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第23話 風呂

「うぅ……」

「どうしたブラッド」

「……悪夢を見た」


城の中で、ブラッドは今にも死にそうな顔で、レインに言った。


「そういえば今日、1人の傭兵が公認騎士団になったらしいぞ?」

「はぁ?…1人の騎士団ってなんだよ」

「いきなり、公認騎士団にしてくれって言ってきたらしいぜ」


それを聞いて、ブラッドは鼻で笑った。


「そんなの門前払いだろ」

「いや、それが公認騎士団である『ワドラー騎士団』の騎士達と50対1で試合して、勝ったらしい。それで、王が気に入って、特例でOKだと」

「……バケモンだな…名前は?」


すると、目の前から鼻歌を歌いながら、フラフラと歩く少年がいた。


「噂をすれば何とやら、あの少年がそうだ。名前はグリム」

「なにー?…あんなガキがか?」


ブラッドは、少年に近づいて、話しかけた。


「よぉ、お前が特例で公認騎士団になった、グリムってガキか?」

「そうですよぉ?…あなたは……って、え?」

「…お……おおおおお…お前は…ッ!!」





「……チッ…今でも夢に出てくるんだぜ!?」

「まぁまぁ…昔の事ですし〜…もういいじゃないですかぁ〜!」

「くっつくな!離れろ!!」


何やかんやありつつも、銭湯で湯に浸かり、くつろぐ3人。ブラッドは、グリムとグリムの髪をくくるレインに言った。


「…戦争かぁ……」

「……しかも、相手は魔物の大群と異界者(ナローン)だ」


異界者(ナローン)。異界から来た生物の隠語で、騎士達が使う事が多い。ナローンとは、古代レッドイン語で『人の夢』という意味だ。


「…僕は楽しみですけどねぇ〜」

「お前、ホントにイカれてるわ」


湯に浸かり、グリムは目を輝かせながら言った。


「グ〜リ〜ム〜く〜ん!!」

「お〜!…クラウン〜!」


真っ赤な顔をしたクラウンが、浴場の中へ入ってくる。


「イリスと話せましたか〜?」

「ああ…おかげさまでね……!」


ニヤニヤと笑みを浮かべるグリムを睨みながら、クラウンは湯船に浸かる。


「そういえばクラウン、お前の胸のソレ……神職印(イスカル)だよな」

「……あぁ、はい。多分イスカルだと思います…」


職業スキルには『下位』、『上位』、『最上位』、『神位(カムイ)』の四つの位がある。下位が一番下、カムイが一番上であり、この位が高い程、良い職業スキルだと言われている。


そして、神職印(イスカル)とは、職業スキルが最上位以上の者にのみ、発現する印である。身体のどこにできるかは、個人差がある。


「…【演者】って……多分下位の職業スキルだよな……なのに何で、イスカルが発現してんだ?」

「……僕にも分かりません…」

「しかもイスカルは本来、色を持って発現する。【闇騎士】の俺は紫色…【龍騎士】のブラッドは緑色だが……お前のは…白色だ……」


クラウンのイスカルを、レインとブラッドは興味深そうに見つめる。


「……まぁ、能力の内容もおかしい程ヤバいし、突然変異か何かだろ……うん…」

「突然変異て……」

「そういえば、グリムも変なイスカルあったよな?」


ブラッドが、グリムを見ながら言った。


「コイツのイスカルも、だいぶイカれてるんだぜ?」

「そんな事言わないでくださいよぉ〜!」

「そうなんですか?」

「見せてやれよ、減るもんじゃねぇし」


そう言われ、グリムはイスカルを見せた。グリムのイスカルは舌にあり、真っ黒だった。


「な?…コイツ舌にある上に、黒なんだよ」

「でも無職ですよね?…何故イスカルが…」

「それもそうなんだがよ、コイツ、背中にもあんだわ」


クラウンがグリムの背中を見ると、背中にも形は違うが黒色のイスカルがあった。


「無職なのにイスカルを、しかも2つ持ってんだよコイツ」

「ど…どういう事ですか…!?」

「……職業を2つ持ってると、俺は考えている。一つ目は無職、もう一つは分からないが」


レインがそう言うと、グリムは不敵な笑みを浮かべて言った。


「さぁ〜…どうでしょうかねぇ〜」

「確かに、それならグリム君が無職でありながら、めちゃくちゃ強いのも説明がつく……」

「それに、昔いたんだよ。2つ職業スキルを持っていた者が……」

「え?…そうなんですか?」

「ああ、確か今の王様達の盟友で、今は行方不明になった男だ」

「そんな人がいたんですねぇ〜」


そんな話をしていると、グリムがおもむろに立ち上がり、近くにあった桶を、何もない空間に投げつけた。パコンッという音とともに、空間からゴブリンが出現する。


「魔物…!?」

「クソが…ッ!」

「ゴブリンでしたか」


クラウンが、ゴブリンの顎を素早く蹴り上げた。ゴブリンは白目を剥いて、その場に倒れる。


「ナイスですクラウン!」

「……ゴブリンか…魔物の中でも危険度が低いが…魔法を操るヤツが、稀にいると聞いていたが…」

「とりあえず拘束しようぜ!」















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