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美味しい草

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タスクが目を覚ますと草原のド真ん中で横たわっていた。


「なんだ?ここは?というか、まだステータスの割り振りが終わってなかったのに飛ばされてしまったぞ。勝手な奴だ。姿も見せないまま消えやがって」


 いきなり愚痴をこぼし始めるタスク。

とはいえこのままじっとしていても何も始まらないのでとりあえず立って歩き始めた。


「さて、なんにせよ腹が減ってしまっては襲われなくても死ぬ。街とかコンビニとかないのか?」


 しかし、そんなタスクの願望を裏切るように歩けども歩けども草原が広がってるだけだった。

 そしてそのままの状態で5時間ほど歩き続けた。


「流石に腹減ってきた。でも、コンビニどころか家すらないこの状況で飯にありつけるとは思えん。こうなったら…」


 空腹が限界を迎えたタスクは我慢できずに草原の草をむしり取った。


「これを食うしかないか…別に草食ったくらいじゃ死なねぇだろう。いざ」


 目を瞑って草を口に放り込んだタスクは次の瞬間、衝撃が走った。


「うんんんま。なんだこの草。今まで食った食い物の中で一番うまいかもしれない。高級な肉よりも脂が乗ってるし、刺身みたいにあっさりと食べられる。もしかしたらここら中にある草全部うまいのか?」


 タスクは手あたり次第そこら中の草を食べ漁り始めた。


「んん!ここの草はサーロインみたいに口に入れた瞬間に溶けてなくなったぞ。こっちはとれたての野菜みたいにみずみずしくて食べやすい。あっちにも行ってみよう」


 タスクは来た道を戻りながら草を食べ漁った。


 100時間後

 「うんめぇえええ。もう何日も草しか食ってないけど、他の食べ物が食べたくなくなるくらいだ。このままここに暮らそうかな」


 タスクは草を食べて、お腹が満たされたら睡眠を取り、また草を食うの繰り返しを何日もしていたのだ。

 しかし、このままここに滞在するには少し問題があった。


「流石に体の方が気持ち悪くなってきたな。風呂にでも入りたいなー」


 タスクの体は何日も風呂にも入らず、体も拭かないまま草ばっかり食べていたので土だらけだった。

 

「とは言ってもこの世界にはどうやら草しかないみたいだしそんなことは無理か。まあいいや、草食って寝るだけの生活なんてニートの俺からしたら当然の事だからな」


 そうこうしている間にお腹も満たされて眠気が来たタスクは無意識のうちに眠りについてしまった。


(ん?なんか温かい。布団の中にいるような感じじゃなくて温かい何かを浴びてるような…)


 タスクはまだ目を瞑っているが感覚からして何か温かいものを受けているような気がした。

 それもそのはずタスクは草原で眠ってしばらくした後に雨が降ったのだ。

 しかもこの雨の温度はシャワーと同じで温かく今のタスクには丁度心地よく感じる音頭だったのだ。


 そんなことを知らないタスクはそのまま何かを感じたまま再び眠ってしまった。


 そして数時間後、タスクははっきりと目を覚ました。


「ふわあ。よく寝た。あれ?体がなんかスッキリするな。え?え?え?」


 タスクは目を覚まして早々自身の体の土汚れが落ちていることに気が付いた。

 同時に服がびしょ濡れになっていることにも気が付いた。


「あー、多分雨か何かに打たれたのか。寝てる間に。まあスッキリして良かったけど今度は服が汚れちまったな」


 そんなタスクの目の前に石が一つ転がっていた。

 草原地帯で何もないこの場所では小石一つですら目立ってしまっていた。


「なんだ?何でこんなとこに小石が転がってるんだ?」


 タスクはちょっとした興味本位で小石を拾い上げようと立ち上がり、小石のすぐそばに着いたところでまたさらに奥に小石が転がっていた。


「道案内でもしてくれてるんですかー」


 その場で小石を拾い上げて、さらに奥の小石に近づいた時にタスクはある物を見つけた。


「これは…」


 小石の近くに落ちていた物はタスクが来ている服と全く同じものであった。

 しかもその服は綺麗に洗濯されており、ピカピカになっていた。


「なんで俺の服がこんなとこに落ちてるんだ?でもまあ綺麗になってるしこれにするか」


 タスクは何の疑いも持たずに落ちていた綺麗な服を拾い上げ着替えた。

 元々来ていた服はその場に捨てた。


「よし、これでまた当分はここで生活できるぞ。だが、これじゃまた同じことになるのは目に見えてる。街を探さないとここでの俺の生活が苦しくなってくる」


 タスクは1日目に諦めた街探しを再開することにした。


 しかし、1日目同様歩いても歩いても街らしきものすら見えてこず一面草原のままで自分が本当に移動しているのかどうかも怪しくなるほどに同じ景色が広がっているだけだった。


「あー、疲れた。一旦休憩するか」

 

 タスクは疲労から足がもう動かないほどにまでなっていった。

 生まれてからろくに運動などしてこなかったタスクにとっては数時間歩いた程度で疲労困憊になってしまった。

 

「別にニートの俺にはどうでもいいけどよ。何か話す相手くらいは欲しいな。一人でこのまま草原地帯で生きていくのも面白くないからなー。あ、そういえば俺のステータスってどうなってるんだっけ?」


 タスクは1日目から草を食べることに夢中になっており自分のステータスやこの世界の事などは特に気にしていなかったが、ここで初めて暇になった彼はふとそのことに気付いた。


「えーと、確か唱えればいいんだったよな。【ディスプレイ】」


 タスクの詠唱と共に白い世界で見たものと同じディスプレイがタスクの目の前に浮かび上がった。

 

「俺のステータスはっと…えーと、あ、これか」


 タスクはディスプレイに表示されている自分のステータスの項目を発見したと同時に発狂した。


「え!運10000だと!?どういうことだよ!?」


 現在のステータス

 攻撃力:12 防御力:12 素早さ38 運:10000 スキル:『放浪』、『解放者』

今後ともお付き合いの方よろしくお願いします。

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