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第6話 国王の御前にて公演

「行くよ!」


クラウンが顔を押さえ、身体を激しく動かす、そして。


「……よし」

「何だ…ッ!?」


顔から手を離したクラウンの、目つきが変わっていた。


「5…4…3………今だ!!」

「……フッ!」


ソフィアが合図を出すと、クラウンは地面に手をつけた。


「うわっ!?」

「何だ!?」


アサシンは地面に吸い込まれ、下にある舞台まで落下した。それを追う様にして、クラウンも舞台へ降り立つ。


「クソ……」

「ここは…下にあった舞台……?」

「キャーッ!…魔王の手先が現れたわ!」

「なんだと…!?」


そのアサシンを見て、舞台に立つお姫様の格好をした、劇団メンバーが叫ぶ。


「現れたな、魔王の手先め!!」


そこへクラウンが、颯爽と登場する。それを見て、国王達は盛り上がった。


「おぉ〜!剣聖が出てきたぞ!!」

「あれがクラウンとやらか!」


何がなんだか分かっていないアサシンへ、クラウンが模造刀で斬りかかる。


「ぐお!」

「ぐぁーッ!!」

「ふむ…なんと精練された太刀筋…!」


それを見て、アサシン達も負けじと剣聖へ斬りかかる。


「こんのぉ!!」

「フッ…!」

「がはッ!?」


模造刀一本で剣聖ローズを演じるクラウンは、次々とアサシンを片付けていく。


「…クソ……」

「あとはお前1人だ」

「……ブッ殺してやるぁ!!」


そして最後に一閃、するとアサシンはドサッと、その場で倒れた。


「大丈夫ですか姫様!?」

「はい……」

「おおーッ!!」

「見事な芝居じゃ!!」


観客席から、王族の声援が飛び交った。幕が降りたのを確認して、アサシン達を片付け、無事公演は終了した。


「……ナイスだぜクラウン!」

「ふふ…ありがとう」

「よくやった、クラウン」

「じゃあご褒美として、そのマフラーください!」


クラウンが、レインの付けているマフラーを見ながら言った。


「フッ……これは、俺のお気に入りだから無理だな」

「そうですか…」


するとそこへ、国王と近衛騎士達が現れた。


「いやはや、とても良い劇であったぞ」

「……お褒めのお言葉、ありがとうございます」

「…して、アサシンの方は……」

「この通り、生捕にしてあります」


レインは縛り付けているアサシン達を、近衛騎士達へ明け渡した。


「その依頼も、しっかりこなすとは……ご苦労であった」

「はっ……」

「……公認騎士団ではなくなったのが…誠に惜しいのぅ…」


それを聞いて、レインは少し険しい顔をしていた。


「報酬は今日中に届くようにしよう……」

「また何かあれば、いつでも」

「…うむ」


そして、国王と近衛騎士達は、舞台裏を後にした。すると、近衛騎士の隊長らしき人物が、レインの前に立った。


「レイン、公認騎士団として、また戻ってこいよ」

「……ブラッド」

「…国王もそれを望んでるハズだぜ、何せ国王は」

「ブラッド、俺は戻らん」


そう突き放し、レインは続けて言った。


「暗殺阻止なんて、俺達じゃなくても出来ただろ?……だが、俺達に依頼したのは、王様が望んだからか?」


レインはブラッドにそう言って、小道具片付けをし始めた。


「ちげぇよ…お前……シャロル様の目を見たか?」

「………………」

()()()以来、シャロル様は先王に言われても尚、妻を(めと)らない」

「………………」

「王位を継承しても尚な……このままいくとレッドイン王国は終わりだ」


そして、ブラッドはレインの胸ぐらを掴み、叫んだ。


「……本当にあの少年の事を思っているのなら…お前の本心を言えって事だよ!」

「………………」

()()()()()()で丸く収まってると思ってるなら…それは大きな間違いだぜ!……レイン!」


そう言い残すと、ブラッドは去っていった。それを見て、ソフィア達劇団メンバーが、レインに尋ねる。


「団長…俺達に……何か隠してる事…あるんですか…?」

「……副団長ソフィア」

「…はい」

「この話は…いずれ時が来れば必ず話す……だが…今は無理だ……」


レインは、少し震えた声でソフィアへと言った。


「……分かりました…」

「………………」


そして、暗い雰囲気に包まれた劇団は、泥の上を歩く様な足取りで、拠点へ戻っていった。


『レインさんには……何か秘密があるみたいだ…』


クラウンは、メンバーが眠る中1人、天井を見つめていた。


「…!」


その時、廊下を歩く音が聞こえた。クラウンが廊下を覗くと、レインが外へ向かっていた。


『……何処に行くんだろう…』


こっそり、バレないようにあとをつけると、レインは国の外れの草原を、ジッと見つめていた。


「…クラウン」

「!!」


クラウンは尾行していたのがバレ、レインの前に姿を現した。


「……何してるのかなぁ〜と思って…」

「…外の風に当たりたくてな…………フン…」


すると、レインは何かを懐かしむような顔で、クラウンに言った。


「…お前には話すか……」

「……!」

「と思ったが……おい…お前ら!」


レインが叫ぶと、草むらから劇団メンバー達が出てきた。


「えぇ!?…みんなもつけてたの!?」

「……気になってな…」

「…時が来れば話すって言っただろ……ッたく…まぁいい」


そして、レインは月を見上げながら、ゆっくりと語り始めた。


「…あの事があったのも……確かこんな満月の日だった…」


















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