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変わる運命
曖昧な意識の中、目に映るのは真っ白な空間。
そして、一人の少女。
その少女は泣いていた。
涙こそ流していないが俺にはそう見えた。
悲しそうな顔を浮かべ、虚空を見つめる少女。
——悲しまないでほしい。
こんな、今にも泣き出してしまいそうな顔を変えたいと。
——笑顔になってほしい。
その顔に花を咲かせてほしいと。
——幸せになってほしい。
いつも楽しくいられるような日々をと。
——助けたい。
俺はそう思った。
彼女を助けたい。
俺自身が、助けたい。
何故なら、俺は彼女に【一目惚れ】をしたのだから。