第41話 開戦
「う…ん…ッ…」
寝ていたクラウンが、物音で目を覚ますと、外は雨が降っていた。
「……さっきは晴れてたのに…通り雨かなぁ…」
そして二度寝しようとした時、部屋にソフィアが入ってきた。
「おい!クラウン!」
「…なんですか……昼寝してたのに…」
「レインさんが集まれって!」
「え…ッ!?」
クラウンとソフィアが装備を着て、宿の外へ出ると、街の人々が慌ただしくしていた。何やら大慌てで動き回っている劇団員の近くで、指揮をしているレインの元へ2人は向かった。
「街の住人は避難させたか!?」
「あと少しで完了です!」
「レインさん!」
「来たかソフィア…クラウン!」
「どうしたんですか!?」
レインは、クラウンとソフィアに説明し始めた。
「ソフィアはここで、住人をあの聖堂に避難させてくれ…クラウンはあの馬に乗り、俺と戦場に行くぞ」
「何が起こってるんですか!?」
「……ブラディーンの大軍が攻めてきたんだ」
「えぇ!?」
それを聞いてクラウンは、動揺を隠せなかった。
「馬に乗れ!…戦場に行くぞ!……ソフィア、街の人々を頼んだ」
「は… はい!」
そしてクラウンとレインは馬に乗ると、レインは噛み砕いて説明し始める。
「…現在前線は維持している。だが、もうすぐ5人のナローンが来る筈だ…」
「マジですか…」
「そのナローンは、王達や兵士が相手する」
「やっほー!」
レインが説明していると、いつのまにかクラウンの後ろに、グリムが座っていた。
「グリム君!?」
「…そこで……お前達にはエンドーと、魔王ケルフィンの討伐…そしてボーレインを生け捕りにしてほしい」
馬を走らせながら、レインは言った。
「僕とグリム君が…そんな重要な任務を……」
「我らが押さえている内に、大将を討ち取るのだ」
そして戦場に到着すると、王達と高名な騎士達が待機していた。
「……来たか」
「みんな!」
3人が馬から降りると、ハイルロッドがクラウンとグリムに言った。
「手短に言うが、現在、兵士達がナローン達と交戦中だ」
「はい」
「ナローンは森の前におり、森に誰もいれないつもりだろう……だが、我々がナローンの相手をする」
「そのスキに、森を抜けてブラディーンに行けって事ですよね!」
「ああ、その通りだ」
王と騎士達は、武器を手に持った。
「頼んだぞ。クラウン、グリム」
「りょ〜か〜い!」
「では行くぞ!!」
そして王と騎士達は、ナローンの元へと走っていく。グリムとクラウンは、その後を追った。
「おい!グリムとクラウンだ!」
「王もいるぞ!」
ナローン達は、一斉に2人の方を向いた。
「あら!グリムちゃん!…あなたが相手してくれるのね!」
ミサキに、投げキッスをしてグリムは森の方へ向かった。
「えっ…グリムちゃん相手してくれないの!?」
「……おい!…通してんじゃねぇよ!」
「貴様の相手は俺だ」
ミサキへ叫ぶ、巨大なゴブリンのようなナローンの前に、ハイルロッドが立ち塞がった。
「…ハイルロッド…!!」
「お前の相手は俺だ」
それを見て、ミサキは高揚としながら戦場を見た。
「なるほど、アタシ達の相手は王かぁ……うふ♡楽しみ…!」
そんなミサキの前に、歩いてくる人間がいた。
「誰かしら!…イケオジのタチバナか、バルガイドか…シャロルちゃんか…」
「……アンタの相手は私よ、蜘蛛女」
「……………なんで……」
ミサキは、怒りを目に宿して叫んだ。
「なんでいつもアタシの相手は、女なんじゃボケェ!!」
「…私も大概だけど、アンタもなかなか口が悪いわね」
「クソババァがァァ!!」
「おー…怖い怖い……」
そんなミサキを見て、黒いコートを着たナローンは呟いた。
「……そんで?…俺の相手はアンタか」
「…お前がタイヨーか」
バルガイドが、タイヨーの前に立って尋ねた。
「あれ?…どこかで会ったっけ?」
「男を殺し、女子を自らの欲望の吐口として使う…タイヨーと名乗る白黒のコートの男がいると……被害女性から聞いた」
「あー、アイツらか」
タイヨーは、頭を掻きながら言った
「別に俺みたいな美形に、犯されるなら本望だろ」
「…貴様がクズで安心した………容赦なく戦えるからな」
両手に銃を持つナローンの元には、タチバナが向かった。
「銃相手か〜…俺は刀だっていうのに…」
「……フン」
「しかも、俺の嫌いなクール系の奴だし……」
ナローンは、タチバナへ銃を構える。
「…なんだ、僕の相手は王じゃないのか」
「……悪いな、シャロルがお前らと戦うにはまだ早い」
レインとブラッドが、盾を持つナローンに向かい合った。
「フッ、NPCがプレイヤーに勝てるとでも?」
「よくわかんねぇが、侮辱してんのは確かだな」
「……元プロゲーマーのヤバさ、思い知らせてやるよ」
王と騎士とナローンの戦いは、爆発音と共に始まった。




