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第4話


「改めて俺はデイブ。冒険者で赤魔道士をしている。ランクはSだ。ここにいるダンと2人でノワール・ルージュという名前で活動している」


「俺はダン。同じく冒険者。暗黒剣士で、デイブと同じランクSだ」


 要塞の中にある広場に入ったダンとデイブはそこにいた50人の冒険者を前に自己紹介する。


「こちらもまずは挨拶をしましょう。私はマリアンヌ。Aクラス冒険者で戦士。ボルケーノのリーダーをしている」


「俺はジャン。同じくボルケーノのナイトだ」


「俺はブルー。ボルケーノの戦士。マリアンヌとは違ってこの斧が武器だよ」


「私はクラウド。精霊士をしている」


「ジャスミンよ。ジョブは僧侶。ボルケーノは全員がAクラスのパーティなの」


 相手のパーティメンバーとの挨拶が終わったところでデイブが口を開いた。


「お互いに色々困惑していると思う。まずは俺たちの話を聞いてもらえないか?」


 その言葉に頷くマリアンヌら。デイブは自分達がこの星の別の大陸の出身でそこで冒険者として活動し、ランクを上げ最後は誰も踏み入れたことがない大陸中央部の山の火口にあった黒い渦に飛び込んだらこの大陸にやってきたんだと時間をかけて説明する。


 黙って聞いている彼ら。時折マリアンヌらの目が開かれるが最後まで黙って聞くと、


「なるほど。俄には信じられない話だけど二人は別の大陸からここに来たのね」


「そう。その通りだ」


 とデイブ。


 そうして今度はマリアンヌがこの大陸について話をする。ここはシグナギ大陸と呼ばれ獣人と人間が住んでいて対立しているそうだ。


「獣人はクラスが上がる、つまり強くなると我々と同じ言葉を話すの。彼らは普段はバラバラに行動しているが時に集まっては徒党を組んで人間の住んでいる街に襲いかかってくるのね。その時には襲われる街の冒険者達がクエストとしてそれを食い止めるということをここ数年やってきている」


「なるほど。今回あんた達が住んでいる街が狙われてこの要塞で待ち受けているところに俺達が飛ばされてきたってことだな」


 デイブの言葉にその通りだと頷くマリアンヌら。その後魔獣が獣人であることを確認し、ランクについての話になった。


「この大陸では冒険者も獣人も”クラス”というランクで分けられているの。冒険者はFから始まりAクラスまで。獣人も同じだけどDクラスからSクラスまでが確認されている。そしてAクラス以上の獣人はこちらの言葉を話すわ」


「それであのトロルがAランク、いやAクラスってわけか」


 デイブがそう言ってから続けた。


「俺達のいた大陸でも冒険者はランクFからスタートする。最高はSだ。これはランクAの上の位という位置付けになる。そして敵も同様にランクDから始まるが中にはランクS以上のSSやSSS、それ以上の魔獣も存在している」


 その言葉にびっくりする彼ら。


「つまりデイブやダンはそのなんだ、ランクSSSやそれ以上を倒しているというのか?」


 精霊士のクラウドが聞いてきた。その言葉に頷く二人。


「俺達の腕前を見たいのなら、なんなら今から模擬戦でもしようか?」


 目の前にいる連中が俺達の腕をまだ信用していないなと感じとったデイブが言った。となると実力を見せつけるのが一番早い。


「おっ、いいな。相手してくれよ」


 デイブの言葉にブルーが即答した。ダンはどこでも冒険者ってのは相手の力量を確かめたがるものだと思いながらやりとりを聞いていた。


「私もお願いしたい」


 マリアンヌが言う。


「じゃあ俺とそっちのブルー。マリアンヌはダンとでいいかな?」


 お互いの相手が決まった。そこにいた他の冒険者が壁際に下がると広場の中央にデイブとブルーの二人が立つ。二人とも模擬刀を持っている。


「万が一怪我をしてもジャスミンが治癒してくれるから遠慮しなくて大丈夫よ」


 壁際に下がったマリアンヌが言った。 


「わかった」


「じゃあいくぜ」


 そう言ってブルーがデイブに突っかかってきた。斧を両手で持って袈裟切りで斧を振り下ろしてきたのを軽く体を動かして交わし、すれ違い様に片手剣でブルーの斧を弾き飛ばした。


 シーンとする要塞。マリアンヌはデイブの剣の動きを見て内心で早い!と声を上げていた。ブルーの斧の動きを完全に見切っている。


「……もう一度頼めるか?」


「もちろん。何度でも」


 ブルーの声に応えるデイブ。そうして再びブルーが斧の模擬刀を持ってデイブに襲いかかっていく。今度は斧を横払いにして切り付けていったがその動きも軽く交わされて同じ様に斧だけ弾き飛ばされる。


「こりゃ別格だぜ。全く勝てる気がしない」


 デイブと握手をしたブルーが飛ばされた斧を拾い上げて言う。ブルーの言葉にマリアンヌや他のボルケーノのメンバーも同じ思いだった。


「今度は私だ。ダン、お願い」


 ダンは頷くとデイブと交代で広場の中央に歩いていく。正面には片手剣を持ったマリアンヌが立った。


「正直2人の話を100%信用していなかったけど今の模擬戦を見て考えを変えた。全力で行かせてもらうわよ」


 マリアンヌが言うと周囲がざわざわとする。


「マリアンヌの本気モードかよ」


「滅多に本気にならないと言われていたマリアンヌが本気になった」


 そんな声があちこちから聞こえてくるが広場の中央にいるダンは表情一つ変えずに


「いつでもどうぞ」


 と言った。


 マリアンヌが片手剣を右手に持つ。一方ダンは二刀流ではなく片手剣1本を同じ様に右手に持った。


 マリアンヌがダンの目を見ながら突っ込んでいく。次の瞬間ダンの剣先がマリアンヌの喉元にあり、右手に持っていた片手剣はなくなっていた。しばらくして地面に剣が落ちる音がする。


 デイブの時と同様にシーンとする広場。


「見えなかった」


 ナイトのジャンが言った。


「俺もだ、マリアンヌが突っかかっていったと思ったら次の瞬間にはダンの剣が彼女の喉元に突き出されていた。あいつがいつ剣を振ったのかすら見えなかった」


 ダンは喉元に突き出していた剣を鞘に戻すと、


「どうする?もう1度やるかい?」


「いや、何度やっても同じよ、ダンの剣捌きが全く見えなかった。気がついたら剣先を喉元に突き出されていた。私は本気モードでいったんだけど完敗ね」


 この時になって周囲で見ていたBクラス、Cクラスの冒険者達も皆あちこちから驚愕の声を出す。


「あのマリアンヌが完敗だと言ってる」


「あの黒いローブの剣捌きは誰にも見えてなかったんじゃないか?」



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