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第2話 異世界に転移した#2


とある世界。

その世界では、人間族(ヒューマン)や、獣人族(ビースター)樹精族(エルフ)黒樹精族(ダークエルフ)小人族(ドワーフ)精霊族(スピリット)蜥蜴族(リザードマン)龍族(ドラゴン)人魚族(マーメイド)鬼人族(オーガ)、そして魔族(デーモン)と、多種多様な種族が生活していた。

その様々な『人』が住まう世界では、魔族と、その他の種族が長い年月に渡って戦争を繰り返していた。

全ての種族を合わせると、全部で11種族。

この戦争は、数を見ただけでは魔族側が圧倒的に不利だと思うかもしれない。

だが、実際今では、魔族の進行によりその他の種族が住まう土地が無くなってきてしまっている。

先程、全部で11種族と言ったが、数百年前ではおよそ15種類の種族が暮らしていたらしい。

先程の11種と、小鬼族(ゴブリン)豚鬼族(オーク)孤狼族(コボルト)吸血鬼(ヴァンパイア)

その4種は、魔族の配下になったか、奴隷にされたか、絶滅されたか。

それは進行を受けた種族か、進行を起こした魔族にしか分からない。

そう。

たった一つの種族に、ここまでの種族が蹂躙され、埋め尽くされているのだ。

ここまで聞けばもうわかるだろう。

魔族の脅威を。

魔族の恐ろしさを。

そして、魔族は持っていたのだ。

どの種族にも敵わない、圧倒的な力を。

だから、長年にわたって1対11という圧倒的な数であっても、終わらせることは出来なかったのだ。

しかも今現在では、魔族の勢力はさらに増し、存亡が危うくなっている。

今のところは、この世界の土地の二分の一を魔族に埋め尽くされており、その魔族の住まう場所では、土が赤黒く変色し、草木が枯れ、水はどす黒く汚れていた。

このままでは全ての種族が魔族に蹂躙されて魔族だけの世界が出来上がってしまう。

そういう訳にはいかない。

魔族以外の全ての種族で団結し、必死に対抗した。

だが、どうすることも出来なかった。

魔族はそれほどに強大だったのだ。

ただ、願うことしかできなかった。

ただただ、祈ることしかできなかった。

愛する人に、遥か上空の天に、……信じるべきモノの、神に。

祈った。

願い続けた。


そして、その願いはついに届いた。


人の住まうこの土地に、天を突き抜けるほどに大きな神が降り立ち、人々に向かって、両手を広げて優しい声色で言った。


『この地に芽生えた人の子よ。私の子供たちよ。安心しなさい。その願い、やっと届きました。』


それを聞いた時、どの種族であれ、とてつもない安心感に浮かれた。

その少年のような、少女のような声色の神は、それに続けてまた口を開いた。


『魔族の驚異に怯える14の種族よ。手を取り合い、互いを仲間だと心得て、誰しもが安心して暮らせるような世界になるよう、願い、戦いなさい。私は、直接あなた達には手を下すことはできません。ですが、ほんの少しだけでも助力できるよう、異世界からの勇者を召喚します。

…………………………


「……どうか、多大なる幸福があらんことを。私たち神者は、あなたがたの幸福を願っています。

と、いうような感じで、あなた方は勇者として召喚されたのですじゃ」


長い長い話をしたあと、最後にヴァンがそう言う。

別室に案内されたクラスの皆は、どういう行き先で召喚されることになったのかを、ヴァンから話をしてもらっていた。

先生たちはあまり理解できていなかったようだったが、生徒たちに関しては、その話を聞いて興奮すらしていた。

今の時代、アニメを見ていない人の方が少ない。

それもあってか、異世界に関する知識はある程度あったのだ。


「まぁ、要は超強い魔族に進行されていて、それに負けそうになってたから、神様が俺たちを召喚したってコトだろ?」


「はい。簡単に要約すればそうなるでしょう。」


「なるほどねぇ〜」


「この戦いで見事、魔族軍から守ることが出来た場合にはもちろん、報奨金もありますのじゃ」


それを聞いてふと思ったのか、先生の1人が立ち上がり、大きな声で言った。


「かっ……、帰ることは!?帰ることは…できるのですか?」


そう言われると、ヴァンやマインは下を俯いて黙り込む。

それを見たガイルが、意を決したようにこちらに顔を向け、口を開いた。


「勇者様方!どうか落ち着いてお聞きください!」


「なっ、なんだ……?」


しばらくの沈黙が流れ、それを打ち壊すようにしてガイルがまた口を開く。


「申し訳ございませんが!!あなた方、勇者御一行様は元の世界に帰ることはできません!現在の技術力では帰還の魔法はまだ発現されていないのです!!」


そう、はっきりと言われる。

帰れない。

その信じたくもない事実を突然突き付けられ、召喚された生徒や先生は唖然と黙り込む。


帰れない。

もう家族には会えない。

もう大切な人には会えない。

あの世界でやり遂げたかったことは、もうできない。

帰りたい。


「ごっ……ごめんなさっ……!」


「っっふざけるないで!!!!!」


マインの言葉を遮るように、教師の一人が立ち上がって叫んだ。


「なんなの!?帰れないっていうのは!!帰してよ!家族がいるの!!分かるでしょ!!?」


その声が部屋全体に大きく響き渡る。

いつもと違う口調から、その怒りが大いに伝わってくる。

許せない。ありえない。

それ以前に、その事実をただ受け入れたくなかった。

そして、その教師の声に乗っかるようにして、他の何人かの生徒達と先生が立ち上がる。


「そうだ……そうだ!俺達にも家族がいんだよ!!帰せよ!」


「帰さないだなんてふざけるな!!」


「お前らの事情なんて知ったこっちゃねぇよ!!」


「お前らの事情はお前らで解決するのが普通でしょ!?」


「そっ、それは……」


「言い訳とかはどうでもいいんだよ!!」


「帰してよ!」


「そもそも、こんな子供たちを戦場に出すだなんてどうかしてるんじゃないの!!?」


降り注ぐ罵倒。

だがどれも納得できるものばかりだった。

自分たちの問題は自分たちで。

彼らにも家族がいる。

仲間がいる。

大切な人がいる。

彼らにとって、自分たちの問題は知ったものでは無い。

どれもこれも、理解ができる。

だから、前に出た三人はただ黙ってそれを受け入れることしか出来なかった。

下を俯き、今さらながらもこの出来事に後悔する。

なぜ、彼らのことをもっと考えてあげられなかったのだろう。

召喚したのはあの偉大なる神だが、それをする理由になったのは自分たちのせいであると、はっきりと分かっていた。

国を代表した3人はただ下を向いて、自分の無力感を感じることしか出来なかった。


「……っ!!」


たくさんの罵倒の声が響き渡る中、後方にいたたくさんの騎士のうちの一人が前に出た。

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