氷王様と名前
「それと、私のことはアリシアで良いよ」
可愛らしいなぁと思っているとそんな事を言われた。
「でも、魔王様を名前で呼ぶなんて……」
いくら可愛らしくても相手は魔王の一人。
そんな相手を一般人の俺が名前で呼んでも良いのだろうか。
「いいよ。アイトくんは……」
俺の言葉に頷いた後、段々と声を小さくしていく氷王様。
「アイトくんは」と言うのをギリギリ聞こえるくらいの小さな声で発し、その後は口を閉じてしまった。
一体俺が何なのだろうか?全知の力があるから氷王様のことを名前で呼んでも良いとかかな?正体を見破ったからだろうか?
「えっと、俺が何ですか?」
気になったので聞いてみたのだが。
「な、何でも無いよ。気にしないで。
それより私のことはアリシアって呼んでね」
強引に話を戻されてしまう。
何となくだけどこれ以上突っ込まない方が良さそうなので、これ以上の追求はやめとおく。
それようりも、本当にいいのだろうか。
「えっと、アリシア様?」
取り敢えず様を付けて読んでみたのだが。
「様もいらないよ」
少しだけむっとした顔で様付けを却下されてしまう。
「……アリシアさん」
流石に呼び捨てをする勇気は出なかったのでさんにしてみた。
すると満足したのか頷いてくれる。
「うん。よろしくね」
頷きながら手を出してきたので、その手を取り握手する。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
その氷王様もといアリシアさんの手は少し冷たかったけど、何故かとても暖かく感じた。




