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ポーの予言したもの

作者: 小財 明

コロナウィルスの第2波が、東京都を始めとする日本全国に広まりつつあった。


野田病院の訪問看護の長住さんは言う。ひどく切迫した調子でこう言う。


「熊本でもコロナが広がっていて、菊地の方でも一人出たんじゃないかな」


「訪問看護の時にも、早田さん、申し訳ないんだけれど、マスクをつけて話をしましょう」


その声の切迫さ、事態の近さから月矢はうなづかざるを得なかった。


その後、近所の四美理容店に髪を切りに行った月矢はそこで更にショッキングな事態が進展していたことを知る。


「加山樹まで来ている」


コロナウィルスの感染者が月矢の住んでいる下石の隣の地区の「加山樹」まで出た、と言うのである。


情報源は確かではないものの、月矢は恐れ、驚いた。


ポーの名作に「黒猫」と言う短編小説がある。あまりに可愛がっていた猫を殺した主人公の男が逆に猫に復讐されると言う話であるが、都市生活者、魔法時代に生きる人の身勝手な空虚なエゴイズムを描いた不条理小説となっている。


今回の第2波、コロナウィルスの第2波、元々は歓楽街から端を発しており、政府は割りと早期から警鐘を鳴らしていたのだが、新聞社を始めとする大手マスコミの論調が現実に対し実に甘すぎた。


魔族の構造転換、一つ突破出来ない、新聞記事に「魔法」の二文字さえ書けない、新聞記者達よ。日本の世論をリードしていく気概は何処に行ったか。


現代は情報社会であり、都市は古い情報を消費し、新しい情報を生産する。あやふやなものから、かなり現実を捉えたものまで、闇鍋のようにたぎっており様々である。


ワクチンが新開発されてはいるものの、魔法化の進展、つまり魔族が魔の宝石と魔法を使い、大気中の、コロナウィルスではなく、魔法因子の濃度を高めている現状では、コロナ禍は収まりようがない。


コロナウィルスと魔法因子が組み合わされると、「人間」は害を為す人、ある程度の魔力を持った存在になる。


魔法人間の誕生である。


亜魔族は、近代人特有の病気である精神病と魔法因子が融合して、人体に影響を及ぼす病気の結果、生じた人に月矢が小説で名付けた名称である。


名称が一人走りした訳ではなくて、実態に則したものであるのは、身の周りの人達を少し見回してよく見ていただければ、理解していただけると思う。


症状、ないし状態を緩和していくには、基本的には、精神科の投薬、又は芸術による人間性の回復しか、有効的な手段は今現在はなく、月矢は今日も精を入れて、小説を書くのであった。


一世を変えるだけの話題性に富んだ、文化的な突破力を持つ実力のある文学なり映画などの大衆娯楽的な芸術が待たれるところである。


月矢は信じている。自分の文学における芸術の力を信じている。

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