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不慮

西暦2020年4月 日本某所

「書留でーす、サインをお願いします。」

僕は黒田泰年 25歳。郵便局に勤めている。大卒採用三年目だ。

基本的には、こうしてバイクで郵便物を配達して回る外務が仕事の中心だ。

炎天下でも、雨や雪が降ろうとも家々を回らねばならない過酷と言えば過酷な仕事だが、なんだかんだ言って僕には性に合っているようだ。

まあ、地理学部出身で、なおかつ地図や地形を完璧に覚え、走破することに快感を覚える性分であるというのも大きいであろう。

この日も、先輩のベテラン局員が3時間かかる配達を1時間半で済ませ、悠々と局に戻る。

「おう、お疲れ、メシ食ってきていいぞ。」

主任に一礼し、休憩室へと入る。

弁当を食いながら、スマホで歴史関係のサイトを見る。ナポレオン戦争時代の戦略、戦術を扱ったサイトだ。

僕は歴史と言うか、軍事史マニアでもあった。休日大型書店や図書館でそうした関係の本を読み漁る時間に幸福を見出していた。

(ちなみに社会人になってからは、付き合っている彼女はいない…)

休憩時間が終わり、午後配達の準備にかかろうとしたとき、主任に声をかけられた。

「悪いが、誤配があったんだ。○○町2-13の平野様に届け直してくれ。やらかした本人は配達に出ているし、他に動ける奴がいなくてなァ…」

「わかりました!」

たしかにあの辺は道が入り組んでいる上に、似たような住所に同じ苗字の住人が重なっている為間違えるのも無理はない。あってはならないことではあるんだけど…。

僕はバイクにまたがった。

ちょっと今日は帰りが遅くなるかもな。まあその分残業代はきっちり頂くが…。

あと20秒で大通りに出る。



一旦停止…。



しない…?



???



ブレーキが…。





効かない!!???



頭が真っ白になる。



僕のバイクは時速40キロのまま、国道に飛び出した!!



右側面から突っ込んでくる大型トラックの運転手の驚いた表情が、最後の映像的記憶であった。



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