第144話 ヤバイ
「失敗する様…仕向けた…だと…ッ?」
「そうそう!」
メルトは困惑するアノニマスと、エンドーに話し始めた。
「…オリジナル討伐……アレは僕が…オリジナルの情報を国に流したからさ……」
「……ふむ…確かに匿名の情報があったが……アンタだったのか…」
「そしてブラディーンの大戦……ブラディーンの大戦とこのオリジナルの事件が発覚した出来事…あるよね?」
クラウンの方へメルトが向いた。
「…シャロル王暗殺……」
「そう!…全ての始まりのシャロル王暗殺事件!……あの情報も僕が流した…」
「……クソ…」
そして次に、メルトはケルフィンに言った。
「ケルフィン!…君がハイファン連合の本性に気付いたのも……僕が仕組んだからさ」
「なに?」
「…ケルフィンとエンドーが…丁度近くにいる時を見計らって…魔法通信機で連絡した……疑い深い君なら…その連絡を盗聴すると信じてたからね…」
「……なるほどな…」
それを聞いたランスロットが、メルトへ言った。
「この一連の事件……俺達が真相まで辿り着けたのは…全てアンタが導いていたからか」
「…まぁ…そう言えるかもね…………アノニマス…」
メルトが、アノニマスへと呟いた。
「君は僕の掌で踊らされていたってわけさ…」
「……ッ…く…ッ…」
するとアノニマスは、その場で諦めたかの様に、静かになった。
「……けど…アノニマスを捕まえたいだけなら…仲間になった時点で、裏切ればよかったんじゃねぇのか?」
「アノニマスは逃げ足が速いからね……僕が君達を導いて…アノニマスを包囲する…この状態にならなければダメだった……だから…随分と時間がかかったよ…」
メルトは、その場でため息をついた。
「…まぁ…その結果シントウキョーは壊滅…ハイファン連合が潰れるのも時間の問題……オリジナルは全員無力化…そして君を追い詰める事ができたから…良かったけどね…」
アノニマスは少しの沈黙の後に、静かに笑った。
「……エンドー…」
「な…名無しさん……」
エンドーの方を向いて、アノニマスは何かを呟いた。
「…ッ!」
メルトが、アノニマスの首を刎ねた。そして、エンドーの方を向く。
「捕まえろ!!」
「えッ…!?」
「……!!」
エンドーは、何かを悟った様に、その場から逃げ出す。そしてそれと同時に、帝王が暴れ始める。
「…メルトさん!…どうしたんスか!?」
「……エンドーに…自身の力を全て与えていた…」
「な!?」
「…このままでは…エンドーが第二のアノニマスとなる…」
そして、メルトは帝王へ斬りかかった。
「帝王は…僕達に任せろ…君達はエンドーを追え」
「!…わ…分かりました!!」
「クラウン!」
するとランスロットが、クラウン達へ言った。
「……必ずエンドーを倒せ」
「…はい」
「クラウン!…行きましょう!」
クラウンとグリム、アーサー、マーリン、そしてカールの5人は、エンドーを追って走った。
「帝王…また君を斬る事に…なるとはね」
「……クラウン…頼んだぞ…」
◆
「…ハァ…ッ…ハァッ…」
エンドーは、シントウキョーの大広場にて、クラウン達に追い詰められた。
「……エンドー…終わらせようぜ……」
「…………………」
「この全ての戦いに…ッ!」
「……………ああ…そうだな……」
すると、エンドーは自身の胸に手を当てた。
「…く…ッ!」
「!?」
「こ…これが…ッ……名無しさんの…力…ッ!!」
「ヤバそうだぜ……」
「神にも…匹敵する…力か…ッ!!」
そしてエンドーの身体から、闇が放出された。
「うぉ!?」
「…なんだ…ッ!!」
闇が消えると、クラウン達の目の前には、黒く禍々しい悪魔の様な姿の、エンドーが立っていた。
「……これは…いい…」
「…はッ……姿が変わっただけか…!?」
アーサーが、エンドーへ斬りかかる。
「………な…ッ!」
するのアーサーの刀が、空中へ持ち上げられた。
「フン」
そして、何処か遠くへと飛ばされる。
「……ッ…!……………ぶッ!?」
武器が無くなったアーサーは、その場で鼻や目から血を噴き出し、膝をつく。
「アーサー!」
マーリンが魔法を発動し、カールが高速で間合いを詰める。
「かァッ!!」
「…ぅ…ぐォ!!」
「ア…ッ…!?」
エンドーが何か衝撃波の様なものを飛ばし、カールを遥か後方に吹き飛ばす。マーリンは杖が破壊され、全身から血を噴き出した。
「な…なんだ…ッ!?」
「……アノニマスよりも…強い…」
「…ふぅ〜……コレが…神の力か……」
◆
「おい…エンドーに何をした…」
ランスロット達が戦う中、レインはアノニマスの頭部へ、尋問していた。
「……私の力を全て与え…………それプラス…私がこれまで奪ったナローンの力…それを与えたのさ……」
「なに…ッ!?」
「普通は…膨大な能力を一気に手にすれば…気が狂い死亡する……だが…アイツ……フフッ………賭けのつもりだったが…適合して……神に近い存在になりやがった…」
「なんだって……」
「…ッ!?」
「えッ!?」
次回『死ノ神』!!




