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第22話 ブラッドの失恋

「フフ…ッ……クラウン…今頃、どんな反応してますかねぇ…!」

「どうしたグリム」

「何でもないですよぉ〜!」


レインの元へ、グリムは走っていった。そしてグリムとレインは、更衣室の中へ入る。


「ここの銭湯は格別でな、入った事あるか?」

「ないです」

「俺もだ」

「一度入ってそうな口振りなのに、入った事ないんですね」


そして服を脱ぎ、グリムとレインは大浴場の中に入る、


「…おっ!…来たか……ッて!…グリム!!」

「ほよ?」

「おま…髪を下ろすなッ!!」


ブラッドが青ざめながら、グリムへ叫ぶ。


「……トラウマが蘇る…ッ!!」

「あー、あれか」

「確か、僕とブラッドが出会った時の……?」

「そうだよ!、あんな恐ろしい事しやがって!」





「あー……もうダメだ…」

「……おいおい」


失恋したブラッドは、とてつもない負のオーラをまといながら、酒場で飲んでいた。店主は、呆れながらブラッドへ言った。


「…女なんて山ほどいるじゃねぇか」

「……女なら誰でもじゃねぇよ〜!…あの……可憐な乙女が良かったんだよぉ〜…」


号泣するブラッドの目の前で、長い髪がふわりと舞った。


「…おぉ……」

「……可愛い…」


長い髪の少女は、酒場の戦士達には目も暮れず、ブラッドの横へ座った。


「らっしゃい。随分と場違いな、嬢ちゃんが来たもんだな」

「……うぅ…………う?」


ブラッドは、横に座った少女を見て涙を流しながら尋ねた。


「…な……なんだよぉ〜…嬢ちゃん……俺を慰めてくれんのかよぉ〜?」

「……店主さん、レッドバイスを2つ!」

「ほぉ、その年でレッドバイスを知ってるとは、だがこれはかなり強いぜ?」


店主がそう言うと、少女はブラッドを見ながら言った。


「…レッドバイスは元々、失恋した酒職人が、本能のままに作り出したお酒……」


置かれた赤い酒を見ながら、少女は語る。


「その後、失恋してドン底に落とされた人が、このお酒を飲んだ、すると新たな出会いがあった。それ以来、これは『出会いの酒』と呼ばれ、失恋した人達は飲む事が多い」

「こりゃ驚いた、アンタ相当な酒マニアだね」


そして、ブラッドに酒を渡すと、少女は言った。


「飲んでみたらどうです?」

「…ホントかよそれ……」


ブラッドは、酒を飲みながら少女を見つめていた。


「………zzz…」

「あちゃー……潰れちゃったよ」


レッドバイスのロックを、三杯飲んだブラッドは、その場で眠ってしまった。


「…どうするよ嬢ちゃん」

「………………」


そして、ブラッドが目覚めると、そこは宿のベッドだった。


「あっ!…目が覚めました?」

「…くッ……酔い潰れたのか俺は…」


少女を見ながら、ブラッドは尋ねた。


「寝ちゃってたので、宿まで運びました。代金は既に払ってます」

「…悪いな……」

「一杯飲んだあと、ブラッドさんがレッドバイスを瓶ごと出せって言って……断る店主から奪い、そのまま……」


ブラッドは、昨日のことをかすかに思い出し、頭をかかえた。


「俺…とんでもねぇことしてんな………今度謝っとかないと……」

「すみません……一杯だけのつもりが…」

「いや、アンタのせいじゃねぇよ……」


少女は平謝りした後、ブラッドに笑顔で言った。


「では、私はこれで……また、会えたら…」

「待ってくれ!」


ブラッドは、少女の肩を掴んで尋ねた。


「俺はブラッド、あなたの名前を聞いても…?」

「…………アリスです」

「…アリス…良い名だ………こんな出会いでなんだが、今夜、食事でもどうだろうか。ここまで運んでくれた礼もしたいし」

「……喜んで…!」


少女は笑みを浮かべて、快諾した。そして夜。待ち合わせ場所でブラッドが待っていると、少女が現れる。


「…アリス…さん…ッ」

「待たせたみたいで…すみません……」

「いえ!」


その後、2人はレストランで食事をする。麗しく、優しいアリスに、ブラッドは引かれていった。


「……また酒を飲んじゃったなぁ…」

「そうですね……」


ほろ酔い状態の2人は、夜の街を歩く。すると、ブラッドは恥ずかしそうに言った。


「………アリスさん、今夜は……2人でいませんか…?」

「……私も、今言おうとしてた所です…」


そして、2人は手を繋ぎ、少し高い宿へと向かった。


「………………………」


2人は宿の部屋で、お互いに向かい合う。


「…アリスさん……うわッ!」

「あッ…」


ブラッドが緊張したのか、何も無い場所で躓き、ベッドに倒れた。そして、アリスが馬乗りの状態になる。


「アリス…さん……」

「…ブラッドさん………僕ッ!…もう我慢できないよぉ!!」


その瞬間、アリスは自身の着ていた服を脱いだ。すると、(たくま)しい腹筋があらわになる。


「ぽぇ…?」


情け無い声を出したブラッドへ、アリスは笑みを浮かべながら言った。


「アハッ!……期待しちゃいました?…すみませ〜ん…僕、男なんですよぉ〜……!」

「…………………ヴッ…」

「けどまぁ、それでも良ければどうぞ……僕もブラッドさんみたいな男性は嫌いじゃ……って…あれ…?…ブラッドさん!?」


ブラッドは白目を剥き、泡を吹き出しながら気絶していた。


「………どうしよう…困ったな……血だけ頂いて、寝かせておきましょうかぁ……」



















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