第6話 異世界を探索!
城の中の、とある部屋。
国が管理しているこの部屋は思ったよりも広く、西洋式で扉は大きく玄関は無かった。
しかも4つも部屋があり、まるでマンションのようだった。
魔法の力だろうか?
それぞれのドアの間隔は1m程しかないにもかかわらず、一つ一つの部屋は大きく屋根は高い。
魔法はやはり不思議だ。
1つ目の部屋は見たことも無い白い床。
どことなく暖かく感じるものだった。
しかもそこにあるソファーはフカフカ。
座ったまま寝てしまえそうなほどだった。
もうひとつの部屋には通信機のようなものがあった。
プレートが埋め込められ、そこの壁は電気を付けても光を反射せず100パーセントの光を吸収した。
ドアは唯一白色で、出口の場所は分かるようになっていた。
他のもう2つの部屋はどれも生活スペースだった。
ベット、靴置き場、タンス、ロッカー、机や椅子など、様々な家具や生活に必要となる道具が全て揃っている。
情報の伝達をする情報空間、
他人に足を踏み入られてもいいグローバル空間、
自分だけの生活スペースであるプライバシー空間、
という感じだろう。
もちろんだが、トイレもある。
ちゃんと扉と壁があるやつ。
水も流れるよ。
「へぇ、これ日本のそこそこなホテルよりだいぶキレイなんじゃないのか?」
とある一室で一人が部屋について様々なことを調べていた。
と、トイレの扉を開けたところで
《ピピピッ!》
という機械音のようなものが聞こえてくる。
その音を辿ると、先程言った通信機のようなものがあった場所にたどり着いた。
「なんだ……?これ?」
プレートに現れた三角形のボタンをタップすると、今度は目の前に巨大なプレートが低い音をたてて現れた。
白いドアは勝手に閉まり、プレートの僅かな光だけが部屋全体を包む。
まるで異世界というより、未来の世界を見ているようだった。
「うぉっ!な、なんだこれ!?」
『おぉすげぇ!これってやっぱ通信機か!よぅ!』
「よぅ!じゃねぇよ!急に通信してきやがって!」
『ハハハ!ごめんって!』
そうしていきなり通話をかけてきたのは、出席番号29号、枦本 朱紋。
かなり知的で、頭も良く、テストの成績は1位2位を争うほど。
しかもアニメにも詳しく、知らないものはほとんどないと言っても過言ではない。
『で?急に通話してきてどうしたの?』
「いや?別になんという意味も無くだけど」
『いや意味わかんねぇよ』
「まぁ、これがどういうのか全くわからなくてな。適当にいじくってたら急に部屋割りが出てきてさ、お前の部屋をタップしたら繋がった」
『なんでいじくろうと思うんだよ。その勇気の方が謎だわ』
そして、その通話を受け取った方は羽佐間 唯希。
成績はアモンと比べれば普通な方。
むしろアモンが異常だ。
だが、コイツは相当なゲーマーだ。
負けるとすれば相手が相当な使い手だったか、プロのプレイヤーだった時だろう。
『で?調子はどうよ?イブキ?』
『ついさっき離れたばっかだろ?全然大丈夫だよ』
『ハハッ確かに。そんで?部屋はもう調べた?』
『そりゃあね。もう全部調べ終わったよ』
『はっっっや!まだ3分も経ってないでしょ?早すぎだろ。どんだけ漁ってたんだよ』
『別に漁ってねぇよ。しかも俺の部屋だし』
『お前の部屋じゃねぇし。この国の部屋ですぅー』
『あーもーうるさい』
そんなこんなで、しばらく話していると互いの部屋から「夕飯の支度が整った」と呼ばれる声が聞こえ、通話を終了させて食堂へと向かった。
アモンとイブキが廊下で合流して歩いていると、他の部屋にいた奴らも合流し、ぞろぞろとさせながら食堂へ向かうことになった。
食堂に着き、長いテーブルを前にして座る。
どうやら箸の文化は無いらしく、机に並べられているものは銀のフォークやナイフばかりだった。
そうして、友達と話しながらしばらくの間待っていると、少し先にある、豪華な椅子に座っている王様らしき男が全体に向けて声を出す。
その左右には女王らしき人とマインさんが椅子に座っていた。
そしてマインさんの隣にはヴァンさんもいる。
ガイルさんはというと、どうやら城の警備にあたっているらしい。
時期に来るとのこと。
「勇者御一行よ!一時この私の話に耳を傾けてくだされ!よくぞこの世に来てくれた!!この世を代表し、心より感謝する!私の名はバルナール=K=ウルファイドである!今夜は勇者御一行が来てくださったことの、歓迎会と行こうではないか!!勇者様方に乾杯!」
そうして、勇者達の歓迎会が始まった。
次々に机の上に料理が乗せられていき、バイキング形式に皿の上に肉料理やサラダなどの、様々な料理を盛っていく。
「うまァァァァ!!」
「うん。見たことないものばっかりだけど、どれも美味しい!」
「なぁなぁコレ見てくれよ!」
「なんだリキか。」
「なんだって何だよ、アモン」
「で、何?」
「なんかの動物の骨で作った聖剣ッ☆」
「くだらなすぎだろ」
「イブキ!勝負だ!☆」
「お、俺かよ!」
そうして、たらふく飯を食った勇者たちは自室へ戻り、異国へ来たという実感と共に感じる不安を抱えながら、その日は、ゆっくりと眠りについた。
……眠りについた、はずだ。
眠りについたと、勇者たち全員が感じたその時。
ふと、目が覚めた。
だがそこは、異世界でも、元いた世界でもなく、真っ白い、ただただ真っ白な空間が途方もなく広がっていた。
混乱とともに見えたのは、クラスのみんなと、1人の少年だった。