表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/146

第17話 魔物の国

「オ部隊は国の外観、及び周辺区域の記録を。ラ部隊は、俺達レ部隊の反対側から侵入する」

「了解」

「よし、行くぞ」


レインが劇団員の部隊へ指示をした。そして乾いたローブをまとい、魔物の仮面を被って劇団一向は魔物の国へ向かった。


「この仮面かっこいいですぅ〜!!」

「……ところでブラッド、お前演技できるのか?」

「なんの?」

「魔物の演技だよ」

「ギャウガオーッ!!オレマモノ!!」


ブラッドが変な声で、魔物の演技をする。


「…お前は絶対喋るなよ」

「え?」

「そこまで知能低くねーっすよ……」


しばらく歩くと、死者の森が見えてきた。森は薄暗く、異様な雰囲気に包まれている。


(おぞ)ましい雰囲気だな……」

「……気を引き締めていくぞ」


森の中に入ると、そこら中から視線を感じる。劇団一向は、なるべく平静を装って進む。


「…見えてきたぞ」


少し歩くと開けた場所に出た、そこには街があり、魔物達が人間のように暮らしている。


「……よし、気付かれていないな」

「…少しでも多く情報を持ち帰るぞ」


周りの魔物に同化し、劇団一向は街を見て回る。魔物の国は、人間の国と同じで、活気に満ちている。


「新鮮なお肉が入ったよー!」

「うちの子がね……」

「今日は何して遊ぶー?」


人間と変わらないような生活をしている魔物を見て、ソフィアがレインへ言った。


「……魔物は人間にとって、害でしかないと思ってたけど……変わったのか…?」

「人間と共存できるんじゃ……」


劇団員がそう言うと、グリムが言った。


「アハッ!…魔物が人間と共存できるわけないじゃ無いですかぁ〜!」

「なんだと?…コイツらは魔物は魔物でも…」

「グリムの言う通りだ」

「えっ…?」


レインは、ソフィアに「来い」と合図すると、公園に連れていった。


「………は…ッ」

「おーい!どこに蹴ってんだよー!」

「うひゃひゃひゃ!」


そこには、人間の頭部を蹴って遊んでいる、魔物の子供の姿があった。


「今日のおすすめは?」

「今日のおすすめは10歳の人間の肉だよ!」

「うちの子が2人、人間を狩ってきたのよ〜!」


魔物達のそんな会話を聞いて、ソフィアは固唾を飲んだ。


「……共存できると思うか?」

「…いえ……」


震える声で、呟くようにソフィアは言った。


「他の種族を殺し、あまつさえその死体を(もてあそ)ぶような者達と、共存できるはずがない」

「グロいなぁ〜!」


その現場を後にして、劇団員一向は城へと向かっていった。


「……このような城を…どうやって短時間で…」

「ボーレインを連れていった、異界のモノの仕業だろう」

「確かに、異界の人のにおいがします」


すると、見覚えのある顔が見え、劇団員一向はその場に溶け込んだ。


「凄いじゃないかエンドー!」

「まぁね」

「こんな国を…短時間で作るなんて……!」

「アイツ…ボーレインだ」


ボーレインと、黒髪の青年が城の前に立つ。


「おい!エンドーが帰ってきたぞ!」

「おー!エンドー!」


城の中から、ツノの生えた青年と、少女が出てくる。


「……嘘だろ…」

「誰ですか…?」

「…魔王ケルフィン……ッ!!」


劇団員達の目の色が変わった。クラウンは、ジッと少女を見た。


「あの少女に見える魔物……かつて世界を滅ぼそうとした魔王だ……ハイルロッド王に討伐された筈なのに…」

「もう二度と、あのツラは見たくなかったぜ……」

「ケルフィン、アレは?」

「あるぞ!」


そう言うとケルフィンは、何も無い場所に、骸骨の入った棺を出現させた。


「……よくやったケルフィン」

「もっと褒めてもいいのだぞ?」

「これが、帝王の遺体か」


それを見たブラッドとレインが、前のめりになった。


「…帝王の遺体だと…ッ!?」

「おいおい、まさか奴等……帝王を復活させる気か!?」

「復活!?…でもあれ死体ですよね!?」


動揺するブラッドとレインは、何かを話している。


「……とんでもねぇ情報が取れたな」


するとレインが、魔法通信機でラ部隊へメールをした。ラ部隊のラインから返信が届いた。


[ラ部隊、そちらの状況は?]

[国の軍事力、重要人物、人口、技術力、等の情報を入手した]

[では帰還せよ。こちらはもう少し残る]

[了解]

「……俺達はもう少し、奴等の話を聞くぞ」


そして劇団員達が、盗み聞きしようとした時、グリフィンの目が血走った。


「……人間のにおいがする…」

「チッ……逃げるぞ」

「魔物の臭いが消えてきたか…ッ」


劇団員一向は、急いで来た道を戻っていく。


「待て」

「…!!」


その時、兵士らしき魔物に、グリムが掴まれた。


「貴様ら……人間臭いな」

「えぇ?…僕は人間じゃないですよぉ?」


兵士はグリムの目をジッと見ると、手を離した。


「……人間…ではない…」

「ほらぁ〜!」

「…時間を取らせたな」

「では行きますね〜!」


そして、劇団員一向は魔物の国から脱出した。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ