の装備を身につけたプレイヤーがパーティーを組んで歩いているのだ。
そんなの目立って当然だ。
「注目されてしまってますね……」
「うぅ、ちょっと恥ずかしくなってきました……」
周囲から注目される事に慣れていないのか、サクラちゃんとスミレちゃんはやや萎縮してしまっているようだ。
まぁ、慣れていないのはオレも同じだが。
「周りの視線なんて気にしなくて良いよ。さっさと行こう」
「「は、はい!」」
◆◆◆
街を出たオレたちは、ユリネさんから教わった"ゴブリン迷宮"なるダンジョンへとやってきた。
「そこそこプレイヤーがいるな……」
人気のダンジョンだけあって、そこそこの人数のプレイヤーが集まっていた。そして……。
「「「…………」」」
ここでもやっぱり視線を集めてしまった。
いくらカラーリングを落ち着かせても、やっぱりロリータ装備は目立つ。ユリネさんのしたり顔が脳裏に浮かんでくるようだ……。
周りの視線は無視無視、いちいち気にしてもいられない。とにかくダンジョンに集中だ。
話を聞く限り、ダンジョン自体は大した事は無さそうだが、オレには初見の場所だ。油断はせずに行こう。
「とりあえずオレが前に出るので、2人は援護よろしくね」
「は、はいっ!」
「お任せ下さいっ!」
後方支援が得意な回復魔法使いと弓使いが揃っているのだ、負ける気がしない。
それぞれの役割分担を確認し、ダンジョンの中へと足を踏み入れた。
「ギィエエアアア!」
「……」
ダンジョンに入るなり、早速ゴブリンの奇襲を受けてしまい、ゴブリンの棍棒がオレの脳天に直撃した。
が、痛くも無ければダメージもゼロ。どうやら、オレのVITと相手のSTRは4倍以上の開きがあるようだった。
ゴブリンたちには、ご愁傷さまという他ない。
左手の大バサミでゴブリンを挟み、そのまま真っ二つに裁断した。
「だ、大丈夫なんですか?」
「あ、頭に直撃してたんですけど……」
「ん? ああ、大丈夫。ダメージゼロだったから」
「「え、ええええぇぇぇぇっ!」」
そういや、他人のダメージ数値は見えないんだったか。他のプレイヤーの戦闘シーンは全然見てないから、すっかり忘れてた。
「だ、ダメージゼロって……」
「まぁ、オレのステータスはVIT全振りだし、これくらいはね……」
それに、ユリネさんから貰ったこの装備のおかげでオレのVITは2倍になっている。
ただでさえ魔物とのステータス差は2倍くらいの差があったというのに、さらに倍となればその格差は推して知るべし、だ。
その後も、オレたちはズンズンとダンジョン内を進んでいく。
2人のAGIはどうかは知らないが、オレのAGIは初期から全く変わっていないので、進行速度は遅いはずなのだが、2人は特に何も言ってこなかった。
「あの、2人ともちょっと良い?」
「は、はい」
「何でしょうか?」
「その、オレの歩くスピードに合わせて歩くのって、辛くない? 何と言うか、焦れったいとか、そういうのは……」
「いえ、特には……」
「そ、そう……?」
「はい」
良かった、特に何も思わないようだ。
「というか、その……」
「?」
「私たち、ここまでほとんど何もしてないので、むしろ足でまといになってないか心配で……」
「え?」
「それに、フリントさんは全然ダメージ受けないので、回復魔法使いの私は全然お役に立てなくて……」
「いやいやいや!」
確かに、ここまで出会ったゴブリンたちは全員雑魚で、圧倒的防御力で攻撃を全て受け切り、大バサミでバッサバッサと斬り捨ててきている。
それはつまり、2人を温存出来ているという訳で、この後の最下層のボス戦で活躍してもらう為にはむしろ良いことなのだと説明した。
というか、2人ともオレよりレベル高いはずなんだが……。
「そ、そうですか。良かったぁ……」
「この後のボス戦、私、頑張りますっ!」
「うん、よろしくね」
「「はいっ!」」
その後も、進路上に現れるゴブリンたちを地ならしのごとく蹂躙していきながら侵攻し……。
数分後。
「でっかい扉……」
ダンジョンの最下層、ボスの間の前までやってきた。
ロリータ衣装とガントレットの組み合わせって異質過ぎてあまり合わないだろうと思うでしょうが、書いてるワタシも思っているので大丈夫です(?)




