第57話 任務説明
第五厄災。かつて世界を混沌に陥れた5つの災害、その呼び名である。
1の厄災【異界の使者】
突然発生し、大陸の国々へ大ダメージを与えた、ナローンの大群。
姿は全員同じで、知能は感じられず裸で、素手で殴りかかるという、モンスターのような戦い方をする。異常な身体能力を持ち、男は殺し女は犯す。孕まされた女は、新たなクラウドRを生む。
異界からの召喚でミスが生じ、モンスターに近い存在に変化した状態で召喚された、ナローンだと言われている。打倒帝国の目的で作られた昔の連合軍が撃退し、それ以降行方が分かっていない。
2の厄災【原初】
6000年前に発見されたナローンは、原始世代と呼ばれる。その原始世代のナローンの中には、人間に牙を剥く者もいた。
オリジナルは、敵対している原始世代のナローンの事で、現在も生存が確認されている。原始世代のナローンは、神に匹敵する力を持つと文献に記されている。
だがオリジナルを追う者や、接触した者は姿を消しており、オリジナルの事が記されている文献も、数冊しか見つかっていない。
その為、詳細な能力、外見、人数、種族など全てが謎に包まれている。
3の厄災【黒ノ災厄】
突然誕生し、辺りいっぺんの土地全てを、不浄の大地にしたヘドロの様なモンスター。
辺りを飲み込み、土は病原菌の温床となり、水は猛毒になる。ランスロット率いる聖騎士団が、命を賭して討伐した。生存者無しとされている。
ヘドロを研究した結果、異界から来たとされている。
4の厄災【メアリー病】
500年前に様々な国を襲った病。
感染した者の知能を大幅に下げ、言葉は通じるものの、通常なら誰でも出来る行為が出来なくなる。そして、感染していない者が行う行為を、どんな簡単なものでも、信じられないと言った様な眼差しで見る。
国から賢者が誕生したという報告を受けた隣国の騎士団が、賢者を見に行った所、その賢者は肉を裏表両方焼く方法、松明の作成、釣竿の作り方などを編み出していた。民衆は、その男を「賢者」「神の使い」と神格化していた。
それを不審に思った騎士団が国に報告して発覚した。発生源はアレクサトラ大陸の、とある洞窟に生息していた新種のスライムで、魔法で消毒した事により根絶した。
5の厄災【魔王ケルフィン】
世界滅亡を企んだ、魔物の王。
とてつもない身体能力、賢者も凌駕する魔法、常軌を逸した残虐性を持つ。危険度の高い数匹の魔物が、お互いに融合して出来た存在。
帝国を連合軍と【勇者パーティ】と呼ばれる戦士達が倒した後に出現した。勇者パーティが、アレクサトラ大陸にて討伐し、封印された。
◆
「第五厄災の説明はこんな感じだな」
「そんなヤバいのがいたのか……知らなかった…」
「まぁ、別に知らなくてもいい。もうオリジナルとクラウドRしか残りはいないからな!」
「5分の2も残ってんじゃん」
第五厄災の説明が終わると、ソフィアがライトに尋ねる。
「とりあえず、オリジナルと結託している疑いのある、ナローンの事を教えてくれ」
「ああ…そうだな……うちの学園のナローンはこの3人だ」
そう言うとライトは、魔法記録機で3人のナローンの写真を映し出した。
「1人目は2年生のタケハル君…剣術の成績は学年トップだ……正直…悪いことしてそうには見えない…見ろ…この純粋な目を」
「顔で判断するんすか……」
「綺麗なおめめ」
「2人目はタケハル君と同じく、2年生のシュウ君。この子は何を考えているか分からん…いつも眠そうにしてるからな……だが魔法の成績はトップだ」
「こういう子に絶望を与えて、顔を歪ませるのが楽しくてやめられないんですよねぇ〜!」
「駄目よグリム君、そんなことしたら」
「3人目は3年生のパーシヴァル君…彼は転生者だ……魔法も剣術もトップクラスの天才……まぁ!…天狗になってワシに挑んできたからコテンパンにしてやったがな!」
「爺ちゃん…大人げなさ過ぎ……」
ライトがグリムの顔を見ながら言った。
「楽しいよな!…天狗の鼻をへし折るのは!」
「はい!」
「……気が合いそうだね…2人とも…」
するとグリムが、ソフィアに尋ねた。
「ふと思ったのですが、理事長が任務の事を知ってるのなら、僕達は理事長のコネで入学しても良かったのでは?」
「入学試験を管理する学園長にも、オリジナルと繋がりを持つ疑惑がかけられている…怪しまれない様にする為だ」
「おー…なるへそー……」
そしてエリーが、4人へ言った。
「そんじゃあ、俺達は学園長を中心に、教職員の中でオリジナルと繋がりがありそうな奴を探る」
「学園長は知らんが…他の職員にはいないと思うけどなぉ〜…あっ……でも何人かいるな…」
「いるんかい」
「まぁ…まとめると……お前らはオリジナルと繋がりを持つナローンを見つける為に…疑われてるナローン達を監視して…繋がってる奴を捕まえろ…って事だバカヤロー」
「雑だな……」
「まぁ…その繋がりを持つ人を捕まえれば…芋づる式にオリジナルとエンドーも捕まえる事ができるしね」
「りょ!」
そうして、クラウンとグリムは理事長室を後にした。エリーが、ソファーにくつろぎながら呟く。
「っていうか…教職員はオリジナルとの繋がりを疑われてるのに…理事長は疑われないってどういう事なんだ?」
「おいおいエリー……ライトさんが…バレずにオリジナルと繋がりを持つなんて…器用なことができると思うか?」
「…確かに」
「だろ?」
それを聞いていたライトが、ツッコミのように叫ぶ。
「さっきから聞いてたらお前ら!…馬鹿にしてんのか!」
「………褒めてるんですよ?」
「それならせめて即答しろや!沈黙を挟むな!」
「お前…試験の時に副団長と、バチバチにやってた奴だろ?」
「ああ…まぁ…」
「俺は ってんだ……よろしくな」
「僕はクラウン…よろしくね」
次回『クラス』!!




